弾き語り
レコードだった。
はじめて感動した楽曲は、
叔母がかけてくれた、
ジャーニーのセパレイトウェイズ。
「サムデイ!」とか、
「セーパウェイズ!」とか歌ってるやつ。
師匠によれば、
それがあたしの音楽の源流らしい。
あたしのリズム感は、
叔母が作ってくれたことになる。
師匠の影響で、
ジャズやフュージョンを噛じりながら、
しかし心はアニソンに奪われていたと思う。
めぐちゃんとか、TOWMIX?
めぐちゃんは、灰原哀の声優さんだよ?
J-POPを色眼鏡で見ながら、
ラルクの世界観に惹かれたのもその頃だ。
いいなぁ。
聴きたいなぁ。
弾いてみたいなぁ。
と思いつつ、
真のオタクのレッテルがそれを妨げた。
住む世界が違う音楽。
そんなもの、
ありはしないのだけれど。
当時は大真面目だった。
あたしみたいのが、ラルク聴いたら、
もうしわけないでしょう?
それから、
なんといっただろうか?
ロードスターとかいう曲だったと思う。
それを弾いたら、しっくりきた。
「こんなのパクリだよ!」
そう言って師匠が大笑いしてた。
どうやら、大変有名な楽曲が元ネタらしい。
それは、
あたしがはじめて弾いた、
本物のロックとの出会いだった。
ハイウェイスター。
ディープパープルのナンバー。
弾いてみたら、
ロードスターが、
どれほど面白い偽物かわかった。
リフもベースも、音を変えただけだった気がする。
あたしも笑った。
ハイウェイスターの練習は、衝撃だった。
こういう、弾き方をしても良いのだ。
解き放たれた気がした。
ハモンドのオルガンパートも勉強になった。
あたしは、ロックを弾いて、
ロックを聴くようになっていた。
ディープパープル、ツェッペリン。
ストーンズにヴァンヘイレン、エアロスミス……
果ては、クラウスノミまで手に取った。
HMVやタワレコで目についたものを、
片っ端から聴いた。
ジャーニーとも再会した。
セパレイトウェイズを聴く意味は変わっていた。
伝説たちが、
あたしの中の壁を打ち砕いてくれた気がする。
あたしは、好きなものを聴くことにした。
順番は定かではないが、
真っ黒でやらしー音楽を好んだ。
弟が米国のプロレスにはまっていて、
テーマソングからマリリンマンソンに行き着いた。
ビューティフルピーポーに深い感銘を受ける。
マンソンを軸に、メタルやゴシックに犯された。
J-POPでは、J-POPと言うべきではないが、
DIR EN GREYを信仰した。
朔を聴いては、息を漏らす日々。
もちろん基礎も忘れなかった。
ホレス・シルヴァーのニカズドリームは、
あたしのタッチを劇的に変えた。
たくさんのスタンダードナンバーたちが、
子供っぽいコード進行を卒業させてくれた。
でもみんな、
どろどろとした黒い感情を、
鍵盤に叩きつけるための術になってしまう。
音楽だけは成熟してたかもしれない。
でもひととして未熟で、子供で。
足りないものと、
欠けているものを。
探していたのだと思う。
大人になれたかどうかはわからない。
でも今は、あたしはラルクが好きだと、
誰かに話すことができる。
あの頃、本当は花葬に憧れていて、
一番好きな曲は、
HYDEのSEASONSCALLだ。
