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➄資産形成って何をすればいいですか?商社パーソン1年目からの質問

今週もずっと中東情勢をウォッチしている。

ホルムズ海峡、保険問題、代替航路、顧客対応。
まさに綱渡りのオペレーションだ。

ビジネスアワーのオフィスには、異様な緊張感が漂っていた。

誰も大きな声を出さない。
皆、モニターを睨みながらトラブルシューティングに追われている。

日本時間は日本のお客様対応。
夕方になると欧州・アフリカからメールと電話が入る。

時差に振り回される一日だ。

そして、だいたい21時頃
少しだけ落ち着く。

私はPCの画面を閉じ、肩を回した。

その瞬間だった。

後ろから、元気すぎる声が飛んできた。

後輩
「猫田キャプテン!」

私は振り返る。

後輩は満面の笑みだった。

後輩

「特訓しにいきましょう!」

そして拳を握りしめる。

「今日はキャリア編です!」

「新入社員としては興味津々!」

「聞く気満々!」

「やる気全開です!」

私は心の中でつぶやいた。

(やかましい太陽だ…)

周りを見る。

まだ多くの人が仕事をしている。

私は小さく言った。

猫田
「わかった」

少し笑う。

「周りで仕事をしている人も多い」

立ち上がる。

「会議室へ行こう」


会議室に入り、私はホワイトボードの前に立った。

マーカーを手に取る。

猫田

「さて」

ホワイトボードに書く。

④ キャリア設計

後輩はノートを構えた。

猫田

「前回言ったな。キャリア = 入金力。我々、労働者にとって資産形成の最大のエンジンはこれだ」

後輩
「なるほど」

猫田

「じゃあ総合商社のキャリアを、少し現実的に見てみよう」

総合商社の特徴
①年功序列
②長期在籍が有利
③成果差は限定的

後輩
「成果差が限定的?」

猫田
「もちろん評価制度はある」
「成果主義もある」
「でも外資ほど差はつかない。横並び」

同期間の年収差
→そこまで大きくない

猫田
「つまり、在籍年数が重要。長くいるほど有利になる構造だ」

後輩
「なるほど」

猫田はもう一つ書いた。

女性総合職

後輩
「はい」

猫田
「総合職の女性は、まだ少ない。D&Iのグローバルな流れもあり女性総合職の登用に躍起だ。だから女性に昇進のチャンスは多い」

後輩
「確かに最近増えてきていますね」

猫田
「企業としても増やしたい」

構造的追い風

猫田
「これは客観的な事実だ」

後輩は頷いた。

猫田
「ただし」

マーカーで新しく書く。

パートナー

後輩
「パートナー?」

猫田
「キャリアは一人で決めるものだが、超多忙な商社パーソンは、ライフイベントを常に頭のすみにレ、パートナーの存在も大事なってくる」

後輩
「確かに」

猫田
「結婚したら」

共働き?
主婦主夫?
フルタイム?
パートタイム?

猫田
「昇進を目指すのか」
「ワークライフバランスを取るのか」
「海外駐在を優先するのか」
「家庭を優先するのか」

猫田
「これは」

マーカーで丸を書く。

キャリア戦略
パートナーとの戦略

後輩
「戦略なんですね」

猫田
「そう」

ライフ戦略

猫田
「人生は偶然で進めるものじゃない」

そして整理を書く。
①ブレスト
②夢・戦略(どう終えたいか)
③現在位置
④ギャップ認識
⑤どう埋めるか
⑥アクションプラン

後輩
「前回のライフプランと同じですね」

猫田
「その通り」

猫田
「キャリア設計も。ライフプランニングと同じ。まず夢を見る・描く。現状を分析する。ギャップを認識する。そのギャップを埋めるのに具体的な戦略を立てる。戦術や日々のアクションに落としこみ、愚直に実行する」

猫田
「そして」

最後に書いた。

粛々と実行

後輩
「粛々と」

猫田
「そう。資産形成もキャリアも同じ構造

後輩はしばらくボードを見つめていた。
そして静かに言った。
「なるほど…人生って、戦略ゲームみたいですね」

猫田は頷いた。
「そうだ」

そして最後に一行書いた。

人生は長期投資

猫田はホワイトボードの前で少し考え、マーカーを持ち替えた。

猫田
「それと、もう一つ大事なことを言っておく」

後輩
「はい」

猫田はホワイトボードの端に新しく書いた。

総合職のキャリア

猫田
「きみは総合職だろう?」

後輩
「はい」

猫田
「そうすると、この会社のキャリアはかなりダイナミックに動く」

ホワイトボードに矢印を書きながら説明する。

東京 → 国内拠点 → 海外 → 本社

猫田
「まず東京にずっといられるとは限らない」

後輩
「地方転勤ですね」

猫田は頷く。
「国内の拠点」
「出向」
「関連会社」

マーカーで書く。

国内転勤

猫田
「それから海外だ」

ホワイトボードに大きく書く。

海外駐在(3〜5年)

