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スタジオミュージシャン、その偉大さに触れる(前編) | 音楽シリーズ2

今日は、音楽シリーズの第2回。
中高生の頃、ラジオやレコードで音楽を楽しんでいた私が、いかにしてスタジオミュージシャンの存在を知り、その偉大さにリスペクトを持つに至ったのか、また彼らの現在地について私の問題意識をお話しします。


スタジオミュージシャンがバンドを組んだ時代

大学の軽音サークルで、大人の音楽に触れた私でしたが、センスの良いFusion、AORをカバーしていた先輩方の影響を受け、そこから「サウンド志向」「プレーヤー志向」になっていきました。 

70年代後半から80年代初頭の頃、アメリカでは、TOTOやAIRPLAY、Larsen-Feiten Bandなど、スタジオ界隈のセッションプレーヤーが主役となってバンドを結成し、これまでの裏方から、自ら表舞台に出て、演奏だけではなく、歌も歌い、コーラスもするという動きがありました。

LAのスタジオミュージシャンによるバンドTOTO

この動きは、ロックとFusion、Jazz、Soulの融合を進めることとなります。当時最も演奏技術に秀でたプレーヤーたちの原点は、何のことはない、ロックに憧れるバンド小僧だった訳で、「やっぱりバンドやろうぜ」ということだったのです。

大人の音楽は、スタジオミュージシャンたちが創った


この動きは、まさに当時のAORブームとも符合しています。ロック少年、バンド小僧だったスタジオミュージシャンですが、スタジオワークの中で洗練された技術やサウンドづくりを磨いた結果、単なるロックではない、新しい音楽が生まれたということです。

当時の大人の音楽を牽引していたのは、凄腕のスタジオミュージシャン達だったと言えるでしょう。

歌モノだけでなくインストも

また、歌モノだけではなく、スタジオミュージシャン達によるFusionバンドも活躍していました。NYの手練れ集団であるStuffや、LAのKARIZMAなどです。

NYのスタジオミュージシャンが結成したStuffの1stアルバム

余談ですが、大学時代には、さすがにStuffは渋すぎて、これを演っている学生は私の周囲にはいませんでした。

私自身が、Stuffの良さを理解し、心に染みるようになったのは40歳過ぎてからで、松木恒秀さん、岡沢章さん、渡嘉敷祐一さん、野力奏一さんという、日本の一流スタジオミュージシャンによるバンド「What is HIP?」を六本木Pit Innに観にいくようになり、彼らがStuffのカバーをしているのを聴くようになってからです。

巨匠STEELY DAN

また、Steely Danのように、バンドから出発したものの、ソングライターチームが、曲に応じてスタジオミュージシャンを招集し、アルバム制作することが活動の主軸となっていったユニットもありました。

彼らの「レコード芸術」といえる作品は我々の憧れであり、「この曲はラリーカールトンがソロ弾いてるんだよね」とか、「この曲はジェイグレイドンだよね」とか、スタジオミュージシャンの入魂のプレイを聴くことが楽しくて仕方ありませんでした。

Steely Danの名盤「Royal Scam」

お洒落だった西海岸AOR

私は、オフコースからの流れで、コーラスの美しい歌モノが好きでしたので、特にアメリカ西海岸系のAORが好きで、TOTO勢の参加アルバムを中心に聴き漁っていました。特にBoz Scaggsが好きでした。

TOTOのメンバーも参加、Boz Scaggs「Middle Man」

そして、西海岸系といえば、プロデューサーでもあり、プレーヤーとしても秀逸なDavid FosterとJay GraydonというAIRPLAYの二人も忘れてはいけません。
お二人の雄姿は1994年にJT主催の「スーパープロデューサーズ」というコンサートで拝見することができました。コンサートの一曲目がStrandedですから、鼻血ものです。

巨匠2人によるスーパーユニットAIRPLAY

AB’Sから遡る

前回、大学生になった私が、軽音の先輩による新歓コンサートでAB’Sのナンバーを聴いて、そのリズムとハーモニーの複雑さに非常に衝撃を受けた、という話を致しました。

その曲がDestinationという曲です。AB’Sの2ndアルバムの1曲目に入っています。渡辺直樹さんのスラップベースのリフが唯一無二で、これまでに聴いた8ビートのどの曲とも全く違うアプローチに仰天しました。

ロンドン録音の名盤「AB'S 2」

そこからAB'Sのメンバーが過去に属していたバンドなどに遡っていくことになります。芳野藤丸さんが所属していたSHOGUNや、ドラムの岡本敦男さん、ベースの渡辺直樹さんが所属していたスペクトラム、作詞とキーボード担当の安藤芳彦さんが所属していたパラシュートなどです。

SHOGUNの2ndアルバム「ROTATION」
SPECTRUMの4thアルバム「SECOND NAVIGATION」

芳野藤丸さんとのツインギターが魅力のAB’Sですが、もう一人のギタリストである松下誠さんは82年にアルファムーンからソロデビューしています。

松下誠のソロデビュー作「First Light」

AB’Sのサウンドが他のどのバンドにも似ていないのは、彼の貢献が非常に大きいです。彼のソロアルバム「Pressures and Pleasures」や彼の参加するバンドParadigm Shiftを聴いていただけると、プログレからの影響を色濃く受けた、彼の芸域の広さをわかっていただけると思います。

次回予告

さて、次回は、AB’Sのベーシストであり、私のベースの師匠でもある渡辺直樹さんとの出会いから、最近の音楽シーン、特にスタジオミュージシャンの活動状況などについて思うところを語りたいと思います。

後編に続きます!


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