育てているのは、生徒ではなく学び合う場
前回、多摩大学付属聖ケ丘高校での出来事を書きました。「果たして高齢者は常に支援される側なのかな」という一つの問いが、生徒たちの発想を変えていった話です。
今回は、あの問いの背景にある、もう少し大きな話を書いてみます。
親と先生以外の大人
子どもにとって、身近な大人はだいたい二種類です。家庭にいる親と、学校にいる先生。
どちらも大切な存在ですが、評価や期待という関係性から完全に自由ではありません。そこに、利害関係のない「第三の大人」が加わると、何が起きるか。
生徒は、評価を恐れずに突拍子もないことを言えるようになります。「しくじり先生じゃん!」という発想は、まさにそういう自由な空気の中から生まれました。
探究学習を担当していた先生は、ベネッセの取材でこう話しています。
「探究学習においては、私より西村さんに心を開いて相談する生徒が何人もいます」
これは先生が「負けた」という話ではありません。生徒が安心して話せる相手の選択肢が増えた、ということだと思っています。
地域の未来を創る高校生の探究学習(Benesse 教育情報サイト)
育てているのは「場」
探究学習の現場で起きていることは、個々の生徒の成長だけではありません。
生徒・教員・地域の大人が、互いに教え、教えられる関係になる。「教える人」と「教わる人」が固定されない場が生まれる。それこそが、探究学習が本当に育てているものだと思っています。
私が立っている場所
私は学校の先生ではありません。教育の専門家でもありません。まちづくりの現場に立ち続けてきた人間です。
生徒たちとホワイトボードを囲んで、出てきたアイデアを一緒に書き出していく。教えるのではなく、隣に立って一緒に考える。地域の課題と、生徒たちの発想をつなぐコーディネートが、自分の役割だと思っています。
学校の中だけでは完結しない学びがある。地域の中だけでも生まれない学びもある。その間に立って伴走する。探究学習支援は、まちづくり・ひとづくりの一つの形として、私の活動の軸になっています。
同じようなことを考えている学校関係者の方、まちづくりに携わる方がいらっしゃったら、ぜひ感想や意見交換などお気軽にどうぞ。
ニシムラ/まちを学び場にしたい
地方創生や協創のまちづくりに関心あり。多摩市役所で12年間、ニュータウン再生や総合計画策定、官民連携の推進に従事。高校での探究学習支援も経験し、多様な主体が協働する仕組みづくりを得意とする。2026年に転職し、人や組織の挑戦が生まれる地域づくりに取り組んでいる。探究学習アドバイザー、講演活動なども。
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