後輩
「はい」

猫田
「さらに場合によっては」

もう一つ書く。

語学研修・海外研修(1〜2年)

猫田
「つまりだ」

マーカーで線を引く。

人生イベントが会社主導で発生する

後輩
「確かに…」

猫田
「だから何も考えずに流されていると会社という大きな波に流される」

後輩
「なるほど」

猫田
「もちろんそれが悪いわけじゃない。この会社の航路に乗れば、それなりに安定して人生は進む」

しかしマーカーでコンパスの絵を描いた。

猫田
「ただし地図とコンパスは必要だ」

後輩
「地図とコンパス?」

猫田
「地図は人生のビジョン

ホワイトボードに書く。

人生のビジョン

猫田
「コンパスはキャリア戦略

さらに書く。

キャリア戦略

猫田
「これがないと気づいたら10年、15年流されている」

後輩は少し真剣な顔になった。
「確かに…」

猫田
「だから前回やっただろう」

ホワイトボードを指す。
①人生のビジョン
②現在位置
③ギャップ

猫田
「この三つは、会社員であっても必要なんだ」

後輩
「会社のキャリアと自分の人生を重ねて考えるんですね」

猫田は頷いた。
「そう。場合によっては重ねてもいい」

少し笑う。
「会社は人生の一部であって、全部ではない」

そして最後にホワイトボードに書いた。

会社のキャリア × 人生のビジョン

猫田
「この二つを重ねて設計する」

後輩は静かに頷いた。
「なるほど…」

猫田はマーカーを置きながら言った。
「これができている人は、意外と少ない」

そこにはいくつものキーワードが並んでいる。

人生のビジョン
現在位置
ギャップ
キャリア設計

猫田は後輩の方を向いた。

猫田
「最後に、結論だけ言っておこう」

ホワイトボードにゆっくり書く。

会社キャリア × 自分の人生ビジョン

後輩は静かに見ている。

猫田
「総合商社は大きな組織だ」
「航路も用意されている」
「その航路に乗れば、安定したキャリアは築ける」
「ただし」

マーカーで二つの言葉を丸で囲んだ。

会社キャリア
人生ビジョン

猫田
「この二つがずっと一致するとは限らない」

後輩
「確かに」

猫田
「結婚」
「子育て」
「パートナーのキャリア」
「海外駐在」
「健康」

「人生は予想以上に変化する」

後輩
「はい」

猫田は静かに言った。
「だから重要なのは」

ホワイトボードに一行書く。

ズレを認識すること

猫田
「会社キャリアと」
「自分の人生ビジョン」
「この二つが合っているのか」
「違和感を大事にすること」
「定期的にチェックする」

後輩
「もしズレていたら?」

猫田は迷わず言った。
「そのときは軌道修正&アクション」
「部署異動」
「駐在志望」
「働き方の変更」
「転職」
「副業」

猫田
「選択肢はいくらでもある」

そして最後にホワイトボードの中央にまとめを書いた。

会社キャリア × 人生ビジョン

ズレたら軌道修正

猫田
「これがキャリア戦略の本質だ」

後輩はホワイトボードをじっと見ていた。そしてゆっくり言った。
「なるほど…人生って、定期メンテナンスが必要なんですね」

猫田も笑った。
「その通りだ」

そして静かに付け加えた。
「放置すると、船は勝手に流されるからな」

猫田はマーカーを指先でくるくる回しながら、少し考えた。

そしてホワイトボードの端に新しく書いた。

転職

後輩
「転職ですか?」

猫田
「もちろんオプションの一つだ」

後輩は少し身を乗り出した。

猫田は続けた。
「会社キャリアと人生ビジョンが合わなくなったとき」
「軌道修正の手段はいくつもある」

ホワイトボードに書く。

・部署異動
・駐在志望
・働き方変更
・副業
転職

猫田
「この中でも一番インパクトが大きいのは転職だ」

後輩
「確かに」

猫田はホワイトボードに二つの箱を書いた。

日本企業(JTC)
外資系

猫田
「キャリアトラックの速度は、かなり違う」

後輩
「どう違うんですか?」

猫田は書いた。

日本企業
管理職まで10〜12年

猫田
「早くてもこのくらいだ」
「課長級に上がるまで、だいたい30代中盤・後半」

後輩
「確かに」

猫田はもう一つ書いた。

外資系
30代で部長・役員も可能

後輩
「そんなに違うんですか」

猫田
「キャリアトラックの速さがまるで違う」

ホワイトボードに矢印を書く。

昇進スピード

猫田
「外資系金融」
「コンサル」
「ICT企業」

マーカーで三つ並べた。

猫田
「このあたりは特に速い」

後輩
