見出し画像

恨みの一撃、90度「エッセイしりとり企画」


「ねぇ!ちゃんと計ってや?」


「んぁ?おおん…」



ゲームに夢中の兄がそっけない返事を漏らしている。

とても不安で仕方がない。


この時小学生の私は「風呂タイムアタック」に挑もうとしていた。

ルールは簡単。身体、頭をせっけん等を使って洗い流し、タオルで拭いてパジャマを着る間の時間を計測するというもの。

一体自分がどれくらい早く仕上げられるかがどうしても知りたくて、タイムキーパーを兄に頼んだのだ。


趣旨を説明するが、さして興味がない兄は継続してゲームに没頭している。
しかしタイムキーパー候補がこいつしかいない。とにかく早く風呂タイムアタックをやりたかった私は、兄の最終意思確認もせずに見切り発車で始めてしまった。


「行くよーー!数えてやーー?よーーーい……スタート!!!」


自らスタートを切った私は弾丸のごとく脱衣場に飛び込んだ。
服を脱ぎ捨てて、冷たいシャワーをパァーっと浴びた。

シャンプー、リンスまでは工程が多く時間がかかる!ならば、全てを洗い流せる万能アイテム「牛乳石鹸」を泡立てて全身を揉みくちゃに洗ったら時短になるのでは?!ふっ…初めてのタイムアタックにしては冴えているぞ…このゲーム……もらった!!!


本当に汚れが取れているのかどうなのか分からない状態なりつつも、身体がぬるぬるしてないので良し。洗い流しはOK。
あとは予め用意した、でかバスタオルで強引に拭いて着替えたら完璧だ!


「はぁはぁ…なぁ!何分何秒だった?!」


初めての風呂タイムアタック、一体どれくらいの時間がかかったのだろうか!?息を切らせて兄に尋ねた。

「あ、計ってねぇわ」

兄は顔を半分こちらに向け、薄笑いを浮かべながら「計ってない」と吐き捨てると、再びゲーム画面へと顔を戻した。


なんと、記録が得られないまま私の風呂タイムアタック企画が無惨にも終了してしまったのだ。
あんなに急いで冷たいシャワーを浴びてきたのに……。
結果を楽しみにしていたのに……!

おのれ兄の怠惰め……!!!!


ふつふつと怒りが込み上げてきた次の瞬間、兄の胸ぐらを掴んで取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。


「なんで計ってなかっただや!アホ!!」


「知らんがな!おまえが勝手にやっとっただけだが!」


転げるように部屋から出て廊下にバトルフィールドを移した私たち。
風呂タイムアタックの企画を台無しにした兄へ怒りがピークに達し、恨みの一撃を喰らわすべく渾身の右ローキックを放つ。しかし、兄はそのローキックをひらりとかわした。



兄がよけた後ろには、柱があった。


(マズイ!もはや止められん!!)



「痛ったーーーーーーーー!!!!!」



右足ローキックは柱を直撃。
そこで驚愕の映像が飛び込んできたのだ。なんと右足の薬指と小指の間に柱の90度の箇所が見事なまでにすっぽりハマっており、小指だけが外側へ90度近く開いていた。

上から見た図


あまりの痛さに悶絶し、私はその場でのたうち回ってしまった。
恐る恐る足の指を確認するも、小指はあらぬ方向に曲がったままみるみる青紫色に変色していく。

何をとち狂ったのだろう。
痛みをこらえながら小指を元の位置に戻そうとして、ギューーッと薬指に寄せてもビョ~~ンとまた90度に開いてしまう。


「うわあああぁ!もうだめだ治らんッ!」

元に戻らない小指に絶望してさらに泣き悶える私。
さすがに心配する兄。


ただならぬ現場の空気に両親もやってきて、明日の病院行きが決定した。
もう人生で二度とないであろう、右足の小指が90度に開いたままの状態でその夜は眠ることになったのだ。


翌日、整形外科に連れられてレントゲンを撮った結果、案の定骨折が判明。このせいで松葉杖登校になり、参加を楽しみにしていた運動会も欠席する羽目になってしまった。

両親からこっぴどく怒られ、ついに禁止令まで出た風呂タイムアタック企画はこうして幕を閉じた―――。


この風呂タイムアタックの経験で恨みにまかせて人を攻撃してはいけない。という教訓を得た。
時が経ち大人になった今、禁止令もきっと無効のはずだ。スマホを使えば風呂タイムアタックの計測は簡単にできる。


しかし、なぜだろう…
完治した右足の小指を眺めるも、あの日の熱量はもう蘇ってこない。



以上でしたぁ~!
今回のエッセイは「♯エッセイしりとり」という企画でバトンをいただき書かせてもらいました(///ω///)

★企画概要

主催者マイキー様、ワクワクする企画ありがとうございます!!


しりとりバトンを渡してくれた常磐ばらんさん!改めて素敵なバトン渡し誠にありがとうございます。エッセイとして書き上げることに重きを置いたのは、初めてだったかもでとても新鮮でした!楽しかった~!!

↓↓↓ばらんさんのエッセイしりとり↓↓↓
ばらんさん私とは違い、とてもオシャンティーでシティライクな文章。読了後の爽やかさが好き☆イェイ☆



んで、しりとりなので、次の方にバトンを渡すルールなのですが……。こりゃ悩ましい。。
みなさん素敵な記事を書かれるので、とーてーも悩ましい。。
独断と偏見でいつもの投稿記事がエッセイが多いかな?と思う御三方に渡してみます!

あるてさん

あさたろさん

猿吉さん

皆さんクスッとかニヤァ~っと笑えるエッセイ記事を書かれている素敵なnoterさん。よく読ませてもらっております🙏

私がまわすバトンは「ど」です。

こちらなんのアポもなく、指名させてもらってますので決して強制ではありませんし、企画の締め切りがどうやら8月31日までのようなのでお忙しかったら全然大丈夫です!
(パスされた際も、本当にどうぞお気になさらずで!!)

●バトンを渡した人の記事のタイトルの最後の文字をタイトルにつける(今回はど)
●本文140字〜3000字
●締め切りが8月31日まで
●「#エッセイしりとり」のタグをつける
●3名以内で次の人に繋げる(繋げなくてもいい)

ばらんさん記事よりお借りしました。


いいお盆休みのエンディングとなった…

あざした…