観たいものは違っても、価値観は案外近い
週末、小さな映画館で上映中の古い映画を観に行かないかと夫に誘われた。
古い映画、好きだよね。
夫の好みは、私が興味の無い映画が多いので、大抵は夫ひとりで観に行くのだけれど、珍しく一緒に行かないかと言う。
お盆休みには、出かけたついでに私が興味を持っていた映画ちいかわに付き合ってもらったので、夫の観たい映画にも付き合ってみる事にした。
*

ジョン・ヒューストン監督『火山のもとで』
この映画は80年代に作られた作品で、第二次世界大戦前のメキシコで、アルコール依存症になって自暴自棄な生活を送る元イギリス領事の主人公の男のもとに、妻イヴォンヌが戻って来たその日一日のお話。
終始救いの無い話で、主人公の苦しみ、そして妻や支えていた弟も訳あって皆辛そうだ。
この映画を観ていて救いとなるのは、妻イヴォンヌの存在。
女優でもあるイヴォンヌはとにかく美しく、主人公に寄り添い一緒にやり直そうと言う。
途中、主人公があまりにもだらしなく酔っ払っていて、こんなに完璧に美しい妻にその姿を見られているだけでも辛いだろうなぁ、なんて思った。
最後まで観てもなんだか辛い話だなと思ったので、なんでこの映画を観たかったのかと夫に尋ねた。
すると、この映画の監督が撮った他の作品が面白かったので興味があったのと、妻役のジャクリーン・ビセットの他の作品を観て好きだからだと言う。
あーなるほど。
それなら納得できるなと思った。
私も途中からこの映画は妻イヴォンヌを観る映画として観ていたから。
そしてイヴォンヌについて語り合った。
いやぁ、初登場シーンは引くほど綺麗だったね。
落ちぶれちゃった主人公を見ないであげて!って思ったよね。
火山をただ見つめていて、その姿が美しかったね。
と意見が一致した。
我ながら浅い感想だけど、そこに心が動いたのだから仕方がない。
時々、男子中学生みたいな思考になる夫婦なのだ。
*
そういえばちいかわの時もそうだった。
ちいかわの存在はなんとなく知っている程度だったけれど、noteでフォローさせて頂いている方の記事で映画ちいかわに興味を持った。
中学生の娘さんがお友達と観に行った後に、『じゃあ、どうすればよかったんだろう』と考えるきっかけになったという内容の記事だった。
それが、なんとも希望のある話だなと感じた。不条理な事があった時に、中学生の娘さん達がしっかりと考えてみようと思ったという映画ちいかわに、とても興味が湧いたのだ。
結果、とても面白かった。
かわいいだけじゃ無いちいかわ。
ちいかわ達、なんだか色んなしがらみの中で生きているし。
評判どおり、可愛さの中に怖さがある。
そして、ちいかわ初見だった私達は、随所に潜む小ネタにもはまった。
ぐふふ、面白い。
いちばん笑ったのはモモンガが『飴を口の中に転がし入れろ』と言うところ。
ひどい物言いなのに笑っちゃう。
ひぃーー!こわい!でも甘えているの?と、肩を震わせて笑った。
隣で夫も笑っている。
映画が終わって、すぐにモモンガの話になった。
飴を転がし入れろって言ってたよね?
と大笑い。
最初に話すのそこ?
*
観たいと思う映画はだいぶ違っているから、お互いにあまり興味がない。
それでも一緒に観てみると、案外同じところをポイントとして観ていたなって事がある。
価値観とまで言えるかはわからないけれど、面白いとか、美しいと思うポイントが一致すると、心が動いた事を共有できている様に思える。
そんな時に少しだけ幸せを感じるのかもしれない。
※ヘッド写真は、『火山のもとで』を観た帰り道に寄った浅草周辺でたまたま通りかかったバンダイ本社。
なんと入り口はちいかわ♡
