【AUS旅16】ダービーでのWWOOF生活(短編集)
ダービーでのWWOOF生活の思い出を、短編集としてまとめてみる。
ラブロマンスあり、ヒューマンあり、コメディあり、ホラーあり。
登場人物
アクセル(フランス人、男性、20代前半)
私より先に滞在していた
deaf(耳が不自由)であり、音は30%しか聞こえないそう
英語は日常会話レベル
陽気、ちょっと抜けているが真面目
実はモニカのことが好き
モニカ(ネパール人、女性、20代?)
おそらく、我々の中で最も初期に滞在していたクルー
主にキャンプ場の受付係をしていた
英語はとても上手
陽気、おっとり系
アクセルが自分のことを好きだということは、微塵も感じていない
ヴァルト(フィンランド人、男性、20代前半)
私より先に滞在していた
元軍隊所属でスキーが上手らしい
英語はとても上手
陽気、紳士、でもちょっと自信家
自分の信念で動くタイプ
ジョシュ(イギリス人、男性、20~30代前半)
私より後に滞在していた
ジェシカの彼氏
全身にタトゥー、大きなピアスがある
背が高い
厳つい見た目とは裏腹にとても優しい
ジェシカ(イギリス人、女性、20~30代前半)
ジョシュの彼女
同じく全身にタトゥー、大きなピアスがある
背はちょっと低い
クールな感じであまりたくさん話すことはないが、イケてる人
勝手なイメージでは、土屋アンナさんや椎名林檎さんみたいな感じ
ブラム(オランダ人、男性、50代?)
WWOOFのホストで、この滞在先の管理人
おそらく長い間ここで暮らしている
とても優しい紳士的なおじ様
英語はとても上手
WWOOF活動のあれこれは、この人から教わった
エヴィ(オランダ人、女性、50代?)
おそらく長い間ここで暮らしている
映画「ノマドランド」の主人公のような雰囲気
瞑想や踊りがたぶん好き
最初はブラムと夫婦かな?と思ったが違った
陽気、とても優しい
ヴィクトリア(オーストラリア人、女性、30~40代?)
私より後に滞在してきた
娘と息子を連れて「ホームスクール」としてオーストラリアを旅している
スタイルが良く、元気なお母さんという感じ
後で私たちは共に旅をすることになる
アクセル、サッカーで親指の爪剥がれる
アクセルはいつもビーチサンダルで生活している。
気候的にも寒くないので、おそらくここにいる間はずっとビーチサンダルなのだろう。
服は、サッカーで有名なブランドのTシャツと短パンで、いかにもサッカー少年という雰囲気だった。
だけど、そこまでサッカーが得意というわけではないみたいだ。
「米どころだからお酒強いでしょ」という偏見と一緒で、私は勝手に「フランス人だからサッカー上手でしょ」と思っていたのかもしれない。
彼は、特にスポーツをやってきたわけではないようだ。
「アクセル、パスし合いっこしようぜ」
「いいよ」
暇すぎたので、そこら辺に落ちていたサッカーボールで私たちはパス遊びを始めた。
どんどんボールの勢いが増していく。
私はサッカー経験者ではないが、楽しくなってきたので、頑張って食らいついた。
アクセルも、さすがにフランス人の誇りがあるのか、負けじと強いパスを返してくる。
ビーチサンダルで。
それが仇となった。
「メキャッ」
という聞いたこともない音がしたと思ったら、彼は右足を抑えてうずくまった。
足の親指の爪が根こそぎ剥がれていた。
「フー、フー、」
彼は痛みに耐えていた。
「大丈夫か!?」という私の声も、彼にはあまり届いていないように思えた。
急いでモニカのところに行って事情を説明し、救急道具を持ってきてもらった。
「大丈夫?」
モニカがアクセルの顔を覗き込むと、アクセルはそれまで「フー、フー、」言っていたのに、クールに「大丈夫だ、問題ない」とカッコつけていた。
(やるじゃん)
でも、どう見ても痛いし血だらけなので、モニカは手当をしてくれた。
足を洗ったり、消毒したり、包帯を巻いたりしてくれた。
私はこの時すでに知っていた。
アクセルはモニカのことが好きだということ、そしてモニカはアクセルの気持ちを全く知らないということを。
(いいねぇ~)
(今日もいい仕事したなぁ~)
私は汚れた足を洗うためにその場を去った。
それから、指が直るまではかなりの時間がかかったと思う。
アクセルは耳が遠いから、モニカはおのずと寄り添ってケガの具合を診てくれていた。
アクセルは楽しい日々を過ごせただろうか。
エヴィ、ファイアーダンスで髪燃やす
夕食後は、キャンプファイアーをみんなで囲んで、思い思いの時を過ごすのが習慣だった。
寝る人もいれば、じっと火を見つめる人もいる。
酔っぱらって火のついた物を振り回して踊る人もいる。
それがエヴィだ。
全く悪い人ではない。
むしろとても良い人だが、よくお酒を飲みすぎる。
飲みすぎると陽気になり、喋り散らしたり、踊ったり、注意散漫になる。
その日は、なぜか急にファイアーダンス(紐のついた火の玉を両手でクルクル回す)をし始めた。
「絶対やばいやつじゃん…」
みんな、絶対同じことを考えていたと思う。
「自分に絡みついて、火だるまにならねぇでくれよな」
みんな、絶対同じことを考えていたと思う。
案の定、火の玉は彼女に絡みついた。
