50代、再雇用で収入が下がる前に。「働けば大丈夫」だけで考えないために
50代になると、
「定年後も再雇用で働けば大丈夫」
という言葉が、少し現実味を帯びてきます。
60歳を過ぎても働ける場所がある。
それは心強いことです。
でも、ここで一度考えておきたいことがあります。
「働けること」と、「今までと同じ暮らしを続けられること」は、同じではありません。
再雇用後は、給与や役割、勤務日数、責任の範囲などが変わることがあります。
会社によって制度は違いますし、同じ会社でも人によって条件は異なります。
だからこそ、50代のうちに、
「再雇用になれば何とかなる」
で思考を止めず、その先の暮らしまで一度見ておく。
私は、その準備が大切だと思っています。
■ 「働ける」だけでは、暮らしの設計にはならない
再雇用を考えるとき、確認したいのは、
「何歳まで働けるか」
だけではありません。
たとえば、収入が下がったとき、
今の固定費を無理なく払えるのか。
住宅ローンや教育費はどのくらい残っているのか。
今と同じ働き方を続けたいのか。
こうして見ていくと、問題は「定年後も仕事があるか」だけではなくなります。
大切なのは、
「どんな働き方と暮らしを組み合わせれば、自分は無理なく続けられるのか」
だと思います。
■ 月々の生活費だけでは見えないお金もある
もう一つ、50代からのお金を考えるときに忘れたくないのが、
毎月の固定費には表れない、大きな支出です。
家計簿を見れば、
食費、光熱費、通信費、住宅費、保険料など、毎月かかるお金は分かります。
でも、人生後半には、それ以外にもまとまったお金が必要になることがあります。
たとえば、
車の買い替え。
エアコンや冷蔵庫など、大型家電の買い替え。
キッチン、お風呂、トイレなど水回りのリフォーム。
場合によっては、医療や介護に関する支出も出てきます。
これらは毎月発生するものではありません。
だから、普段の生活費だけを見ていると、つい忘れてしまいます。
でも10年、20年という単位で考えれば、どこかで発生する可能性は高い。
「毎月これだけで暮らせるから大丈夫」
だけではなく、
「この先、まとまって必要になりそうなお金は何だろう」
と一度書き出しておく。
それだけでも、老後のお金の見え方はかなり変わると思います。
■ 収入が変わる前に、まず「入ってくるお金」を知っておく
将来のお金が不安になると、
「いくら貯めればいいんだろう」
ということばかり考えてしまいます。
でも、その前に確認できる数字があります。
たとえば、
自分はいくら年金を受け取れそうなのか。
「ねんきん定期便」などを見れば、これまでの加入状況や年金について確認できます。
会社に退職金や企業年金の制度があるなら、
自分の場合、どのくらいになりそうなのか
も一度調べておく。
そして、
再雇用になった場合の給与はどのくらいなのか。
現在の金融資産はいくらあるのか。
住宅ローンはいくら残っているのか。
こうした数字を並べてみる。
正確な未来を予測するためではありません。
今の自分がどこにいるのかを知るためです。
分からないまま考えると、不安はどんどん膨らみます。
でも数字が見えてくると、
「では、あと何を準備すればいいのか」
という話に変わってきます。
■ お金の安心は、考えるだけでは増えない
そして、ここは私がとても大切だと思っているところです。
お金について考え、
「何とかなるだろう」
「節約しよう」
と思うだけでは、状況はあまり変わりません。
小さくても、実際の行動につなげる。
たとえば、
固定費を一つ見直す。
生活防衛資金を確認する。
NISAやiDeCoなど、自分に合った制度を活用して資産形成を続ける。
会社以外から小さく収入を得る方法を考えてみる。
大切なのは、
いきなり大きなリスクを取ることではありません。
自分の年齢、家計、資産、家族構成、これからの働き方に合わせて、
「今できる準備を一つ始める」
ことだと思います。
50代は、まだ準備できる時間があります。
でも「そのうち」と思っていると、60歳は意外と早くやってきます。
■ 再雇用を「ゴール」にしない
再雇用を選ぶこと自体は、もちろん一つの立派な選択です。
長く働きたい人にとっては、大切な制度でもあります。
ただ、
「再雇用できるから安心」
で終わらせず、その先まで考えておきたい。
何歳まで働きたいのか。
どのくらいの収入があればいいのか。
年金はいくらくらい見込めるのか。
この先、どんな大きな支出がありそうなのか。
どんなペースなら健康を守りながら働けるのか。
会社以外にも収入やつながりを持っていたいのか。
資産形成をこれからどう続けるのか。
こうしたことを50代のうちから少しずつ整理しておけば、60歳になったときに見える景色は変わると思います。
■ 「働けば大丈夫」から、「どう働き、どう暮らせば大丈夫か」へ
将来のお金の不安を、すべて消すことはできません。
物価も変わります。
働き方も変わります。
健康状態も分かりません。
だから、完璧な老後計画をつくる必要はないと思っています。
不安をなくしてから行動するのではなく、
小さく行動することで、不安を少しずつ具体的な準備に変えていく。
50代のお金については、その順番でもいいのではないでしょうか。
最後に、一つだけ。
「60歳以降、私はどんな働き方と暮らしを組み合わせたいだろう?」
その答えを考えるとき、
今の給与だけではなく、
将来の収入、支出、資産、そして自分が大切にしたい暮らしまで、一緒に眺めてみる。
再雇用を、
「会社に用意された働き方」から、「自分で選ぶ働き方」へ。
そのための準備は、50代の今から始められると思っています。
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