【第19話:「向かいの部屋から、笑い声が漏れてた」】
夜中の2時すぎやった。
団地の向かいの部屋から、笑い声が聞こえてきた。
笑うって、なんや。
そっちの世界では、まだ笑いが残ってるんか。
こっちは、何日も声すら出してへん。
カップ麺の蓋をめくる音くらいしか、
生活の音がせん。
酔うてるんか、若い声やった。
男女、何人か。
俺にはもう関係ないもんばっかりや。
人とつながるとか、
飲み会とか、
冗談が通じる距離感とか。
ベランダの窓、そっと閉めた。
音が入ってくるのが、
なんか、悔しかった。
静かに生きてるつもりやのに、
静けささえ、他人に破られる。