「なるほど」

猫田
「だから超優秀な人材は、外資に流れる」

後輩
「確かにそういう話はよく聞きます」

猫田はホワイトボードの左側を指した。

総合商社

猫田
「一方で総合商社は典型的なJTCだ」

少し肩をすくめる。
「役員を見てみればわかる。日本人ばかり」

猫田
「つまり、非常に日本型の組織だ」

後輩
「なるほど」

猫田
「だからこの会社のキャリアは長期戦。長く、粘り強く続けられる人には向いている。安定しているし、待遇も悪くない」

後輩
「確かにそうですね」

猫田
「ただ令和の時代は」

ホワイトボードに書く。

省エネ × 最大パフォーマンス

猫田
「この発想が強い」

後輩
「効率ですね。コスパやタイパを好む傾向にあると思います」

猫田
「そう」

そしてホワイトボードの右側を指した。

外資系

猫田
「短い時間で大きく稼ぐ」
「速いトラックでキャリアを進める」

猫田
「このモデルは、今の時代にはかなり合理的だ。つまり、キャリアは自分で選ぶもの」

猫田
「長期型のJTC」
「高速型の外資」
「どちらも正解だ」
「重要なのは自分の人生ビジョンに合うかどうか」

猫田
「ちなみに、さっき言った“入金力”の話をもう少し具体的にしておこう」

後輩
「はい」

猫田はホワイトボードに表を書き始めた。

総合商社の年収カーブ(目安)

1〜3年目:550〜900万円
4〜6年目:1,000〜1,400万円
7〜9年目:1,500〜2,000万円
9年目以降:2,200万円〜
部長代行:2,600万円〜
部長クラス:3,000万円〜

後輩
「結構きれいに上がっていきますね」

猫田は頷いた。
「そう。在籍年数 → 年収上昇。これがJTCの典型的なカーブだ」

後輩
「なるほど」

猫田
「だからこの会社では長期在籍 = 入金力UP

猫田
「30代に入ると年収は1000万円台」
「40代で2000万円台」
「部長クラスなら3000万円台」

後輩
「確かに長期戦ですね」

猫田は少し笑った。

猫田
「ただしさっき言ったように」

ホワイトボードの右側にもう一つ書く。

外資系キャリア

猫田
「こっちは違う成果 → 年収」

猫田
「30代で2000万〜3000万円」
「40代で役員クラス」

後輩
「トラックが速い」

猫田
「そう」

そしてホワイトボードの真ん中にまとめを書いた。

JTC:長距離列車
外資:新幹線

後輩は思わず笑った。
「分かりやすいですね」

猫田
「どちらが良い悪いじゃない」
「ただスピードが違う」

猫田はホワイトボードを指した。

JTC
・安定
・長期戦
・在籍年数が武器

外資
・高速トラック
・成果主義
・短期勝負

後輩は少し考え込んだ。
「つまり」

猫田
「うん」

後輩
「人生の戦略によって、選ぶキャリアが変わる」

猫田は頷いた。
「その通りだ」

そして最後にホワイトボードに書いた。

キャリア = 入金力のエンジン

猫田
「資産形成を考えるなら」
「キャリアの設計は避けて通れない」

後輩は静かに頷いた。
「なるほど…」

猫田はマーカーを置きながら言った。
「だからこそ」

ホワイトボードを軽く叩く。

会社キャリア × 人生ビジョン

猫田
「この掛け合わせを、常に見ておくんだ。ズレたら、軌道修正すればいい」

後輩はホワイトボードをじっと見つめていた。

そこにはいくつもの言葉が並んでいる。

長期 × 分散 × 低コスト
入金力 × 複利 × 時間
キャリア = 入金力のエンジン
会社キャリア × 人生ビジョン

しばらく沈黙が続いた。

後輩
「なるほど…」
「資産形成って投資の話だと思っていましたけど」
「キャリアの話でもあるんですね」

猫田は頷いた。
「そうだ。我々サラリーマンにとって投資はあくまで増幅装置だ」

ホワイトボードを指す。

「元になるエンジンはキャリア=入金力」

後輩は静かに頷いた。

そのとき猫田は腕時計を見た。

22:58

猫田は苦笑した
「おっと」

マーカーのキャップを閉める。

猫田
「今週も長くなってしまったな」

後輩
「確かに…」

猫田はホワイトボードを一度見渡した。
「今日はここまでにしよう」

少し笑う。
また来週にしよう

後輩はスマホを取り出し、ホワイトボードを撮影した。

カシャ。

夜の丸の内の会議室に、静かなシャッター音が響いた。

後輩
「来週も楽しみにしています!!」

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