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カエルと僕とお風呂と【 シロクマ文芸部 】

水たまりに浸かりながらカエルは言った。

「まぁゆっくり入っていけよ」

会社からの帰り道、僕は水たまりにいるカエルを見つけた。
カエルは両手両足を広げ、お風呂に浸かっている時のようなリラックススタイルで、とても気持ちよさそうにしていた。
僕はその姿が気になり、立ち止まったままじっと見ていた。
すると僕に気づいたらカエルが、水たまりに誘った。

「いや、いいよ。濡れちゃうから」
「あ、っそ。こんなに気持ちいいのにもったいない。人生損してるぞ」

そこまでのものか。

「家に帰ったら僕はあったかーいお風呂に入るからいいよ。そんな冷たいのじゃなくて」
「へー、あったかーいの。それ気持ちいい?」
「まぁ僕は好きだけど」
「じゃあ連れてってよ。それ、入りたい」

カエルは水たまりからザッと上がると自分の体を丁寧に拭き、開いたままの傘の下から畳まれた服を取り出し、器用にちゃちゃっと着た。
それから長靴を履き、さっきの傘をさしたら準備完了。

「じゃあ行こうか」

いや、それ僕のセリフ。って、本当に行くんだ。

家に着くと僕はすぐにお風呂にお湯をため始めた。
その間、カエルはおやつを食べながらテレビを見ていた。
「明日の天気は…」と言っているのが聞こえたが
お湯がたまりお風呂の用意ができたのでカエルに声をかける。

「待ってましたー!どれどれ…」

ちゃぷん。
カエルのほっぺが徐々にピンク色に染まる。
気分がいいのか鼻歌まで聞こえる。
これ、絶対に気持ちいいって思ってるぞ。
やっぱりあったかいお風呂は最高だよなぁ。

でも少し経つと、僕はなんだか急に心配になってきた。
僕は慌てて洗面器に水をはる。

「これもあるから。適当に使って」
「お、悪いね。助かるぅ〜…」

カエルはゆっくりとお風呂から洗面器へ移動する。
そしてまた両手両足を広げ、あのリラックススタイルでゆったりとくつろいだ。

「なかなかいいね、あったかいのも。冷たいのも知っているからこそ、どちらの良さもわかる」

そんなことをケロケロと言いながら、カエルはまた、あったかい方にも入った。

「僕はお風呂上がりには冷たいアイスを食べるのが好きだけどね」
「なるほど。そりゃあ良さそうだな」

お風呂上がり、カエルと僕は二人でアイスを半分こした。

テレビからは明日の天気を伝える音が流れていた。



【おしまい】

***

今週のシロクマ文芸部でした🐨


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