「ホテルCCW」第2話
本日もホテルCCWオープンです。果たして本日はどんなお客様がいらっしゃるのか。
突然ですが皆様はお金は好きですか、私は…
あら、もうすぐいらっしゃるようですので小言はここまで。
石橋金彦 43歳 無職
金彦「ハァハァハァ、いつまで追ってくるだ」
路地裏で息を整える。
借金取り「石橋!どこにいる」
金彦「もうここまで来やがった、逃げないと」
タァタァタァ
金彦「どこか建物に入って身を隠さないと」
横を見ると建物があったので飛び込んで入った。
凛音「いらっしゃいませ」
金彦「ここは一体?」
凛音「こちらホテルCCWでございます」
金彦「ホテルだったのか、ハァハァハァ」
凛音「あら、何か急いでおられるようで」
金彦「まぁ、ちょっと色々ありまして」
凛音「お水です。どうぞ」
金彦「すいませんね」
水を飲んで一息ついた。
凛音「本日ご予約で?」
金彦「いや、その…」
"不味いな借金取りに追われて駆け込んだ先がここだったなんて言えないし"
金彦「いや、今日泊まる場所を探してたらホテルがあったので、本日って泊まれたりできますか?」
凛音「はい、大丈夫です。申し遅れました。私支配人の天生凛音と申します。当ホテルをご利用頂いたことはございますか?」」
金彦「いや、ないです」
凛音「では、当ホテルの説明をさせて頂きます。ホテルCCWは過去に思い出のある部屋に宿泊することができるちょっと変わったホテルです。泊まって頂いたお客様は大変懐かしさに浸り疲れを癒しております」
金彦「えぇ、過去に戻れるってことですか?」
凛音「左様でございます。お客様は理解が早い」
金彦 "今の状況から逃げられるってことだろ願ったり叶ったりだ"
「嘘ではないのですね、だったら泊まりたいです」
凛音「泊まって頂ければわかってもらえます。ご満足頂けなければ料金は結構です」
金彦 "マジで! 金なかったから助かる。しかも満足出来なかったら料金払わなくてもいい。相手は女だ。どうやら他に社員もいないらしい。明日適当にいちゃもんつけて、あわよくばお金も少し頂こうぐふふ"
凛音「ご理解いただいきありがとうございます。それではこちらの用紙に泊まりたい部屋、日付、年齢とご署名をお願いします。泊まりたい部屋が決まらない時はこちらでお調べすることが出来ます」
金彦「泊まりたい部屋か、若かった時の方が何かと都合が良い」
借金取り「石橋の奴どこに行きやがった、石橋出てこい」
外から借金取りの声が聞こえて来た。
金彦 ”やばいヤバい、こ、ここまで来てやがった”
凛音「お部屋決まりましたでしょうか」
金彦「ちょっ、ちょっとどこでも良いので決めて貰えませんか」
凛音「かしこまりました。ではこちらの1998年4月6日 18歳 大学1年…」
借金取り「い・し・ば・し、どこにいる」
金彦「そこ、そこでいいです。早く部屋の鍵を」
凛音「ありがとうございます。客室は2階、部屋番号は046にご用意しており、こちらがお部屋の鍵でございます。こちら当ホテルのパンフレットです。何かご不明な点がありましたらこちらでご確認してください」
金彦「はい、はい分かりました。では鍵を」
凛音「お客様、明日のチェックアウト時間は午前9時30分でございます。チャックアウトなさる際は」
金彦「チェックアウト時間は9時半ですね。分かり」
ホテルの玄関のドアから借金取りの姿が見えた。
金彦「ヒィぃぃ」
鍵とパンフレットを奪い取り、逃げるようにエレベーターに乗り込む。
凛音「あら、行ってしまいました。何を急いでいらっしゃるのか」
エレベーターの中
金彦「早く、早く着け頼む」
チン
金彦「どこだ部屋は」
無我夢中に部屋がある廊下を走り続ける
金彦「046,046ここだ」
ガチャガチャ
バン
金彦「はぁはぁはぁ、何とかたどり着いた」
一旦落ち着くため、台所の蛇口から水を飲む。
金彦「ウゥ、ウゥ、ウゥン。ぷわぁ〜生き返る。危ないところかの水は格別に美味いなぁ。えっ」
正気を取り戻し部屋を見てみると4畳ぐらいの部屋。
金彦「何だこの汚くて狭い部屋は、洋室じゃなくて畳の和室、ベッドじゃなくて布団。これで金取ろうってか。いい加減にしろよ。文句言ってやる」
文句を言いに玄関の扉を開くと、廊下ではなく夜の風景だ。
玄関から出て見ると木造アパート2階だった。
金彦「どうなってんだ。ここは一体。でも何か懐かしいような」
!!!
