見出し画像

子どもの遊具は、冬の味方

冬の朝は、電気に敏感だ。
暖房をつければ乾燥し、
加湿器を足せば、レンジを使っただけでブレーカーが落ちる。

子どもが起きて保育園へ行くまでの短い時間だけ、
そっとエアコンをつけて部屋を温める。
それだけで、少し救われる気がした。

送り届けて帰ってきたら、
今度は部屋の寒さと乾燥の番。
私はヒートベストを着て洗濯機をまわし、
湿度を上げるために、タオル以外の洗濯ものは部屋干しにすることにした。

けれど、うちには物干し竿がない。
洗濯乾燥機があれば十分だと思っていたから、
引っ越すときに買わなかったのだ。

ないものは仕方がない。
なんとか干せる場所を探す。

さて、どこに干そう。
部屋は広くないし、物干しを置けるスペースもない。

見回してみると、
部屋の真ん中にどんと構える
アンパンマンのジャングルジムが目に入った。

――あ、ここいいかも。

子どもの遊具に、そっと洗濯ものをかけていく。
カラフルなジャングルジムに、
服や靴下やズボンがゆらゆら並ぶ。

思いがけず、
小さな室内干しコーナーができあがった。

本来の使い方じゃないけれど、
暮らしというのは案外こういうものでできている。
必要な場所に、必要なものをあてがって、
今日をなんとか乗り切る。

帰ってきた子どもは不思議そうに、
自分のジャングルジムにかかった洗濯ものを見上げて、
少しだけ誇らしげな顔をした。

「ママ、ここあるね」

そう。
ここにあるんだよ。
あなたの遊具は、今日だけ特別な物干し竿。

暮らしは不便の連続だけれど、
そのたびに、小さな知恵がひとつ増える。

この部屋で、この冬を越えていくために。

いいなと思ったら応援しよう!