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もし妻が安楽死を望んだら――『両親(ふたり)が決めたこと』を観て考えたこと

もし、愛する人が「自分の最期を決めたい」と言ったら。  
自分は、それを受け入れるのだろうか。  
映画を観終わったあとも、その問いがずっと頭から離れない

『両親(ふたり)が決めたこと』を観て、もし自分だったらと考え続けている


「死」を扱った作品なのに、不思議と重苦しさだけが残る映画ではなかった。  
デュオ安楽死という選択は、見方によってはとても静かで、どこか前向きな決断のようにも感じられた。

鑑賞中、ずっと考えていた。  
もし自分の母親だったら。  
もし自分たち夫婦だったら。  
自分は何を思い、どんな選択をするのだろうか、と。


両親の決断に対して、子どもたちはそれぞれ違う反応を見せる。  
怒り、戸惑い、受け入れようとする気持ち。  
どの感情も自然で、誰が正しいという話ではないのだと思った。

なかでも強く心に残ったのは、父と息子が踊るシーンだった。

すでに他界した実父のこと。  
そして、自分と自分の息子のこと。
その両方が頭の中で重なり、気づけば涙が止まらなくなっていた。  

でもそれは、悲しいとか、寂しいとか、そういう単純な感情ではない。  
言葉にしようとすると、少し違ってしまう。  
ただ、「何か大切なものに触れた」ときの感情だった。
物語は、終わりに向かって、静かに、しかし確実に進んでいく。  
止めることのできない流れに乗せられているような感覚。

もう二度と会えなくなる。  
少しずつ、確実に、離れていく。

電車の窓から見ている美しい景色が、次々と後ろへ流れていくように。  
どれだけきれいでも、同じ景色を見続けることはできない。

大切なものとの距離が、少しずつ遠くなっていくときに感じる感情。  
名前はわからないけれど、その感覚に触れたとき、また涙があふれた。


終末を過ごす家で、二人が体を重ねる場面も印象に残っている。  
行為のあと、妻が放った一言。

ーいま、それを言うのか
そう思わずにはいられないほど、きつい言葉だった。  
もしその言葉を、安楽死を決断する前に聞いていたら。  
彼は、本当にデュオ安楽死を選んでいただろうか。

愛の物語でありながら、どこか残酷さもにじむシーンだった。


この映画は、劇的な展開や強いカタルシスを与える作品ではない。  
物語は、終始淡々と進んでいく。

けれどその静けさの中で、観る側の人生をそっと引き出してくる映画だと思う。

もし、妻が末期がんになり、助かる見込みがなく、安楽死を望んだとしたら。  
自分は、隣に立つのか。  
それとも、止めるのか。

映画を観終わったあとも、その問いだけが、静かに残り続けている。

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