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遠回りを楽しむ~効率を手放した先に、見つけた私らしい「旅」のカタチ

目的地へ一秒でも早く着くこと。渋滞を避け、最短ルートを突き進むこと。 かつての私は、それが移動における正解だと思い込んでいました。時計の針を気にしながら、ナビが示す「到着予想時刻」をどれだけ早められるかに情熱を注ぐ。そんな、どこか戦闘態勢のようなドライブが日常でした。

けれど最近、私の中で小さな変化が起きました。 それは、あえて「効率」というモノサシを一度捨ててみる、という遊び心です。

きっかけは、ある晴れた日の午後でした。いつも通り高速道路のインターチェンジを目指していたとき、ふと目に飛び込んできた「旧道」の看板。なぜかその日は、吸い寄せられるようにハンドルを左に切りました。そこで出会ったのは、信号機ひとつない、緑のトンネルが続く穏やかな一本道でした。

窓を全開にして、風の匂いを感じながらゆっくりと進む。 すると、時速100キロの世界では決して見えなかった景色が、次々と目に飛び込んできたのです。

「寄り道」という名の宝探し

今の私にとって、移動はもはや単なる「A地点からB地点への手段」ではありません。 最近ハマっているのは、地図アプリの「高速道路を使わない」設定をオンにして、気の向くままにハンドルを握ること。この「遠回りのドライブ」には、予定調和ではない、思わぬ発見が満ち溢れています。

たとえば、ふらりと立ち寄った鄙びた道の駅。そこには、スーパーでは絶対に見かけないような、土の香りが残る不揃いな地場野菜が並んでいます。 「これはどうやって食べるのが一番美味しいかしら」 そんなことを考えながら、カゴに瑞々しい大根や柚子を放り込む時間は、何物にも代えがたい贅沢です。

また、道沿いにある名もなき展望台で車を停め、魔法瓶に入れてきた温かいお茶を飲むひとときも欠かせません。 静寂の中で遠くの山並みを眺めていると、日々の忙しなさでささくれ立っていた心が、ゆっくりと平らになっていくのが分かります。

「余白」が生む、新しい感性

私たちは今、あまりにも便利な世の中に生きています。 指先ひとつで何でも手に入り、最適解が即座に提示される時代。けれど、効率を追い求めすぎるあまり、私たちは人生の大切な「余白」を削り落としてしまってはいないでしょうか。

あえて時間をかけて進むこと。 無駄に見える寄り道を、自分に許してあげること。

その余白の中にこそ、創作のヒントや、暮らしを彩る新しい発見が隠れているのだと、最近強く実感しています。 「次はあそこの角を曲がってみよう」 「あの看板の先には何があるんだろう」 そんな好奇心に従って進む道は、どんなに遠回りであっても、私にとっては最高にクリエイティブな時間なのです。

自分自身をドライブするということ

私は現在、生活の一部として移動を楽しむライフスタイルを送っていますが、この「ハンドルを握る」という行為は、自分の人生をどう進めるかという姿勢にも似ている気がします。

誰かに決められたルートを走るのではなく、自分の目で見て、自分の感覚で「いいな」と思う場所を見つける。たとえそれが世間一般の「正解」とは違っていても、自分が心地よいと感じるスピードで進めばいい。

13年前からずっと、誰の力も借りず、自分の力でハンドルを握り続けてきました。 その年月の中で学んだのは、景色を美しく感じるかどうかは、心のゆとり次第だということです。

これからの「旅」のつづき

これから季節はまた新しく巡っていきます。 北の大地を目指す旅や、季節の移ろいを追いかける旅。私の手元には、書き込みがいのあるアナログのノートと、使い慣れた相棒のような道具たちが揃っています。

目的地に着くことだけを目的にしない。 その途中で出会う風、音、光、そして人々との小さな一期一会を、丁寧にかき集めていきたい。 効率を手放した先に見つけた、この「豊かな遠回り」という楽しみ。

次はどんな「寄り道」が待っているのか。 明日の朝、エンジンをかける瞬間が、今から楽しみでなりません。

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