【東京観察記 #13】六本木ヒルズのラウンジと、破綻の足音(東京恋泥沼・第4話)
【読者の皆様へ】
※本記事は『【東京観察記 #10】』〜『【東京観察記 #12】』の直接の続き(東京恋泥沼・第4話)となります。過去記事をお読みいただくと、より一層お楽しみいただけます。
本作に登場する人物、企業、出来事には、プライバシー保護および特定回避のため、大幅な脚色と再構成を加えています。複数の人物や体験を組み合わせて描いたフィクションです。
ただし、港区の男たちがプライドを傷つけられた時に繰り出す卑劣な嫌がらせ、そして「見栄のメッキ」が剥がれていく過程のリアルだけは、一部の現実から生まれています。
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### 【東京観察記 #13】六本木ヒルズのラウンジと、破綻の足音(東京恋泥沼・第4話)
恵比寿のタワマンで、借金まみれの虚構を暴露されてから3日後。
月曜日の朝、出社してパソコンを開いた私は、全身の血が凍りつくのを感じた。
社内全チャットツールと、人事部の共有メールアドレス宛に、差出人不明の匿名メッセージが届いていたのだ。
『緊急告発:広報部・美咲氏による競合他社へのメディア人脈流出と、個人での不当なキックバック受領について』
添付されていたのは、私が翔太に送ったLINEのスクショだった。
恵比寿のフレンチでシャネルのバッグを渡された直後、浮かれて「翔太さんのためなら何でも手伝うよ!」と送ってしまったあのメッセージだ。
さらに、巧妙に捏造された請求書のPDFまで添えられていた。
私が「個人でコンサル料を受け取り、社の機密である大手メディアの編集長リストを外注先に横流ししている」かのように見せかけたものだ。
「美咲さん、ちょっと会議室いいかな」
出社早々、顔を曇らせた上司から呼び出された。
「……これ、心当たりはある? うちの会社はコンプライアンスに厳しいのは知ってるよね。事実関係がはっきりするまで、今週の海外マーケティングイベントの担当からは外れてもらうよ」
「違います! これは捏造で——」
言いかけて、口をつぐんだ。
あの夜、翔太の甘い言葉に毒され、29万円のバッグを受け取り、軽率なメッセージを送ってしまったのは紛れもない事実だったからだ。
自席に戻ると、同僚たちの冷ややかな視線が刺さるように痛かった。
プライドを傷つけられた翔太の、あまりにも卑劣で陰湿な復讐だった。
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