【読書報告】ソフィストは俺か?(古代ギリシア哲学入門)
少し前のこと。
「哲学とは何か」という話題が、ネオ高等遊民さんなどを巻き込みながら、おTwitterで局所的に話題になってました。私も少々首を突っ込みました。
「ポストモダン哲学」がそうであるかは別として――ある種の「絶対」を拒否するウィトゲンシュタイニアンである私も、「論理相対主義」ですかね。ソフィストだ、ワハハ(ちなみに笑うところですよ、ここ)。ソフィスト万歳。 https://t.co/CduLLZ9vob
— 箱の中のカブトムシ (@tautologydayo) May 16, 2026
良い機会だしここらでフィロソフィー(知愛)とやらの源流を勉強してみるか、ということでネオ高等遊民『ゆる古代ギリシア哲学入門』を読むことに。
と、その話の前に。
この「哲学とは何か」の話題について「哲学とは何かを本心から語る」と題したツイートをネオさんがしていました。それにちょちょっと、論旨と関係のない揚げ足を取っておきます(でも大事な揚げ足だと思います)。
— ネオ高等遊民🛺日本初の哲学youtuber (@MNeeton) May 18, 2026
哲学とは知を愛することです。
これは哲学 Philosophyという語の単なる分解(phil- 愛する・sophy 知)で、「疾走とは速く走ることだ」と言ってるようなものです。しかし、そういう分解である以上、正しい把握です。哲学とは知を愛すること以外ではありえません。
ここです。冒頭のここに不満があります。
哲学とは「知を愛すること」、ここはいいんです。全面的には賛同しませんが、この態度自体は問題ない。
でも、語の単なる分解であるから正しい把握である、これはいけない。
だとすると、豆腐は腐った豆だし、神聖ローマ帝国は神聖なローマの帝国だし、アインシュタインは石、「箱の中のカブトムシ」を名乗っている俺はカブトムシ、というのが正しい把握になってしまいます。
もちろん「フィロソフィー(知愛)」の場合は命名事情が違うとか色々細かい話はあるんですが、意味の変遷云々とかそういう話もあるので、やはり「フィロソフィーは知を愛するという字面だから知を愛することである」は論拠として弱い。一般に、語の意味はその字面からは分かりません。
ここはもっと堂々と、知を愛することは素晴らしいことだから、と字面関係なく主張した方が良いと思います。
揚げ足取り終わり。
キレられてもおかしくないけど、これでキレるなんて器が小さいなぁと思えるラインが正解です。 https://t.co/7zhS4W6e1T
— ネオ高等遊民🛺日本初の哲学youtuber (@MNeeton) June 5, 2026
許してほしい。
話を戻しますが、『ゆる古代ギリシア哲学入門』、めちゃくちゃ良かったです。
初学者が読むものって専門的な側面と同等以上に
— 箱の中のカブトムシ (@tautologydayo) May 21, 2026
・読み通せる(難易度、分量)
・面白さが伝わる
が必要だと思っているんだけど、両方と高水準で達成されてると思います
まず面白いのが何より素晴らしい。面白いのは良いことです。こういうものは著者が本当に面白がっていないと書けない。
そして平易かつ読み通しやすい。俺みたいな初学者でもスラスラ読めます。
「ここが画期的」とか「従来とここが違う」みたいな専門的なことは言えませんが、それぐらい何も分かっていない身でも楽しめる本でした。
面白い箇所は色々あったんですが、印象的だったのはヒッピアスですね。
ソクラテスからの問いかけに具体的に回答する様は、ウィトゲンシュタインのソクラテス評を思い出させます。
ウィトゲンシュタイン曰く、ソクラテスがなぜ偉大だと思われているのか不思議だ、と。用例を挙げても満足せず、定義を求めるソクラテスのことが不満だったようです(ドゥルーリーがこの話を書き残している)。
このコメント、ヒッピアスとソクラテスのやり取りのことを指してるみたいじゃないですか!!哲学史の勉強をあまりしていないウィトゲンシュタインですが、『ヒッピアス大』に目を通してたりしたんでしょうか。『ヒッピアス大』以外の対話篇を読んでも、ウィトゲンシュタインならこれぐらいは言いそうですが。まあ読んでるとも読んでないとも言えないですね。
と、ネオ高等遊民のせいで、全然興味がなかったギリシア哲学の面白さに目覚めてしまったので、その勢いのままに色々読むことに。
タイミングよくブックオフで発見したやつ。
これ良い本でしたね。私はウィトゲンシュタイニアンなので基本的に反プラトンなんですが(ウィトゲンシュタインとプラトンほど相性の悪い組み合わせもないんじゃなかろうか)、初めてプラトンのモチベーションが分かった気がしました。まあプラトンには賛同はしませんけど。賛同しなくても、モチベーションが共有できると全然違うよね。
気になる分野があるとそこを読み返す『哲学史入門』シリーズ。
古代ギリシアのところを読み返しました。
『ゆる古代ギリシア哲学入門』でソフィストがかなり気になったので、これも読みました。これ面白い本です。めちゃくちゃ面白い。
「劣化版哲学」とか「哲学によって乗り越えられた存在」としてではなく、ソフィストに積極的な意義を認めて論じています。
ソフィストが哲学への挑戦者であるなら、現代においてそうした意味でソフィストであることは可能なのか。もしかしたら、俺がなりたかったのはソフィストなのではないか。
などと色々考えています。
「ソフィストは俺か?」
あとは図書館で『プラトン全集』『アリストテレス全集』の気になる箇所をパラパラ眺めてみたり、納富『ギリシア哲学史』、シールズ『古代哲学入門』を拾い読みしたりしました。
古代ギリシア哲学って宝箱みたいだなー、というのが古代ギリシア哲学に入門してみた感想です。ガサガサ漁って自分にとっての宝物を探す感じ。
ゆるく長く付き合っていくことになりそうです。ネオ高等遊民さんのせいで勉強することが増えました。
ちなみに、ネオ高等遊民さんには勝手に色々御恩を感じております。noteとYouTubeを(今のところ)継続しているのも、ネオ高等遊民さんからそれぞれいただいた温かいお言葉のおかげです。
まあそんな感じで。
とりあえず今のところ気になるのは、ソフィストたち、アリストテレス、あとはディオゲネス。
……どいつもこいつも反プラトンですね。好みが分かりやすい。
スキ、コメント、フォローはしてもしなくてもいいです。
