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Sakana Fuguとは?Codexの頭脳として動く日本発のマルチエージェントAIを深掘り

2026年6月、日本発のAI企業であるSakana AIが、新たなAIサービス「Sakana Fugu」を発表しました。

Fuguの特徴は、GPTやClaude、Geminiのような1つの巨大言語モデルだけで、すべての処理を行う仕組みではないことです。

複数の高性能AIモデルを用意し、依頼された内容に応じてモデルを選んだり、役割を分けたりしながら、最終的に1つの回答として返します。

公式サイトでは「マルチエージェントを指揮する、一つのモデル」と表現されています。

ただ、仕組みを調べ始めると、少し混乱しやすい部分もあります。

  • Fuguは単独で操作するアプリなのか

  • CodexやClaude CodeがFuguの中で動くのか

  • ClaudeやGPTはどこで使われているのか

  • 通常版のFuguとFugu Ultraは何が違うのか

今回は、現在公式に案内されている標準的な使い方をもとに、Sakana Fuguの構成と内部の仕組みを整理します。

※本記事は2026年6月24日時点の公式情報をもとにしています。


Sakana AIとは

Sakana AIは、2023年に設立された東京拠点のAI研究開発企業です。

本社は東京都港区の麻布台ヒルズにあり、Google Brainで日本の研究チームを率いていたデイビッド・ハ氏や、現在の生成AIを支えるTransformerの基礎論文「Attention Is All You Need」の共著者であるリオン・ジョーンズ氏らが共同創業しています。

Sakana AIという社名やロゴには、魚の群れのように複数の個体が協力する「集合知」の考え方が込められています。

1つのモデルを大型化するだけではなく、複数のモデルやエージェントを組み合わせ、それぞれの能力を引き出す研究を進めてきました。

Sakana Fuguも、その考え方を一般に利用できるサービスへ発展させたものです。


Sakana Fuguとは

Sakana Fuguは、複数のAIモデルを連携させたマルチエージェントシステムです。

利用者からは1つのAIモデルに見えますが、その奥では複数のモデルが動いています。

技術報告書では、モデルプールに含まれる代表例として、次のモデルが挙げられています。

  • OpenAIのGPT-5.5

  • AnthropicのClaude Opus 4.8

  • GoogleのGemini 3.1 Pro

ただし、利用者が毎回この3つへ個別に指示を出すわけではありません。

利用者はFuguへ1つの依頼を送り、Fuguが内容に応じて、どのモデルへ任せるかを判断します。

複雑な問題では、複数のモデルへ作業を分け、結果の比較や検証、統合まで行います。

1つのAPIから複数のAIを利用する

Sakana Fuguは、OpenAI互換APIとして提供されています。

既存のアプリや開発ツールから見ると、Fuguも通常のAIモデルと同じように呼び出せます。

利用者がFuguへ指示を送ると、Fuguが内容を分析し、GPT、Claude、Geminiなどの中から適したモデルを選びます。その後、得られた結果を整理し、1つの回答として利用者へ返します。

