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カレー風味じゃないのに、カレーリーフ。


■スープが美味しかった記憶

うちのベランダには、10年以上経つカレーリーフの木がある。
昔、インドカレー屋で出たカレーリーフのスープがとても美味しかったので、自分でもそれを作ってみたくなったから買った。


■ぜんぜんカレーじゃない

カレーリーフは、名前にカレーと付いているが、カレー粉みたいな香りはまったくしない。

強いて言えば、葉唐辛子や獅子唐を少しスモーキーにしたような香り…どちらかというと地味な香りである。そして、気の利いたカレー屋の店先には高確率でこの鉢植えが置かれている。

ちなみに件のスープは、カレーリーフではなくトマトが主役のあっさりしたスープだった。ツブツブも入っていたから、あれはきっとマスタードだろう。カレー屋のスープだけどカレー臭はゼロだ。


■違う

よくある話だが、お店で出会って感動した味を家で再現しようとすると、必ず「何かが違う」「何かが足りない」現象が起こる。

カレーリーフを生やした時点で、何かが足りない現象は確実に防げると思ったのに、何かが足りないし何かが違うし、それどころか全てが違う。


■追憶

これは再度あの店でスープを注文して、徹底的に解析しなければ無理だ、と思って赴くと、…閉店していた。私にカレーリーフを植えさせて、店だけがなくなっていた。

もはや、いまいちなスープを作り続けて精進する気にもならず、カレーリーフはすくすくと育ち、狭いベランダの一角を占有し続けるのだった。

確信の無い剪定を漫然と続け、あまり大きくさせずにいるが、毎年無駄な葉っぱを生やしては落とし続けるだけの存在になり果てている。


■え、売れるの?

他のカレーリーフオーナーたちはどうしているのだろう、と思ったある日、メルカリを見ると、剪定した葉っぱを売っている人がいる。羨ましい…。真似したい、やってみようか、どうしようかと迷っているうちに秋になり、葉っぱがしょぼくれる。それを毎年繰り返して、現在に至る。


■別の店

近所にまた別のお気に入りカレー屋ができた。
案の定、店先に鉢植えのカレーリーフがある。それを使ったカレーリーフ入りの料理もある。だが、あのトマト味のスープみたいに私を狂わせる何かがない。


■心変わり

完全に私のカレーリーフ熱が冷めている。トマトスープのとき、私は何か体調でもおかしかったのだろうか。あのときの私、どこへ行ったんだ。

今年も、うちのカレーリーフは、きっとモサモサと茂ることだろう。できれば、それを近所のカレー屋に卸したい。

私はカレーリーフの供給源になりたい。




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