上条デイズ|#311東日本大震災と娘
3月11日、東日本大震災の夜。
上条靖之は、娘と二人、
小学校の体育館にいた。
ここに来る途中、
毛布を取りに戻ったマンション。
食器棚は倒れ、食器は粉々になっていた。
テレビは横になり、
書斎からは本という本が落ちていた。
『娘には見せられないな』
そんな景色だった。
街の灯りは、停電で消えていた。
夜空がやけにきれいだった。
ぼんやりとみた仙台港の灯も、
きれいだった。
体育館に戻ると、
娘は同じクラスの小学生と一緒だった。
クラスメイトがお昼に焼いたというクッキー。
貰ったんだと、手にしていた。
少し暗いなか、毛布にくるまれながら、
娘と一緒にクッキーをかじる。
あのザクッとした感触は、
今でも忘れられない。

