見出し画像

「基礎が大事」と皆が言うのに、その中身が全員違っていた

「基礎が大事」

サッカー関連のアカウントを見ていると、ほぼ毎日どこかでこの言葉を見かけます。

指導者の方も、保護者の方も、みんなこの言葉を使っています。あまりに当たり前に使われているので、私も長いこと、何の疑問も持たずに読み流していました。

でもあるとき、ふと引っかかったんです。

この人が言っている「基礎」と、あの人が言っている「基礎」、同じものを指していないんじゃないか。

 

気づいたきっかけは、ただの違和感でした

あるアカウントでは「基礎とは止める・蹴るだ」と書かれていました。

別のアカウントでは「基礎とは判断力だ」と書かれていました。

さらに別のところでは「まずは体の使い方から」と書かれていました。

どれも「基礎が大事」という同じ主張です。でも中身は全然違います。

それぞれの投稿には、それぞれ納得できる理屈が書かれている。だから読んでいるときは「なるほど」と思う。でも並べて見ると、言っていることが噛み合っていません。

同じ言葉を使いながら、それぞれ違うものを大事にしている。

そのことに気づいてから、少し気になって調べてみることにしました。

 

調べてみたら、専門家の間でも割れていました

まず出てきたのが、**「止める・蹴る・運ぶ」**という考え方です。

試合中、一人の選手がボールに触れている時間は90分のうちほんのわずか。だからこそ、その短い時間で確実に止めて蹴れるかどうかが、すべてを左右する。どんなに派手なドリブル技術があっても、ボールが止められなければ意味を持たない。そういう理屈でした。

これは、かなり多くの指導者が共通して重視している考え方のようです。

次に出てきたのが、**「認知・判断・実行」**という考え方でした。

バルセロナを拠点に、世界20か国の子どもたちを指導している指導者集団が、優れた選手の基準としてこの3つを挙げているそうです。技術そのものより、周りを見て、状況を読んで、その上でプレーを選ぶ力。そちらを基礎と捉える立場です。

三つ目が、**「体の使い方」**でした。

神経系の発達は8歳から12歳頃にかけて著しく、この時期に多様な動きを経験することで、自分の体を思った通りに動かせるようになる。ボールを扱う技術以前に、まず体そのものだという考え方です。

そして四つ目が、ドリブルでした。ただしこれは、賛否がはっきり分かれるテーマのようです。

 

一番驚いたのは、別のところにありました

四つも出てきた時点で「なるほど、そりゃバラバラになるわけだ」と納得しかけたのですが、調べていて一番驚いたのは、そこではありませんでした。

ドイツで指導をされている方が、こんなことを書かれていたんです。

ドリブルをめぐる賛否の議論は昔から活発にされているけれど、お互いが自分の立場から好き嫌いを言っているだけで、一向に議論になっていない、と。

これを読んだとき、少し背筋が寒くなりました。

定義が分かれていること自体は、正直、そこまで問題ではないのかもしれません。競技の見方が複数あるのは、むしろ健全なことだと思います。

問題は、分かれていることに誰も気づかないまま、話が進んでいることの方です。

同じ「基礎が大事」という言葉で、全員が納得したような顔をしている。でも実際には、それぞれ別のものを思い浮かべている。議論しているつもりで、誰も同じテーブルに座っていない。

 

うちの子のチームにも、定義はありません

念のため思い返してみましたが、息子のチームにも「基礎とはこれだ」という明確な定義はありません。

これは批判ではありません。おそらく、ほとんどのチームがそうなんだと思います。

コーチの中には当然、それぞれの考えがあるはずです。ただ、それが言葉として明文化され、保護者や選手と共有されているかというと、そうではない。

だから保護者である私は、練習を見ながら「今日は何の基礎をやっているんだろう」と、勝手に推測しているだけです。

正直に言うと、以前の私なら、ここでモヤモヤしていたと思います。

「ちゃんと説明してほしい」「方針を示してほしい」と。

 

でも、今は少し違うことを思っています

野球をやっていた頃を思い出すと、実は同じでした。

「基本に忠実に」とよく言われましたが、その「基本」が何を指すのかは、監督によって全然違いました。フォームだと言う人もいれば、カバーリングだと言う人もいた。当時はそれを、いちいち疑問に思ったこともありませんでした。

競技が変わっても、この構造は変わらないのかもしれません。

そして今は、こう思っています。

定義がバラバラであることを知っておくだけで、指導者の言葉の受け取り方が変わる、と。

「基礎が大事」と言われたときに、そのまま鵜呑みにするのではなく、**「この人が言う基礎は、どれのことなんだろう」**と一歩考えてみる。それだけで、指導への理解の解像度が上がる気がしています。

少なくとも、自分の思い描く「基礎」と違うことを言われたときに、すぐ不信感を持つことは減りました。

結局、基礎とは何なのか

正直、答えは出ていません。

調べれば調べるほど、どの立場にもそれぞれ筋が通っていて、どれか一つが正解だとは思えなくなりました。

もしかしたら、この問い自体に唯一の答えはないのかもしれません。

ただ一つだけ、はっきりしたことがあります。

「基礎が大事」という言葉は、思っていたよりずっと曖昧で、思っていたよりずっと奥が深い。

それが分かっただけでも、調べてよかったと思っています。

みなさんにとっての「基礎」は、何ですか。

#少年サッカー #ジュニアサッカー #育成年代 #サッカー少年の親 #子育て #ジュニアユース #サッカー #スポーツ育成 #保護者

いいなと思ったら応援しよう!