私たちはすでに心と体の準備ができていたので、すぐに対処することができた。
だが一歩遅く、エヴィの髪の毛に燃え移ってしまった。
そこからの地獄絵図。
「ギヤァァァッ」
魔女の叫びとともに暴れ狂うエヴィ。
冷静になればすぐに鎮火できるが、酔っ払いダンスで手が出しにくい。
それでも、さすがのブラムがすぐに火消しに入ってくれた。
おかげで、髪の毛が少し燃えただけで済んだ。
一旦落ち着いた。
落ち着くと、ふと冷静な思考が頭をよぎる。
「オレはここで何をしているんだろうか(笑)」と。
ヴァルトからの指摘
私は英語を話せるようになりたかった。
そのために、日本からとんでもなく分厚い世界史の英語本『World History: Patterns of Interaction』を持ってきていた。
それをひたすら書いて勉強していた。
それで英語ができるようになると思っていた。
なぜかは聞かないでほしい。
あるとき、ヴァルトが勉強している私に言ってきた。
「そんなことをやるより、話す方が絶対に上達するよ」
クソ野郎。
お前は元軍隊のエリートで、自信たっぷりだからそういうことが平気で言えるんだろうが。
オレは、自分なりの方法で頑張っているんだ。
見てろ、絶対に流暢にしゃべれるようになってやる。
次の日、冷静になったら「ヴァルト様のおっしゃる通りだ」と思った。
その日から「勉強」をやめた。
アボリジニフェスでハンバーガーショップ開催
毎年、近くのアボリジニフェスで屋台を出しているそうだ。
屋台は「ハンバーガーショップ」、いかにもオーストラリアらしい。
メニューは2つしかないが、だいぶイケている。
Croc Burger
Roo Burger
まず「Croc」は、Crocodile(クロコダイル、ワニ)だ。
最初の印象は「食べられる側じゃないんだ」だった。
味は鶏肉みたいで、臭みもなく、とても美味しい。
次に「Roo」は、Kangaroo(カンガルー)だ。
最初の印象は「食べていいの?」だった。
味は豚や牛の赤身肉に近い感じで、これも臭み無く、とても美味しい。
どちらにも、レタスと玉ねぎ、チーズを挟む。
これが、飛ぶように売れる。
一週間前の準備段階で食材が届いたとき、「業務スーパーかよ」と思うくらい大量に届いて驚いたが、全然足りないくらいだった。
バンズの用意、玉ねぎを焼く、肉を焼く、注文、会計と何気にたくさんやるべきことがあって、みんなで終始あたふたしていた。
だけど、ここはオーストラリアかつフェス。
ちょっと形がだめでも、時間がかかっても、笑い飛ばせるパワーが会場を包み込んでいた。
最高に疲れて、最高に楽しかった。
まかないで、Croc BurgerとRoo Burgerを贅沢に2個食いしたあの日のことは忘れない。
ヴィクトリア家族とジブリ鑑賞
当時はちょうど「風立ちぬ」が出たころだったと思う。
ヴィクトリア家族は、私が2週間ほど滞在したころに訪れてきた。
父親はいないっぽかったが、とても幸せそうな家族だった。
オーストラリアには「ホームスクール」という制度があって、正確な情報はわからないのでご了承いただきたいが、要は「学校だけが教育ではない」「家でしっかり教育することも大事」「それができるなら長期的に学校を休んでもよい」というものだ。
彼らはその制度を使って、義務教育の中でオーストラリアを旅する、という個人的には非常に興味深い生活を送っていた。
「日本から来たの?じゃあジブリ詳しい?」
娘と息子はおそらく小学校低学年くらいだと思うが、興味津々に私に聞いてきた。
私は結構ジブリが好きで、ある程度の作品は内容も覚えていたので、話が弾んだ。
彼らはとても喜んでくれた。
ジブリと私は「日本」ということだけしか関係がないが、彼らにとっては何か近しいものを感じるようだ。
少しでも幸せに感じてくれるならそれで私も幸せだった。
「新しい作品知ってる?DVD一緒にみない?」
ジブリで新しい作品が出ていることを知らなかった。
彼らはなぜか「風立ちぬ」のDVDをすでに持っていた。
「一緒に見たい!」
即返事で一緒に見ることにした。
ただ、1つ大きな問題点があった。
そのDVDは英語吹替版だった。
日本語吹替版があるように、英語吹替版もそりゃあるわな。
特に子どもたちにとっては、ましてアニメだし、吹替の方が圧倒的に良いよな。
当然、日本語字幕というものは備わっていない。
英語が備わっていない私は、ジブリの優れた表現力と世界観のみで、ストーリーと伝えたいメッセージを必死に読み取った。
映画を見終わった後、不思議といつもと違う感動があった。
英語でわかりにくかったはずなのに、なぜか心に残るような感覚があった。
新しい発見。
思いもよらぬ偶然から生まれる発見は、何物にも代え難い貴重なものだと思った。
この件に関しては、特に使い道はないけれど。
終わりに
今回は適当に短編集を書いてみた。
まだまだ思い出はたくさんあるけど、次に行きたいと思う。
登場人物を全員ちゃんと出せなかったけど、ご愛嬌ということで。
次は、このヴィクトリア家族との旅について書いていきたいと思う。
これも私にとって最高(もはや甲乙つけがたいが)の想い出の1つである。