複数のAIが動いていても、利用者側でモデルごとのAPI接続や役割分担を管理する必要はありません。

モデルの選択、検証、結果の統合までをFugu側が担当するため、利用者からは1つのAIモデルとして見える仕組みです。


最初に押さえたい:Fuguはデスクトップアプリではない

Sakana Fuguを理解するうえで、最初に押さえたいのがこの点です。

Fuguは、CodexやClaude Codeのように、単独で起動して操作するコーディングアプリではありません。

Fuguは、Codexなどから呼び出して使う「頭脳側のモデルAPI」です。

公式の導入手順では、Codex CLIへFuguの接続設定を追加し、`codex-fugu`というコマンドから起動する方法が案内されています。

操作の入り口はCodexのままですが、AIへの問い合わせ先はOpenAIのモデルではなく、Sakana Fuguへ切り替わります。

Codex CLI自体は作業画面やローカル環境との接続を担当し、その先にある頭脳としてFuguを利用する構成です。


CodexとSakana Fuguの役割

CodexとFuguは、同じ処理を担当しているわけではありません。

それぞれの役割を分けると、全体の構成が見えてきます。

Codexが担当すること

Codexは、ユーザーとローカル環境をつなぐコーディングエージェントです。

主に次の処理を担当します。

  • ユーザーから指示を受け取る

  • プロジェクト内のファイルを読む

  • 必要な情報をFuguへ送る

  • ファイルを作成・編集する

  • ターミナルでコマンドを実行する

  • テスト結果やエラーを取得する

  • Gitや開発環境を操作する

Fuguが担当すること

Fuguは、Codexから受け取った情報をもとに、次に何をするかを考える頭脳です。

主に次の処理を担当します。

  • 指示内容や現在の状況を分析する

  • 適したAIモデルを選ぶ

  • 必要に応じて複数モデルを連携させる

  • 修正方法や確認手順を考える

  • 複数の回答を比較・検証する

  • Codexへ次の作業内容を返す

一言で表すと、Codexが手足、Fuguが頭脳という関係です。

Fuguの内部にCodexが入っているのではなく、CodexがFuguをモデルとして呼び出します。


Codexへ指示してから作業が完了するまで

たとえば、Codexへ次のように依頼したとします。

ログイン処理で発生しているエラーを調べて修正して

このとき、処理はおおむね次の流れで進みます。

1.Codexがプロジェクトを確認する

Codexが関連するファイルやエラーログを読み取ります。

プロジェクトの構成、現在のコード、利用可能なツールなどを整理し、Fuguへ送ります。

2.Fuguが適したモデルを選ぶ

Fuguは受け取った内容を分析し、モデルプールの中から、その段階に適したAIを選びます。

たとえば、最初の実装や作業計画をGPTへ任せ、デバッグが必要になった段階でClaudeへ切り替えるといった動きが可能です。

技術報告書では、ターミナル操作を含むベンチマークにおいて、FuguがGPT-5.5を中心に使いながら、重要なデバッグ場面でClaude Opus 4.8へ切り替えた例が紹介されています。

3.FuguがCodexへ作業内容を返す

Fuguは、次に読むべきファイルや、変更するコード、実行するコマンドなどをCodexへ返します。

4.Codexがローカル環境で実行する

Codexがファイルを編集し、テストやコマンドを実行します。

5.実行結果をFuguへ戻す

テストに失敗した場合、Codexがエラー内容をFuguへ送ります。

Fuguは新しい状況を分析し、同じモデルへ続きを任せるか、別のモデルへ切り替えるかを判断します。

この往復を、問題が解決するまで繰り返します。

Codexが修正やテストを行い、その結果をFuguへ返すたびに、Fuguは次の行動を判断します。


Fuguの内部では何が起きているのか

Fuguは、単純な条件分岐でモデルを切り替えるプログラムではありません。

たとえば、

  • コードならClaude

  • 数学ならGPT

  • 調査ならGemini

という固定ルールだけで振り分けているわけではありません。

Fugu自身も、入力内容を理解してモデルを選択するために訓練された言語モデルです。

各モデルの実績から選択方法を学ぶ

通常版Fuguの学習では、同じ問題をモデルプール内の複数モデルへ解かせ、どのモデルが良い結果を出したかを計測します。

対象となる問題には、コーディング、数学、推論、言語理解、ツール利用などが含まれます。

その結果をもとに、

この特徴を持つ問題では、どのモデルが成功しやすいか

を学習します。

Fuguは入力を受け取ると、言語モデル内部の状態から各ワーカーモデルの適性を評価し、呼び出すモデルを決めます。

司令塔自身が長い回答文を作ってから判断するのではなく、内部状態から早い段階でモデルを選択するため、処理の遅延を抑えられる設計です。

単発の質問だけでなく、作業全体を評価する

モデルの能力は、単発の質問に答えられるかだけでは判断できません。

コーディングエージェントでは、ファイルを編集し、コマンドを実行し、返ってきたエラーを受けて修正する必要があります。

Sakana AIは、Claude Code、Codex、OpenCodeなどのコーディング環境から複数ターンの作業履歴を集め、Fuguの訓練へ利用したと説明しています。

