こころの瞳
子どもの瞳って、澄んでいる。
大人のそれとは違って、
どこか青みがかった白さをしている。
まだ、大人ほど紫外線を浴びていないから、
という理由もあるのかもしれない。
でも、それだけじゃない気がする。
子どもの瞳をのぞきこむたび、
この子には、世界がどう見えているんだろう、
と考える。
自分がこの年頃だったころの記憶は、
ほとんどない。
親に聞いても、
忙しすぎたのか、覚えていないと言う。
だから私は、
この日々を残している。
この子が大きくなって、
どんな子どもだった、と聞かれたときに、
ちゃんと答えられるように。
子どもはきっと、
この尊い日々を忘れてしまう。
保育園に行きたくない、
先生に会いたくないと泣いた日を。
先生に会いたい、
ママに会いたくないと泣いた日を。
いたずらを、
いじわると言った日を。
ママのマネをして、
リップを塗って、
ハンドクリームを塗った日を。
踏み台に乗って、
手を洗って、
照明をつけた日を。
部屋のジャングルジムの上から、
ちゃっほー、と呼んでいた日を。
きっと、忘れてしまう。
でも、私は覚えていたい。
この子は、
私にとって何よりも尊い存在だ。
この毎日は、
何よりも大切な宝物だ。
おはようと向けられる、
にっこり笑顔も。
クッションを奪って、
にんまりと浮かべる、
いたずらな笑みも。
いたずらして叱られて、
涙をこらえる、
くしゃくしゃの顔も。
ぽろぽろ流れる涙も。
あっぷっぷ、と全力の変顔も。
べろべろばあ、と
白目をむいた顔も。
やだよーと背中を向けて、
ぷりぷり振るおしりも。
私の適当なリズムに合わせて踊る、
謎のダンスも。
すべてが、
かわいい。
存在そのものが、
ただただ、
愛しい。
この気持ちを、
忘れずにいたい。
この瞳の澄みきった感じも、
疑うことを知らないまなざしも、
今だけのものだと分かっているから。
いつか、
疑うことを覚えて、
傷つくことを知って、
世界が少しずつ複雑になっていっても。
それでも、
この頃のあなたを見ていた私が、
ここにいたことを、
忘れずにいたい。
この気持ちを胸に、
これからも、
あなたと向き合っていきたい。
母として、
ひとりの人として。
