自ら失踪し、未だに生死不明な作家(多島斗志之編)
小説紹介第149弾!
「症状A」 多島斗志之
2000年発売!
本日紹介するのは1982年以小説現代新人賞を受賞してデビューした多島斗志之(たじま・としゆき)
左目が見えなくなり、もしかして両目失明するかもしれない事を危惧し、自ら失踪し、未だに行方が分からない作家さんなんです。
多種作品を書き分けられる良い作家さんなんで残念で仕方なかったです。
中でも当時衝撃的だったのが今作です。
物語は精神病院。
主人公は精神科医の女性と、幾つかの病院で診断の定まらない17歳の女性患者の対峙がメインで描かれます。
統合失調症か境界例(境界性人格障害)か、あるいは解離性同一障害か—。
主人公がその診断に苦悩する過程で、(自我とは何か?)(正常と異常の境界はどこにあるのか?)という、私たちの存在の根源的な問いかけをする物語。
当時日本で(24人のビリー・ミリガン)が流行っていたので、その流れで書かれたんでしょうが、物凄く調べてあり、フィクションを超えた面白さがあった傑作です。
それでは多島斗志之のマイ・ベスト・スリーを紹介します。
第三位 黒百合 2008年発売!主人公は夏休みを父の知り合いの別荘で過ごす事になった少年。そこには同じ年の少年もいて仲良くなります。二人で出かけた湖で一人の少女と出会います。そこで生まれる淡い恋。ここまでは純文学の様な展開なんですが、この後作者の仕掛けがありミステリーへと変化します。残念ながら最後の作品となった一冊。
第二位 海賊モア船長の遍歴 1998年発売! 当時ミステリーでも純文学でもなくイキナリ冒険物で驚きました。タイトル通り海賊モア船長の航海日記を元にした冒険譚。評判良く2005年には続編(海賊モア船長の憂鬱)も出ております。
第一位 症例A 2000年発売!当時日本ではまだ解離性同一障害とか全然認知度が無かった時代。果敢に難しいテーマに挑戦し、ミステリーとしても読ませた功績は大きいです。この後この病気を扱った本は沢山出てきましたが、やはり先駆者としては多島さんを忘れてはいけないです。
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