明白な分割 ― ルネ・シャールを読んで
人間には、普段は見えない部分がある。
理性や社会のルールによって、うまく覆い隠されている部分だ。
しかし、ある時代になると、それが一気に露出する。
戦争や混乱のような状況では、人間の中にある「恥ずべきもの」が、むき出しになる。
ルネ・シャールが書いているのは、そういう瞬間のことだと思う。
これは歴史の中だけの話ではない。
個人の中でも同じことが起きる。
たとえば思春期や反抗期。
理性のコントロールが効かなくなり、自分でも扱いきれない衝動があふれてくる。
普段は抑えられていたものが、突然顔を出す。
人間の中には、最初から善と悪の両方がある。
きれいな部分だけでできているわけではない。
では、そのとき詩人は何をするのか。
隠されていたものを、そのまま見える形にする。
見たくないもの、言葉にならないものを、あえて言葉にする。
詩人とは、人間の内側を映し出す装置のような存在なのだと思う。
そしてもう一つ、気になることがある。
人はときに、苦しみそのものに引きつけられる。
強い感情や極端な状況の中に、どこか快楽に似たものを感じることがある。
もしそうだとすれば、
受苦とは、裏返しになった快楽なのかもしれない。
人間の中には、そういうねじれた構造がある。
