農水省官僚辞めてネギ農家になります[退職エントリ]
はじめまして。栃木県の那須地域にある人口約100人の集落に移住して、来年の新規就農に向けて研修中の高野と申します。
栃木には地縁ゼロ、血縁ゼロ、農機具も農地もゼロ。実家は東京のサラリーマン家庭で、大学卒業後に就いた仕事は、新聞記者と国家公務員でした。
まるで農業、農家とは程遠い環境で育ってきた私が、なぜ栃木の那須で農家になろうと決めたのか、語らせて下さい。
私は1993年生まれ、東京の多摩地域で育ちました。
多摩地域の公立学校を小中高と卒業してから早稲田大学法学部に入学。お酒の飲みすぎと中国留学で2年留年してから、新卒で日本経済新聞社に記者職として就職しました。
入社当時は、中国への留学経験をいかして「中国報道をやりたい!」と考えていました。

が、日経新聞社で最初に配属になったのが、野菜の市況担当(@東京本社)。新人がよく配属される、登竜門的な担当の一つでした。
当時の部長から「高野くんは英語ができないから、ヤサイでいいかな?」と、投げやりに配属を決められたのを覚えています。
入社当時、新卒生はTOIECの試験を受けさせられたのですが、私は400点台/990点と同期の中で最低点を叩き出したので、英語を使わないでも仕事が出来そうな、ドメスティック部署の野菜担当にされたようです。ヤサイは海外先物とか関係ないですからね。
ただ今思えば、これが人生の転機でした。
日経では、野菜をやってから、その次は米の担当になりました。産地や市場、流通や小売、農水省に話を聞いて現地に行って、記事を書く日々。
そして、野菜・米担当として取材する中で、私は農業に「ハマって」しまいました。
この業界でお会いした素朴で飾らない方々が好きだったし、産地や市場に取材へ行ったときの「現場感」も楽しかった。

品目ごとのニッチな事情があるのも面白かった。農産物と言ってもどんな料理やシチュエーションに使うのかがぜんぜん違う。それが需給や価格に反映される。農業と農作物の世界は、掘れば掘るほど面白い。
野菜と米の担当を外れたあとも、「農業を自分の専門にしたい」という思いを持つようになりました。
その後、群馬県での地方勤務のほか、雑誌社への転職を経験。それから農林水産省へ移籍します。
農林水産省は省庁の中でも比較的、中途採用を頑張っているので、私のような経歴でもチャンスがありました。
文系の総合職採用で係長として着任し、大臣官房広報評価課、大臣官房政策課の2ポストを経験します。
大臣官房は省全体の取りまとめ部局で、具体的な政策分野を所管すると言うより、省内外の関係各所との調整ばかりしていた記憶があります。現場と遠く物足りなさはある一方、政策形成の全体感は掴めたかなと思います。

地方議員などの政治関係者や、陳情・意見交換にお越しになる農家さんの対応もしていて、「農水省としては今、こういう取組をしていて、ご懸念の点についてはカクカクシカジカ…」と、ご説明申し上げていました。
国会の質問があたった時は、国会答弁も書きました。大臣や局長級の偉い人が答弁案をフィックスするまでに、私が作った答弁案は、原型がほとんどなくなっていましたが…
農政の端っこで仕事をする中で、高齢農家さんの大離農が予想されるこの時代、「農業者にはやりがいとビジネスチャンスがある」という結論に至り、自分自身での就農を考えるようになりました。
就農候補地は関東と南東北で絞っていたのですが、その中でリサーチをかけて、関心を持った市町村を休暇を使って訪問。十数カ所は行きましたね。
見聞を広める中で、自分がやりたい農業は何なのかを考え、行きついたのが農地を広く使った露地栽培。そして、露地栽培で1年の研修で新規就農者を募集している産地、品目でヒットしたのが「那須のネギ」でした。
那須のネギ農家さんのところへ勉強に通うようになり、覚悟を決めて那須にアパートも借りて、東京との2地域居住を始めました。

そうこうしているうち、那須で農地付きで家を売りたいという話をいただき、農水省を辞めて年明けに那須に移住したところです。
今は那須地域のネギ農家さんのもとで研修を受けていて、来年の4月に正式に農家デビューする予定で動いています。
農水省の就農準備の補助金は対象外なので、一緒に来てくれた妻とそれぞれバイトして食いつなぐ日々です。
冒頭にも述べた通り、私たちが選んだ移住先は人口約100人の小さな集落。高齢化でほどなく「限界集落」になることが予想される過疎地域です。
「なんでこんな山奥に?」と地域の方からはよく言われますが、自然豊かで、景色がとても綺麗で、静かで住みやすい里山です。集落の方々もいい人たちばかり。

よそ者ならではの視点を活かしながら、この地域をどう存続させていくか。今後は農業に限らず、里山の資源をフル活用した事業を作っていけたらなと思っています。
今後は"就農"に向けて、起きた出来事や思ったことを随時書いていきます。ご興味ある方はフォローと応援を、どうかよろしくお願いいたします!
