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悪魔のコンソメパンチ

中学生の冬、
ものすごく美味しいものに出会った。


塾の友人に一枚もらった、
ポテトチップス・コンソメパンチ。
私はその足で、一袋買った。


自室でそっと袋を開けた瞬間、
ドアが勢いよく開いた。


「くっさー! 何を持ち込んだー?」


姉は大声で騒ぎながら、
部屋の窓を全開にした。
私はポテチの袋を持ったまま、
部屋の隅にいた。


「なんでこんな臭いもの、部屋に持ち込んだの?」

「自分が、臭いって気づいてる?」

「なんで、こんなに臭いものが食べられるの?」

「恥ずかしいよ?」


延々と続く。
私はベランダへ出るしかなかった。
冬の夜だった。
ガタガタ震えながら、
コンソメパンチを食べた。


我が家の絶対君主は、姉だった。
父も逆らわなかった。


納豆、にんにく、キムチ。
食うな。近づくな。時間をずらせ。
食後は、換気。
リビングに居座らない。


家族全員、
面倒だから降伏した。
食後は、
念入りに歯を磨いた。


ところが姉は、
大学に入ると
新大久保でサムギョプサルにはまり、
週に一度は通った。
大酒のみだ。


家では
冷凍餃子を頬張る。


私はあの頃、
コンソメパンチ一袋で
ベランダに追いやられた。


あの人は今、
何を食べても、
どこで食べても、
誰にも追い出されない。


私たちは、
誰の何のために歯を削ってきたのか。
あの袋の、
パリッという音だけを覚えている。






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