最高の文章に出会って今も好きだから紹介する

前回が未来に向けたテーマだったのに対し、今回のお題は「文章への初恋」ということで、今回はわたしの原点を探りたいそうです。…Geminiが。
いや、あのね、書く部のお題を一覧で与えて、一個選んでよ→書き終わったら次のくださいって頼んだらこうなったんですよ。

さてさて、今回は10分で書き終わらないので先に引用部分だけ10分よりまえに打ち込んできました。よーし熱い想いを伝えちゃうぞー

わたしが最初に最高の文章に出会ったのは小学生のときで、図書館にあった『小説ドラゴンクエスト』の久美沙織さんの巻でした。
自分がゲームとして好きなドラクエを小説の文章で表現されたとき、こんな風に生き生きと熱量をもって想像力を高めるような書き方で見せられるんだって知って身が震えたのです。

たとえば、「幼いエルフの姫が、ふわふわ金髪天パで尖った耳の超美少女だ」っていうことを久美沙織さんはこう描写したんです。

その頬は、白磁の器に淡紅のはなびらを一枚浮かべたかのよう。その瞳は、咲き初めの忘れな草をとじこめた水晶。その唇は熟れきらぬ苺実の瑞々しさ。顎と鼻筋はあくまで華奢であり、手足は、つくりもののようにすべらかだった。あふれだした蜜さながらの黄金巻毛の隙間からのぞいた耳は大きくとがって、種族の特徴をあらわしていた。
(中略)
「どうしたの?」と、幼女は問うた。
「アデリーン、どうして、急に黙っちゃったの。あなたは、誰?」
その瞳に、声に、怯えの翳りはなかった。一族に起こったこと、父に起こったこと、そして、今まさに我が身に起こり得ることを理解し、恐怖するには、末の姫は幼すぎたのだ。

久美沙織『小説ドラゴンクエストⅣ 1 魔起黎明』 エニックス文庫, 1992.

よく見てください。美少女だなんて一言も書いてないんですよ。
美少女だって書いてないし、かわいいってことも書いてない。
それなのに我々は将来この幼い姫がすごい美人になることまで想像できてしまうんですよ。

しかもちょっと儚い感じがするのに、いまのところはとても健康で周囲に大事にされてきたのがわかる感じまでする。

わたしはこういうのがすごく好きなんです。
この文章を読みながら我々はイメージを膨らませる。

続くセリフも、これは久美沙織さんの文体の特徴ですが、「A」と言った。「B」のような感じで間に少し描写が挟まるんですよね。
これだけで、なんか無邪気で疵のない幼女が鈴のような声で不思議そうに見上げてくるのがわかるような気がしてくるんですよ。はぁ、好き。

それと、久美沙織さんは女性の心理描写がめちゃくちゃに上手なので、下記の占い師が運命の勇者と出会ったシーンもすごいです。

まだ勇者としての自覚を得ていない、この優しげな、幼子のような瞳をした少年。森の匂いのする、美しい若者。
ひとりぼっち。何も知らず。汚れもなく。
わたしは胸の奥が熱く疼くのを感じました。この子は生まれたての星。世界の宝。わたしたちの希望。この子を守ってあげよう。きっと、何があっても、このわたしが。そんな気持ちが、ふつふつと湧いてくるのです。

久美沙織『小説ドラゴンクエストⅣ 3 双華流浪』 エニックス文庫, 1992.

これは、頼れる存在だと思いこんでいた勇者が、実際に会ってみたらむしろ自分が守らなければならない幼い希望であると気づいたときの衝撃を表しています。
結構久美沙織さんの文章は声にだして読みたい文章で、ぐっとくるんですよね。リズム感が、ぐっとくるんです。
さっきの文章なら「この子は生まれたての星。」のところで特にぐっときます。すごい好き。

というわけで、わたしはこの文章に憧れた結果、ペラッペラしていた小説の描写が急に上達しました。久美沙織さんならどんな表現をするだろうって似た場面をめくってとにかく学びました。

次の機会には感銘を受けた別の作家さんを語ります!!!!!!


※本日のお題
書く部「書くお題」
「文章への初恋って覚えてる?」

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