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【恋愛】 デートの夜、男が見ているものと女が見ているものが違いすぎる

若い頃、「今夜こそ」と思ったデートがあった。

コースは事前に地図で確認した。
さりげなくホテルの多いエリアを通るように
仕込んだ。
自分なりに周到だったつもりだ。

彼女はあっさり帰った。

翌日、彼女から連絡が来た。
「昨日の食事、美味しかったね。またおごってね!」

俺が覚えているのは、高額な食事の代金だけだ。


こういったすれ違い、みんな、覚えがありませんか?

付き合いたての頃、突然求めてくる彼に
戸惑った女性。
「え、今?」と言われて、
何が「今じゃない」のかまったくわからなかった男性。

喧嘩の翌日、やっと気持ちが戻ってきた夜に、
何事もなかったように「今日はどう?」と
迫ってくる彼。
こっちはまだ昨日のことを引きずっているのに。

逆もある。半年付き合っても全然求めてこない彼に
「私に興味がないのかな?」と不安になった女性。
求めたいけど女性側からは言い出しにくい。

男性側にも声がある。
「何度か誘って断られて、心が折れた。
もう誘わない。」
「ちょっとでも拒絶された感じがすると、
勇気が出ない。」
男は、実はメンタルが弱い、と自嘲する声も多い。

二人とも相手のことが好きで、
誠実に向き合っているのに、
ぎくしゃくする。


男は「喉の渇き」、女は「食事」

まず、なぜすれ違うのか。

2007年、テキサス大学の研究者が
「なぜセックスをするか」を大規模調査した。
444人への聞き取りから237の理由を抽出し、
1500人以上に評価させた結果、
上位の動機は男女でほぼ同じだった。
「相手に惹かれた」「気持ちいいから」
「愛情を表現したかった」が動機で、
大きな差はなかった。

動機は似ているのに、
なぜこんなにもぎくしゃくするのか。

それは、何を体験として求めているかが、
そもそも違うからだ。

男にとってセックスは、どちらかといえば
喉の渇きを潤すことに近い。
渇いたから飲む。雰囲気も文脈も関係ない。
昨日、何があったかも関係ない。
この瞬間、渇いている。それだけ。

女にとってセックスは、どちらかといえば
食事をすることに近い。
空腹だけでは始まらない。
誰と食べるか、どんな空気か、
今日どんな一日だったか。
腹を満たせばいいというものでなく、
色々なものがテーブルに乗ってくる。
疲れた日に豪華な食事を出されても、気が乗らない。

男は突然求めるけど、女は突然求められても困る。

カナダの性科学者が2000年に示したモデルがある。
男の欲求は自発的で、
何もなくても「したい」状態になる。
視覚的な刺激、ちょっとした想像、
それだけで火がつく。

女の欲求は反応的で、関係性の満足度、
感情的なつながり、
今日どう扱われたか。
それらが先にあって、欲求はその後ついてくる。

だから男は「昨日のこととセックスは別の話」と思い、
女は「昨日のことが解決していないのに、
そういう気分になれるわけがない」と思う。
男と女の欲求の方向は異なり、見ている時間軸もずれてしまう。

日本の調査でも似た結果が出ている。
女性がセックスに感じるイメージの1位は
「スキンシップ」、
男性の1位は「気持ちいい」だった。
同じ行為に、別の意味を重ねている。


なぜ、解消されないのか

すれ違いがあるなら、話し合えばいい、
と思うかもしれない。

でも、二つの理由で解消されない。

一つ目は、両方が黙っていること。

女性は満足していないのに言わない。

「触り方が雑だけど、言ったら傷つける。」
「毎回同じだけど、切り出し方がわからない。」
「そもそもセックスのことを話題にすること自体、
変な感じがする。」

食事の感想なら言える。
「今日の料理、ちょっと塩辛かった。」
と言っても関係は壊れない。
でもセックスへの不満は、
言い方を間違えると相手のアイデンティティを
傷つける。
だから、黙る。

男性も、求めることをやめている。
断られた瞬間、渇きより先に、
自分が否定された気になる。
だから「断られるくらいなら、
最初から求めない」になる。

女性が引く。男性が求めるのをやめる。
女性は「求めてこない、もう好きじゃないんだ」と
読む。
さらに引く。男性はさらに萎える。

双方が沈黙して、誰も動けなくなる。

日本の夫婦のセックスレス率が5割を
超えているのは、
個々の夫婦の問題じゃない。
この構造が積み重なった結果だ。
付き合いたてのカップルでも、
結婚二十年の夫婦でも、同じことが起きている。

二つ目は、自分の見方で相手を理解しようとすること。

男は自分が「喉の渇き型」だから、
女性も同じだと思い込む。だから突然求める。
女性からすると「なんで今?」になる。

女は自分が「食事型」だから、
男性も同じだと思い込む。
だからテーブルの空気が悪いと引く。
男性からすると
「昨日のこととセックスは別の話なのに」となる。

悪意があってのすれ違いじゃない。
自分の経験が、
そのまま相手理解のモデルになってしまっている。
自分目線で誠実に考えた結果、ピントがずれる。


悪いのは、誰でもない

そもそも見ている景色が違う生き物同士が、
同じ夜に同じ場所にいる。それだけの話だ。

あのとき、俺はただ渇いていただけだった。

彼女はディナーだけを見ていて、
その後に「二次会」があることは
全く予想していなかったのだ。

俺は彼女に、「二次会」があることを
匂わせておくべきだったのかもしれない。


エロ話にするつもりだった。

でも、彼女が帰ってしまったので
エロにはならなかった。 完

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