今年いちばんのショック
よく行くスーパーのアプリから、
クーポンのお知らせが届いた。
冷蔵庫の中は、もうほとんど空。
そろそろ買い物に行かなければ。
今日は子どもと一緒だ。
スーパーに着いて、
目的のものをひとつずつカゴに入れていく。
気づけば、思った以上の量になっていた。
カゴ一個は山盛り。
オムツが二袋。
それに箱ティッシュ。
子どもはカートに乗っている。
でも、歩きたい気持ちが勝って、
ぐずぐずし始める。
一瞬でも手を離すと、
すぐに走り出していなくなる年頃。
「ちょっと待ってね」
「あと少しだよ」
そう声をかけながら、
片手でカート、もう片方で商品を押さえて、
なんとかレジへ向かう。
その様子を見ていたレジの店員さんが、
声をかけてくれた。
「お運びしましょうか?」
一瞬、迷った。
申し訳ない気持ちが先に立つ。
でも、正直、ありがたかった。
「お願いします」
そう言って、
会計を済ませ、
子どもをカートに乗せたまま、
店員さんと一緒に車へ向かう。
そこで、はたと気づく。
……クーポン、出してない。
オムツ二袋。
オムツ一袋につき、二百円引き。
頭の中で、
合計金額が静かに計算される。
大きい。
これは、結構大きい。
レシートを出せば、
あとから適用してもらえることは、たぶんできる。
前にも一度、そんなことがあった。
(その節は、ほんとうにごめんなさい)
でも、今回は。
店員さんが、
荷物を運び、
カートを戻してくれるという。
さすがに、言えなかった。
「クーポン出し忘れました」
その一言が、
どうしても喉を通らなかった。
……まあ、いっか。
涙。
クーポンの金額は、
考えないようにしよう。
お礼を言って、
子どもを乗せて、
車を発進させる。
このまま家に帰る気には、
どうしてもなれなかった。
そのまま、スタバへ。
大好きなフラペチーノを、
いちばん大きいサイズで。
貯めていたStarを使って、
eチケットに交換。
お金を払っていないのに、
ちゃんと甘い。
家に帰って、
子どもにも少しだけ分けてあげる。
「めっちゃ、おいちい!」
ほっぺを両手で押さえて、
にっこにこ。
ああ、
味覚は完全に私に似たな。
抱っこをねだられて、
あぐらをかいて赤ちゃん抱っこ。
少し寒そうだったから、
私の部屋着でくるんであげる。
そのまま、
すとん、と夢の中。
お昼ご飯は、
起きてからにしよう。
フラペチーノの甘さと、
足の上にある重みと温もり。
それに癒されながら、
クーポンを出し忘れた自分を、
静かに呪った。