これはClaude CodeやCodexがFuguの中で動くという意味ではありません。

これらの環境で、各AIモデルがどのようにファイル操作やエラー対応を進めたかを、学習データとして使っているということです。


通常版Fuguの仕組み

通常版のFuguは、性能と応答速度のバランスを重視しています。

日常的なコーディング、コードレビュー、対話型の作業などに向けた標準モデルです。

1回の入力に対して1つのモデルを選ぶ

通常版Fuguは、1回の入力ごとに、モデルプールの中から1つのワーカーモデルを選びます。

Fugu Ultraのように、1つの質問に対して複数モデルのチームを毎回作るわけではありません。

その分、オーケストレーションにかかる処理を抑えられます。

作業の途中でモデルを切り替えられる

1回の入力では1つのモデルを選びますが、Codexとの複数ターンのやり取りでは、入力のたびに選択を見直します。

たとえば、最初の作業計画ではGPTを選び、テストでエラーが発生した後はClaudeへ切り替え、追加の専門知識が必要になった段階でGeminiを選ぶといった動きが可能です。

作業全体を最初から最後まで1つのモデルへ任せるのではなく、状況が変わるたびに適したモデルを呼び出せる点が、通常版Fuguの特徴です。


Fugu Ultraの仕組み

Fugu Ultraは、処理速度よりも回答品質を重視したモデルです。

難しい推論や、複数段階にわたる複雑な作業を対象にしています。

通常版Fuguが「その場に適した担当者を1人選ぶ仕組み」だとすれば、Fugu Ultraは「問題ごとに専門チームを作る仕組み」に近いです。

問題を複数の作業へ分解する

Fugu Ultraの司令塔であるConductorは、依頼内容を分析し、最大5段階のワークフローを組み立てます。

各段階では、次の内容を決めます。

  • 何を調べるか

  • どのモデルへ任せるか

  • 前の回答をどのモデルへ渡すか

  • 並列で進めるか

  • 順番に進めるか

  • 最後に誰が結果をまとめるか

たとえばコードの不具合調査では、最初のモデルが実装と修正案を作り、別のモデルが問題点や脆弱性を確認し、その指摘を受けて再び修正するといった流れを組み立てられます。

