⭐︎『19番目のカルテ』に学ぶ、「〜べき」から心を解き放つBPSアプローチの視点⭐︎
ドラマ『19番目のカルテ』で、人の心に深く寄り添う物語が描かれ、またまた胸を打たれました。
その中で紹介された「BPSアプローチ」という考え方が、私たちが抱える問題の本質を理解する上で、非常に大切な視点なので、ご紹介させてください。
「BPSアプローチ」とは?
3つの視点で人をまるごと理解する物語の中で鍵となった「BPSアプローチ」。
これは、バイオ(Bio:生物・身体)、サイコ(Psycho:心理)、ソーシャル(Social:社会・環境)という3つの言葉の頭文字をとったもので、人を理解するためには、この3つの側面から総合的に捉えることが重要だという考え方です。
バイオ(Bio):からだの側面
体に痛みや不調がある場合など、医学的なアプローチが必要な状態です。
専門の医療機関と連携して治療を進めます。
サイコ(Psycho):こころの側面
不安やストレス、悩みなど、心理的な問題を指します。
専門家によるカウンセリングを受けたり、信頼できる人に話を聞いてもらったりすることで、心の負担を軽くしていきます。
ソーシャル(Social):社会・環境の側面
その人を取り巻く環境、例えば家庭、学校、職場での人間関係や、経済的な状況などを指します。
必要であれば、行政の福祉サービスといった公的な支援(フォーマル資源)や、友人や近所の人々とのつながりといった私的な支援(インフォーマル資源)を活用し、環境を調整していきます。
ドラマに登場した総合診療のお医者さんや、私が仕事で関わるスクールソーシャルワーカー(SSW)も、まさにこのBPSの視点を大切にしながら、一人ひとりの背景に寄り添っている点で、どこか似ているなと感じました。
物語が教えてくれた「環境」だけではない、本当の解決
(⚠️以下、物語の核心に触れる部分がありますのでご注意ください⚠️)
今回の物語では、主人公の患者さんが、お母さんの介護に悩んでいました。
この問題に対して、「ソーシャル(社会・環境)」の視点から、お母さんを施設に預けるという環境調整だけを行っていたとしたら、彼女の心からの笑顔は戻らなかったかもしれません。
なぜなら、彼女の心の中には、
「娘として、母の面倒を見るべきだ」
「私が最後まで看なければならない」
という、強い「〜べき」という思い込み(ステレオタイプ)があったからです。
この心理的な「重荷」を抱えたままでは、たとえ環境が変わったとしても、罪悪感に苛まれ、本当の意味で心が休まることはなかったでしょう。
つまり、この問題は、「バイオ・サイコ・ソーシャル」のどれか一つだけを解決しても、本当の幸福(ウェルビーイング)には繋がらなかったのです。
そんな彼女の心を解きほぐしたのは、「そう思わなくてもいいんだよ」「あなたは十分に頑張っているよ」と、その固定観念から解放してくれる支援者の言葉でした。
この言葉が、彼女が新たな一歩を踏み出すための、何よりのきっかけとなったのです。
私たちの日常に活かすBPSの視点
この考え方は、専門家だけのものではありません。
私たちの日常生活でも、誰かを理解しようとするとき、とても役立つ視点になります。
例えば、夏休みの終わりに「お腹が痛い」と訴える子どもがいたとします。
「バイオ(からだ)」の視点だけで見れば、「風邪かな?」「何か悪いものを食べたかな?」と考えて病院に連れて行くでしょう。
しかし、そこに「サイコ(こころ)」や「ソーシャル(環境)」の視点を加えてみると、見える世界が変わってきます。
「もしかして、もうすぐ学校が始まるプレッシャーを感じているのかな?」
「夏休みの宿題が終わっていなくて、不安なのかも?」
「学校で、何か嫌なことがあるのだろうか?」
このように背景を想像することで、ただ「早く治るときいね」と声をかけるだけでなく、「何か心配なことある?」と、心に寄り添う言葉をかけられるかもしれません。
何か一つの出来事を捉えるとき、その人の身体(バイオ)だけでなく、心(サイコ)、そして取り巻く環境(ソーシャル)にも目を向けてみる。
この総合的な視点を持つことで、私たちは自分や周りの人をより深く理解し、本当に必要なサポートが何なのかを見つけられるようになるのだと、この物語は教えてくれたように思います。
夏休みの終わりが見えてきたこの時期。
子どもたちの気持ちは複雑かもしれません。
いつもと少し違うかも!?という様子があったら、「大丈夫?無理しなくていいんだよ。ありのままのあなたがそこに居てくれるだけで、嬉しいよ。」と伝えてあげてほしいなと思っています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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