副業人材は、地方の新しい関係人口になれるのか
はじめに
地方に副業・兼業人材を入れる動きがあります。
東京圏の会社員が、本業を持ちながら地方の企業や自治体に関わる。専門性を持った人が、週1回、月数回、リモートや現地訪問を組み合わせながら、地方の困りごとを前に進める。
あなたは地方でどんな“副業関係人口”になれる?診断
この流れ自体は、かなり良いと思っています。
実際、Leu.でも田口シェフはその流れに近い形で関わってくれています。栃木県の補助金を使って、「サンカク」というサービスを通じてマッチングしました。
一緒にやってもらったやつがこれです!
東京圏にいる専門人材が、地方の宿泊施設に関わる。地域の食材やイベント、宿の魅力づくりに、外の視点と専門性が入る。
これは、かなり良かったです。
私自身も、埼玉に暮らしながら、那須塩原のLeu.とは業務委託で関わっています。会社員の副業ではありませんが、都市側に生活の軸を持ちながら、地方の現場に仕事として関わっているという意味では、かなり近い存在なのだと思います。
だから、副業・兼業人材を地方に入れる制度や流れそのものには、基本的に賛成です。
ただ、考えているうちに、少し引っかかることも出てきました。
副業人材は、本当に地方の新しい関係人口になれるのでしょうか。
それとも、ただの新しい外注先なのでしょうか。
ここは、ちゃんと分けて考えた方がいい気がします。
副業人材は、地方にとって本当に必要なのか
地方に都市部の人材が入ること自体は、たしかに意味があります。広報、マーケティング、商品開発、DX、採用、ブランディング、新規事業。地方の中堅企業や成長意欲のある企業にとっては、かなり役に立つと思います。
でも、地域の小さな事業者、たとえば個人大工さん、建築チーム、農家、商店、宿泊施設、小さな飲食店が、本当に「月10万円で広報をお願いします」と思っているかというと、少し違う気がします。
たぶん、困りごとはもっと小さいです。
そして、その小ささが、ものすごく大事です。
以前、逢瀬町で建築系の会社さんに行ったときのことです。たぶん挨拶か何かで立ち寄っただけだったと思います。
すると、事務の方に言われました。
「ちょうど良かった。中潟君、これ分かる?」
見せられたのは、何かのシステムでした。
私はそのシステムを初めて見ました。なので、正直に言いました。
「わかんないですけど、見ていいっすか?」
見てみると、初めて見るシステムなのに、なんとなく構造はわかりました。どこで詰まっているのか、どこが使いにくいのか、何を変えれば次から楽になるのか。
少し触って、こうした方がわかりやすいですよ、とちょちょっと直しました。
すると、めちゃくちゃ喜ばれました。
「これで3時間は浮く」
と言われました。
この時のことが、ずっと頭に残っています。
これは、DXなのでしょうか。
コンサルなのでしょうか。
副業人材活用なのでしょうか。
どの言葉もしっくり来ません。
でも、地域の小さな事業者にとっては、たしかに価値がありました。
月10万円を払って専門人材を雇うほどではない。でも、1時間だけ来てくれたら助かることがある。誰かがちょっと見て、ちょっと直してくれるだけで、毎週の面倒が減ることがある。
このニーズは、たぶん地域にたくさんあります。
地域の困りごとは、大きな課題になる前に積もっている
予約台帳が使いにくい。請求書の作り方がバラバラ。Googleマップの情報が古い。Instagramはあるけれど止まっている。LINE公式は作ったけれど使えていない。補助金の書類が読みにくい。写真はたくさんあるけれど整理されていない。Excelの関数が壊れている。ホームページの営業時間が古い。求人文を少し直したい。
どれも、事業計画に書くほど大きな課題ではありません。
でも、現場ではずっと引っかかっています。
小さな石ころみたいなものです。
歩けないほどではない。でも、毎日少しずつ足に当たる。気づけば、ものすごく疲れている。
地方に必要な副業・兼業人材の話をするとき、私たちはつい「すごい人」を想像します。
都市部の大企業で経験を積んだ人。マーケティングができる人。新規事業を立ち上げられる人。データ分析ができる人。SNS戦略を組める人。
もちろん、そういう人も必要です。
でも、地域の小さな事業者にとって本当にありがたいのは、もっと手前の人かもしれません。
必要な時に、必要な作業を、必要な分だけやってくれる人。
「ちょっと見ていいっすか」と言って、現場の困りごとをその場で軽くできる人。
その人は、すごい肩書きを持っていなくてもいいのだと思います。むしろ、肩書きが強すぎると相談しにくいこともあります。
ここまでが、僕が地域の現場で感じている違和感です。
では、この“小さすぎて仕事にならない困りごと”を、どうすれば副業・兼業人材の仕事として成立させられるのか。
ここからは、「地域の共有スタッフ」という考え方を軸に、地域側、人材側、送り出す企業、そしてその間に立つコーディネーターまで含めて、具体的な仕組みを考えてみます。
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