見出し画像

【夫婦関係】 妻は、答えを求めていなかったらしい

妻と言い合いになった夜、
私はずっと正しいことを言っていた。
事実を述べ、理由を説明し、
筋の通った答えを返し続けた。

それがまずかった。

長い間、私は勘違いしていた。
妻の質問には、答えが必要だと思っていた。

「最近帰り遅いよね」

男はこれを事実確認の質問だと思う。
だからこう答える。

「仕事忙しいんだよ」

質問に答えただけなのに、
なぜか話がこじれていくあの感じ。
たぶん、多くの夫が一度は経験していると思う。

夫婦の会話には、
問題解決とは別の役割がある。
関係の温度を確かめることだ。

「最近帰り遅いよね」

この質問の裏で、
別のことを測っていることがある。

「私は、まだ、あなたにとって大事?」

妻が見ているのは、
答えそのものではない。

反応である。

思い返すと、心当たりがある。

「最近帰り遅いよね」と訊かれたとき、
私はパソコンから目を離さずに答えた。

内容は正しかった。
でも妻は、それきり黙った。

「ごめん、最近忙しくて。寂しかった?」

あのとき、こう言えていたら。

妻は、言葉よりも、
その温度を見ている。

では、なぜ最初から

「私を大事に思ってる?」

と聞かないのか。

直接聞くと、
言葉の答えしか返ってこない。

「思ってるよ」

それが本心なのか、
聞かれたから言っただけなのかは
分からない。
だから反応から測ろうとする。

それに、怖い。

もし面倒くさそうな顔をされたら。
傷は深い。

「最近帰り遅いよね」

なら、まだ引き返せる。

遠回しな言い方は、
回りくどいのではない。
心の柔らかい部分を守る方法でもある。

そしてもう一つ。

言われてから優しくすることと、
気づいて優しくすることは、
同じではない。

頼まれてから抱きしめるのと、
様子を見て抱きしめるのでは、
後者の方が「大事にされている感じ」が強い。

直接聞いてしまうと、
その差がなくなる。

ただし、夫はエスパーではない。
遠回しなサインに気づけなければ、
テストのような会話が続く。

「何を言っても地雷になる」
「この人と話すと試験みたいだ」

だから本当は、
どこかで言葉にすることも必要になる。

夫婦喧嘩の奥には、
たいてい単純な問いがある。

「私は大事にされている?」

本当に大事なことほど、
人は直接聞けない。
だから遠回しになる。
だからすれ違う。

直接言えないのは、弱さではない。
それだけ大事にされたいと
思っているからだ。

長い間、私は勘違いしていた。
妻の言葉には、答えが必要だと思っていた。

しかしどうやら、
そうではなかったらしい。

妻が見ていたのは、
答えではなく、
そのときの私の反応だったのだ。

夫婦喧嘩とは、
もしかすると

愛情をどう確認するかの
方式の違いで
起こっているのかもしれない。

いいなと思ったら応援しよう!

しくみノート よろしければ応援お願いします。記事作成の励みになります!