「支店長いますか?」大学教員になって、金融機関を回るようになった。
最近、夏休みを利用して、大学の近くにある金融機関を回っています。
といっても、お金を借りに行っているわけではありません。
目的は、授業やゼミに来てもらえる金融機関との関係づくりです。
大学教員になる前、私は金融機関で働いていました。
それが今では、
「支店長いらっしゃいますか?」
と電話をして、アポイントを取る側になっています。
なんだか、自分も偉くなったような気がします(笑)。
支店に直接電話する
金融機関を訪問するときは、大学から正式に紹介してもらうわけでも、誰かに間を取り持ってもらうわけでもありません。
近くの地方銀行や信用金庫、信用組合を調べて、支店に直接電話します。
「大学の教員をしている者ですが、支店長はいらっしゃいますか?」
そんな感じです。
支店長につないでもらったら、
「一度ご挨拶に伺いたいのですが」
とアポイントを取ります。
いまのところ、1日に回るのは1金融機関。
朝、研究室に行って少し仕事をして、9時半ごろ大学を出ます。
10時から金融機関で面談。
11時過ぎには研究室へ戻って、そこからは研究をしたり、授業の準備をしたりして過ごします。
夏休みは授業がないので、普段より少し時間に余裕があります。
ずっと研究室にいるのもいいのですが、
「せっかくだから、少し外に出てみるか」
という感じで始めました。
大学には、行政出身で地域との連携にとても積極的な先輩教員もいます。
いろいろなところへ出かけて、人とつながって、そこから新しいことを始めている。
近くで見ているうちに、
「大学教員って、こうやって自分から動いてもいいんだな」
と思うようになりました。
たぶん、私も少し影響を受けています。
いきなり「授業に来てください」とは言わない
訪問したら、まずは自己紹介からです。
「以前は金融機関に勤めていて、最近大学教員になりました」
「このエリアは初めてなんですが、いいところですね」
そんな話から始めます。
私が担当しているのは、ファイナンスや事業計画などの授業です。
そこで、
「せっかく大学教員になったので、地域の金融機関とも関係づくりができたらと思って、ご挨拶に来ました」
と話します。
私は銀行員時代に、大学などで金融リテラシー教育に関わる部署にいたこともあります。
金融機関が学校で出張授業をしたり、地域でさまざまな活動をしたりしていることは、なんとなく分かっています。
訪問する前にはホームページを見て、その金融機関がどんな取り組みをしているのかも少し調べておきます。
たとえば、高校への出張授業をしている金融機関なら、
「ホームページを拝見したら、高校で金融教育もされているんですね」
と、こちらから話を振ります。
すると、
「そうなんですよ。こういう取り組みをしていまして……」
と話が広がる。
そこで、
「それなら、大学の授業でも学生に話してもらえませんか」
とつなげていきます。
最初からお願いを切り出すより、この流れの方が自然に話が進みます。
思っていた以上に歓迎してもらえる
実際に回ってみると、思っていた以上に歓迎してもらえます。
支店だけでは決められない話であれば、
「それなら本部の担当部署を紹介しますよ」
と言ってもらえることもあります。
こちらとしても、最初から何か大きな連携をお願いしているわけではありません。
まずは知ってもらう。
そこから、
「授業で一度話してもらえませんか」
くらいにつながれば十分です。
秋学期の授業で、ずっと私だけが話しているより、地域の金融機関の人が来て話してくれた方が、学生もきっと面白いでしょう。
そして私も、授業を1回分ちょっと楽できます(笑)。
もちろん、それだけが目的ではありません。
支店長が「同世代」になっていた
金融機関を回っていて、個人的にいちばん面白かったことがあります。
それは、話をする相手が支店長になったことです。
銀行に入ったばかりのころ、支店長といえばかなり偉い人でした。
新入行員からすると、ずいぶん遠い存在です。
ところが先日、訪問した金融機関の支店長と話していたら、ちょうど私と同じくらいの年齢でした。
考えてみれば、私の新入行員時代の同期も、少しずつ支店長になっている年齢です。
「そうか、もうそういう年齢なんだな」
と妙なところで実感しました。
大学教員になったから偉くなったわけではありません。
単純に、自分たちの世代がそういう役職に就く年齢になったというだけです。
それでも、新入行員のころの感覚が残っているので、
自分から支店に電話をして、
「支店長いらっしゃいますか?」
と言っているのは、少し不思議な感じがします。
最終的には、もっと面白い授業にしたい
いま考えているのは、金融機関の人に講義をしてもらうだけではありません。
たとえば、
地域の金融機関の人に金融について話してもらう。
次に、その金融機関の取引先企業にも来てもらう。
企業から学生に、
「うちには、こんな課題があります」
とお題を出してもらう。
学生がグループで考えて、解決策を提案する。
最後に企業や金融機関の人からフィードバックをもらう。
そんな授業ができたら面白いと思っています。
さらに関係が続けば、金融教材を一緒に作ったり、インターンシップにつながったりするかもしれません。
ただ、今のところ、大学から「金融機関を回ってください」と言われているわけではありません。
勝手にやっています。
大学教員になって感じるのは、こういうところの自由さです。
「こんな授業をやったら面白そうだな」
と思ったら、とりあえず近所の金融機関に電話してみる。
会社員時代だったら、企画書を書いて、上司に相談して、関係部署と調整して……となっていたかもしれません。
大学教員の場合は、まず自分で動ける。
もちろん、実際に大学として何かやる段階になれば調整は必要です。
それでも、最初の一歩はかなり自由です。
夏休みの朝。
研究室から車で近所の金融機関へ行き、支店長と話して、また研究室に戻ってくる。
誰かに指示されたわけではないけれど、
「こんな授業ができたら面白いかも」
と思って、とりあえず動いてみる。
大学教員になる前には、あまり想像していなかった夏休みの過ごし方です。
大学教員の研究室での過ごし方については、こちらの記事にも書いています。
→ 「大学教員の研究室、思っていたより自由だった。」
会社員から大学教員になって気づいたことや、授業・学生・研究室での日常を「なりたて目線」で書いています。
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