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ドラストが楽しい

産前、体の不調を感じると、
すぐ病院に行っていた。

少し喉が痛いとか、
いま思えばその程度のことでも、
「念のため」と言って受診していた。

時間もあったし、
自分の体に向き合う余裕もあった。

産後は、全然いかない。

というよりも、行けない。

なにより、時間がない。
そして余裕もない。

子どもを連れて自分の診察を受けること、
待ち時間を含めて考えること、
そのひとつひとつが、
今の生活では簡単ではない。

子どもの不調は、すぐに病院に行く。

少し熱がある、
咳が続く、
鼻水が出る、
いつもと様子が違う。

そう感じたら、迷わない。
予定を調整して、すぐ連れていく。

一方で、自分の不調は後回し。

買い物ついでにドラッグストアに寄り、
薬剤師に相談して、市販薬を選ぶ。

「授乳中でも飲めるものはどれですか」
「眠くならない方がいいです」
そんな条件を伝えながら、
いくつかの選択肢を聞く。

なかなかどうして、
薬剤師の話を聞くのは楽しい。

効き目の違い、
成分の話、
飲むタイミングの工夫。

職場でも、薬局でも、
最近はあまり人と話さないからなのか、
誰かが自分の話を聞いてくれる時間が、
少しだけ特別に感じる。

たくさん並ぶ薬の中から、
自分に合いそうなものを選ぶ。

誰かのためではなく、
今の自分のために。

自分のための買い物だから、楽しいのかもしれない。

もちろん、
子どものおやつを選ぶ時間も楽しい。

どれなら食べられるかな、
これ好きだったな、
そんなことを考えるのも、楽しい。

けれど、市販薬を選ぶ時間には、
それとは少し違う、静かな楽しさがある。

自分の体に耳を澄ませて、
今の自分に合うものを選ぶ。

ほんの短い時間だけれど、
「母」ではなく、
ひとりの自分に戻るような感覚。

病院に行けない代わりに、
ドラッグストアで整える日々。

それも、私なりのセルフケアなのかもしれない。

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