技術報告書でも、GPTがサーバーを構築し、Claudeが実装上の問題を発見し、その指摘をGPTへ戻して完成させた例が紹介されています。

Fugu Ultraは、決められた順番で毎回同じモデルを動かすのではなく、依頼内容に合わせて担当、順番、情報の渡し方を組み立てます。

AI同士の情報共有も制御する

Fugu Ultraは、すべてのAIへ同じ情報を無条件に渡すわけではありません。

独立した視点が必要な場合は、他のAIの回答を見せずに別々に考えさせます。

一方で、検証や統合が必要な場合は、前段階の回答を指定したAIへ渡します。

これにより、最初の回答へ全員が引っ張られるのを防ぎながら、必要な場面ではAI同士を協力させます。

通常版Fuguがその場に合った担当者を選ぶ仕組みだとすれば、Fugu Ultraは問題に合わせて専門チームを編成する仕組みと考えると理解しやすくなります。


ClaudeとClaude Code、GPTとCodexは別のもの

Fuguの仕組みを考えるときは、AIモデルとコーディングエージェントを分ける必要があります。

AIモデル

  • GPT

  • Claude

  • Gemini

文章やコードを考え、回答を生成する頭脳です。

Fuguが内部で選択・連携するのは、こちらのAIモデルです。

コーディングエージェント

  • Codex

  • Claude Code

  • OpenCode

AIモデルと、ファイルやターミナルなどの作業環境をつなぐツールです。

ファイルの読み書き、コマンド実行、テスト、Git操作などを担当します。

Sakana Fuguの内部で、CodexやClaude Codeというアプリが部下として動いているわけではありません。

現在、公式の導入手順として具体的に案内されているのは、Codex CLIからFuguを利用する方法です。

CodexがFuguを頭脳として呼び出し、Fuguが内部のAIモデルを選ぶ構成になります。


Fuguは毎回すべてのモデルを使うわけではない

Fuguについて「GPT、Claude、Geminiを組み合わせるAI」と聞くと、毎回すべてのモデルが同時に動くようにも見えます。

通常版Fuguでは、入力ごとに1つのモデルを選びます。

Fugu Ultraでは、問題に応じて複数モデルを使いますが、毎回同じ構成になるわけではありません。

数学中心の問題ではGPTを中心に使い、科学分野ではGeminiを多く使うなど、タスクに応じて構成が変わります。

また、どの問い合わせでどのモデルが使われたかという個別のルーティング情報は、独自技術として利用者には公開されません。

利用者が確認できるのは最終的な結果であり、内部の細かな役割分担はFuguへ任せる設計です。


Sakana Fuguが向いている作業

Sakana Fuguの仕組みは、1つのモデルだけでは判断が難しい作業ほど効果を発揮しやすくなります。

複雑なコーディング

  • 原因が複数考えられる不具合調査

  • 複数ファイルにまたがる修正

  • 大規模なコードレビュー

  • 仕様書とコードを横断した確認

  • テストと修正を繰り返す作業

複数の専門性が必要な調査

  • 論文の再現

  • 技術資料の比較

  • サイバーセキュリティ分析

  • 文献や特許の調査

  • 科学・数学・実装を組み合わせた問題

一方、短い文章作成や数行のコード生成など、単一モデルで十分な作業では、複数モデルを連携させる効果は小さくなります。

Fugu Ultraではオーケストレーションが深くなる分、通常版より応答時間も長くなります。


利用前に確認したい点

内部で利用するモデルは更新される

Fuguのモデルプールは固定されたままではありません。

新しいフロンティアモデルが公開された場合、Sakana AIは評価と再学習を行ったうえで、Fuguへ取り込む方針を示しています。

そのため、現在使われているモデルや得意分野は、今後変わる可能性があります。

通常版Fuguではモデルを除外できる

通常版Fuguでは、データ管理や組織のルールに合わせて、特定のモデルやプロバイダーをプールから除外できます。

一方、Fugu Ultraは性能を引き出すために、利用するモデルプールが固定されています。

業務コードや社内情報を扱う場合は、どのプロバイダーへデータが送られる可能性があるかを確認しておく必要があります。

内部の判断経路は見えにくい

Fuguはモデルの選択や役割分担を自動化しますが、どのモデルがどの判断を行ったかは外から確認できません。

管理の手間が減る一方で、問題が起きたときの原因追跡は、単一モデルを直接利用する場合より難しくなる可能性があります。


まとめ:Codexの頭脳として複数のAIを使う

Sakana Fuguは、東京に本社を置くSakana AIが開発した、日本発のマルチエージェントAIです。

1つの巨大言語モデルではなく、GPT、Claude、Geminiなどの異なるモデルを選択・連携させ、1つのAIモデルとして提供しています。

現在の標準的な使い方として、公式に具体的な手順が示されているのがCodex CLIとの接続です。

Codexがファイル操作やコマンド実行を担当し、Fuguがモデル選択や作業方針の判断を担当します。

通常版Fuguは、入力ごとに適したモデルを選びながら、性能と応答速度のバランスを取ります。

Fugu Ultraは、複数のモデルへ作業を分け、検証や統合まで行うことで、難しい問題の回答品質を高めます。

Sakana Fuguは、CodexやClaude Codeを内部で動かす製品ではありません。

Codexから呼び出され、複数の高性能モデルを束ねながら次の行動を考える、日本発の頭脳側モデルです。


参考資料

  • Sakana AI「Corporate Information」

  • Sakana AI「Sakana Fugu Technical Report」

  • Sakana AI「Sakana Fugu Get started」

  • Sakana AI「Sakana Fugu 公式製品ページ」


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