金彦「このアパート確か東京の大学に通うために初めて借りたアパートだ。ということは」
部屋の中に戻り、洗面所の鏡を見る
金彦「若い、歯も髪も抜けてない。18歳の時の俺だ。じゃああの女の言ってたことは本当で過去に戻ってやがる。部屋に置いてある全てが当時のままだ。ということはまさか」
あることを思い出し、タンスの中を捜索する。
金彦「あった。通帳が、まだこの時は確か」
通帳の残高を絞る。
金彦「ひゃ、ひゃ、100万ある。嘘だろ。こんなに持ってたっけ。そう言えば、ギャンブルにハマるのってサークルの先輩に誘われてからだっけ。だからこの時は上京資金として100万持ってた。ということは…」
通帳を手にし、コンビニに向かう。
・・・
ガチャ
金彦「この時代、まだコンビニにATMがなかったのか、クソ目の前に金があるっていうのに」
通帳に並ぶ0の数字をねぶるように凝視していると
金彦「あれ、今日10万下ろしてるじゃない。そうかこっちに上京したばかりだから、布団や食器、衣服、食べ物、大学の教材などを買うために多めに下ろして置いたのか。じゃあどこかに封筒があるはず」
家の中を見回していると、タンスの上に茶封筒があった。
金彦「こんなところに、パァ、おぉ〜愛しの万札ちゃん♡1枚、2枚、3、4、5…5万しか入ってない」
机に置いてあった財布を見ると買ったであろうレシートが出てきた。
金彦「うわぁ、もう既に使ってたぁ〜でも5万だ。現実よりは全然ある。今何時だ?」
午後7時
金彦「じゃあまだいけるな」
家を出て行った先
パチンコ店に吸い込まれて行った。
3時間後
金彦「勝ったど〜〜!!!いつもは金が無くてチマチマしか打てないけど、今日は強めにいったら大勝ちだ!!!」
所持金5万円から15万円
金彦「この後はどうしようかなぁ、あっそうだ」
タクシーで移動
キャバクラへ
金彦「今日は金があるぞ、どんどん注文して〜〜〜」
ドンチャン騒ぎ
金彦 “サイコーだ、もうこのままずっといた〜い”
彼は夢見心地の状態で自分の部屋に戻り朝を迎えた。
金彦「イタッ、完全に二日酔いだ。今何時だろ9時13分、確かチェックアウトは9時半だったはず、急がないと」
支度をしている間に昨日までの辛くてひどい現実に戻るという事実が突きつけられる。
金彦「あぁ、やっぱり戻りたくない、戻りたくない。このままここにいるんだぁ。そうだ部屋から出ずに隠ろう」
凛音「チャックアウトの時間まで5、4、3、2、1、0。チェックアウト約束の時間が過ぎてしまいました」
金彦「あれ、チェックアウトの時間過ぎたのに催促に来ない。どういう事だろう。そうだパンフレットに何か書いてあるかも」
貰っていたパンフレットを見る。
チェックアウトなさる際、鍵を閉めた後その鍵を上に投げてください。それがチェックアウトのサインでございます。もしチェックアウトの時間に遅れたり、鍵を投げなかった場合お客様はその時代に取り残され再びそこからの人生が始まります。時間に余裕を持って行動することをお勧めします。
金彦「ということはあの43歳の頃に戻らなくて済む。ヤッター願いが叶ったぞ。しかも記憶が残ったまま、今度こそ良い人生にしてやるぜ。ちょっと待てよ、記憶が残ったままという事は昨日当選番号が発表されたロス7。悔しくて番号覚えてたけど今からだったら約18年後間違いなく10億円当たることが確定している」
部屋の中から鉛筆と紙を持ってきて
金彦「2023 707 01 12 13 26 28 30 35っとこれで俺は確実に将来大金持ちだ。ヒャヒャヒャヒャ〜〜〜」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ホテルCCW
モニターに映る金彦
凛音 カタカタカタカタ
石橋金彦様 記憶 リセット OK?
凛音「ふぅ、タン!」
リセット完了しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
金彦「ヒャヒャヒャヒ…何笑ってるんだろ自分。何だこの紙、教材の購入番号だっけ?」
パンフレット ※過去に残った人は今まで持っていた記憶はチェックアウト時間の5分後に消去されますことをご理解ください。
ホテルCCW フロント
テレビを付ける
ピィ
女子アナウンサー「ニュースをお伝えします。昨夜未明、都内在住の無職石橋金彦容疑が宝石店に侵入し指輪数点を盗み逃亡今朝逮捕されました。逮捕の際石橋容疑者はロス7が当たるはずだった感覚があった。でもハズレてむしゃくしゃして犯行に及んだと」
ブチィ
テレビを切る
凛音「過去に残るも現実に戻るのも本人次第。私には一切関係ございません。当ホテルに泊まる時はご注意を…」
