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お題「波の音」エッセイ系日記

「"波の音が聞こえる" て書いてあるんだけど」

「波の音ってどんな音?」

小学3年生だった私は読んでいた本を持って、料理中の母に聞いてみた事があった。

「ザブーン、ザブーンていう音がするの」

私はそれを聞いて不思議に思った

「ザブーンて言うの?」

「そうじゃなくて…ザザーンて感じかな?」

「ザザーンて言うの?」

「………」

私の言葉に母は黙り込んでしまった

パパに聞きなさいと言われ、父の帰りを待って帰ってきた父に同じことを聞いた。

「ザブーンて、波がこう…ぶつかった音がするんだよ」

「お母さんと同じだ!ザブーンて言うんだ!」

「いや、言うんじゃなくて…お前もわかんないやつだな〜。聞いたことないのか?」

「ない!」

元気よく答えた。

だって、海は知っている写真で見たことがあるから、でも波の音はまだ一度も聞いたことがなかった。

その頃はPHSはあってもスマホのように動画は見れなかったし、パソコンはあってもその頃YouTubeは知られてなく見れなかった。


家族で休みの日、県内の海辺に車で出掛けた事があった。

それは春の寒い日だった。

私が海を見たことも波の音を聞いたこともない。と言ったからだろう。

それに、今のようにデジタルが発達していない時代だったからこそ家族で海を見に行けたのだと思う。

波打ち際で、色んな音になって波打つ海の波の音を聴いていた。

「色んな音がするね!ザブーン、ザザザーン、ザバーンて!」

母は貝殻を見つけると、私の耳に押し当てて言った。

「こうすると貝殻から波の音が聴こえるよ」

そう言って、小さな巻き貝を渡してきた。

確かに、貝殻を通して波の音が聞こえた。

「ほんとうだ!」

貝殻から少し静かな波の音が耳に届く。

寒い春の日、海風は寒く凍えるくらいだった。

15分程ですぐに帰った記憶がある。

その時拾った小さな巻き貝は缶かんに入れて、宝物にしていた。

時々、そっと耳に当てて音を聴いていたが、波の音はもう聴こえなかった。

わかっていても、耳に当ててしまう。

貝殻の形として残った記憶の中で波の音が蘇るからだ。

今はもう貝殻は無くしてしまったが、
そうして、幼い日に聴いた、波の音の記憶を私は波の音と聞くと思い出すのだ。



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みずいろ。 🩵ありがとうございます🩵