カバンならイケる
「自分が原始時代に生きてたら、どこまで人類を進化させられたと思う?」
テレビの中で、ブラマヨの吉田さんが粗品さんに向かって、会議くらいのテンションで大真面目に問いかけていた。それを受けた粗品さんも腕を組みながら空を見つめ、「そうっすね〜……」と真剣に考え込んでいる。
吉田さんは「火の存在を知っていたとしても、自分で起こす方法なんて絶対に思いつかなかったと思うから、木の実ばっか食べていたと思う。俺はずっと、山火事待ちの人生やったと思うわ」と、原始時代の自分を憐れんでいた。
この会話で吉田さんは終始、「賢い人に感謝しかない」と言っていた。あの時代に自分のようなアホな猿人ばかりだったら、おそらく人類はここまで進化していないだろうと。「マジでそうっすね〜」と同意する粗品さんに「お前だったらどう?」と投げかける吉田さん。
おそらく吉田さんも、いち視聴者の私も、彼ならきっと自分には考えもしないことを思いつくのではないかと期待していたのだと思う。勝手に「原始の革命児」の期待を背負わされた粗品さんはしばらく考え込んだのち、まさに「閃いた!」といった表情でこう答えた。
「カバンならイケる……!」
カ、カバン……?
キョトンとする吉田さんに「あれです、入れもんです入れもん! 獲物とか入れる用の」とすかさず補足を入れる。私も吉田さんと同じタイミングで膝を打ち、「あ〜そのカバンな! 大きな葉っぱで、その端と端を枝とかで結んでな?」「そうです! あったら便利でっせ〜」と、あの時代のカバン作りの手法で盛り上がる姿に大いに笑ってしまった。
「でも、それが限界っすね〜」と言う粗品さんに、「お前でもカバンが限界か〜」と唸る吉田さん。こんな話を大真面目にしていること自体が面白いのだけど、知識系は早々に諦めたのか、そこから二人は自分たちの個性を活かしたアイデアを次々と出していった。
吉田さんは、商店街のガラガラのようなものなら自分でも思いつくだろうと言った。ココナッツをくり抜いた中に集めた木の実を入れ、その中にひとつだけ黒い木の実を紛れさせる。遠くの川に水を汲みに行かなければならない時などに、そのガラガラで当番を決めるらしい。
粗品さんも、その時代の遊び(ギャンブル)ならいくらでも思いつくと言っていた。晩ご飯の獲物を囲んで高台であぐらをかき、恐竜たちを競わせる賭けごとに興じている姿が容易に想像できてしまう。
そしてヒマな私はその流れで、自分だったらどうだろうかと考えた。私もまったく賢くないので、吉田さんと同じく山火事を待ちながら木の実を食べ続けていたと思うし、好奇心旺盛な仲間に「海で魚とか獲ろうよ!」などと誘われても、臆病ゆえに飛び込めなかったと思う。
と思ったのだけど、私は臆病者のクセに「ええかっこしい」なので、そういう状況になったら「ウホ、ウホウホッヒィ!(じゃあ、まず私が行ってくるよ!)」とか言って、本当は怖いのにそんな素振りを一切見せず、先陣を切るような気がする。
でも残念ながら、最終的にカッコがつかないのが私の人生。期待に胸を膨らませた仲間たちが帰りを待つ中、いつになっても海から上がってこない私。
これはもうそういうことだな……と原始人ですら察しがつく展開となったその時、海岸の浅瀬に茶色い腰巻きが流れ着く。
仲間のひとりがそれをそっと持ち上げると、中にはキラキラと輝く数匹の小魚たちが……
って、死んでるやないか!
誰に背負わされたわけでもない荷物を勝手に背負い込み、誰に頼まれたわけでもないのに自ら渦中に飛び込んでいくような無謀さは、きっとあの時代でも変わらないのだろうと思ったら、なんとも言えない気持ちになった。
あ、でもそこでアレだ。吉田さん発案のガラガラだ。それがあればみんなで平等にクジを引いて、命が助かる可能性もある。いやでも、黒い実を引いたのがいつも可愛がっている妹分の原始人だったら、「ウホーホ、ウホッヒ(大丈夫、私が行くよ)」とか言って、またしてもカッコつけてしまうのだろうな。
高台では、
「アイツ、また出しゃばっとんな」
「ですね〜」
「成功すると思うか?」
「いや、失敗するにどんぐり全ベット!」
なんて会話をしている粗品さんたちの姿が見える(なんてひどい遊びなんだ)。
隣の集落では、吉田さん主催の『チキチキ!この一回しに命をかけろ!ガラガラポン大会 』が行われているようだ。いつも一等が当たった時に聞こえる、「ヒ〜ハ〜!」という陽気な猿人たちの雄叫びを背に、心配そうに見つめる妹分に下手なウインクをして、私は海へと繰り出す。
粗品さんの「カバンならイケる!」に対抗して、私は「勇気なら出せる!」としておこう。
文明を発展させるほどの知恵なんてないけれど、私のような無謀な猿人たちの数々の挑戦と失敗だって、人類の進化に一役買ったはずだから。
終わり
マイトンさんから回ってきた「エッセイしりとり」に参加させていただきました🤲🏻
こういう企画は初めてだったのでビックリして、関連記事を何度も読んでやっと概要を理解したのですが、肩肘張らずに皆さんが楽しんでいる様子がうかがえたので、私も挑戦してみることにしました。
回ってきた文字は、「か」。
渡された文字から始まるタイトルでエッセイを書く、という事のほかにいくつかの決まりごとはあったけれど、ありがたいことにかなり自由に書いてよさそうだったので、すごくふざけた内容になってしまった;
「吉田と粗品と」という番組の一コマだったのですが、これがもう面白くて。このお二人だからこそ、というのもあるけれど、このテーマでここまで話が広がるのかと感動したほど。内容はかなり前に普段の日記に書き留めていたのだけど、こうやってエッセイに(なってるのかな)できてうれしかったです。
そしてこの話題、真面目に考え始めると結構おもしろい。友人たちとも話したことがあるのだけど、今の仕事に結びつくアイデアが出てきたりと、それぞれの個性がすごく出ていた。皆さんもお時間ありましたら、ぜひ原始時代の自分に思いを馳せてみてください。笑
ちなみに、しりとりなので次の方にバトンを渡さなければいけないのですが、締め切りギリギリなのと、noteでは引っ込み思案でやらせてもらってる(?)ので、次の人に回さなくても良いよ、というお言葉に甘えさせていただきます……(流れ止めてごめんなさい!)
でも、楽しかったです。
マイトンさん、ありがとうございました☺️
