上条デイズ|#5ヒゲくんの温かさ|地域猫
上条靖之は、休日の朝も、平日の朝のように行動したい。
というささやかな願望を、捨てたいと思っている。
しかし、今朝みたいに雪が降った朝。
ささやかな願望さえ、破られる。
トイレに起きた後、外の景色に驚く。
雪が、雪が積もっている。
地域猫は、懐いているヒゲ君は大丈夫だろうか。
心配になって、外に駆け出してしまう。
ヒゲ君は、近くの公園でよく見かける地域猫。
近くの公園も雪が積もっている。
公園を一周して、上条はここにいることをアピールする。
しばらく歩いた後、猫のなき声がかすかに聞こえる。
振り向くと、ヒゲ君が塀の上から降りてくる。
少し安心する。
ヒゲ君は、頭を上条の足にこすりつけてくる。
寒いせいか、尻尾は立ち、震えている。
少しでも温かくなれ。
そう思いながら、ヒゲ君の頭や背中を撫でる。
ヒゲ君は撫でられてても、もっともっとと要求してくる。
ヒゲ君の思いを尊重しているうちに、上条の手がかじかんでくる。
辞めるタイミングを見失っていた。
相手の気分に合わせること、機嫌を取ること。
『猫との関係も、人との関係に似ているかな』
そんなことを考えると、かじかんだ手さえ温かく感じる。
寒いけど、雪上がりの空は晴天だ。
