海外学会帰りにロストバゲージ|荷物が届かなかったときの体験と対処法
Lost baggage 空港で預けた荷物が行方不明になり、紛失すること
海外の研究者とのつながりを保ち、最新の研究動向を知るため、年に1回程度は海外学会に参加するようにしている。
海外へ行くと、国内出張ではあまり経験しないような出来事が起こる。今回は、海外学会からの帰国時に、預けたスーツケースが到着しなかったときの体験をまとめてみたい。
一般に「ロストバゲージ」と呼ばれるが、私の場合は最終的に荷物が見つかったため、正確には「ディレイドバゲージ(手荷物遅延)」である。
手荷物回転台で待っても荷物が出てこない
オスロ空港からヘルシンキ・ヴァンター国際空港を経由し、羽田空港へ帰国したときのことである。
飛行機を降り、手荷物回転台の前でスーツケースを待っていた。しかし、いくら待っても自分の荷物が出てこない。
比較的前方の座席だったため、回転台が動き始める前から待機していた。誰かが間違えて持っていった可能性も低そうである。
そうこうしているうちに周囲の人は少しずつ減っていき、最後には私と係員だけになった。
「これがロストバゲージか……」
噂には聞いていたが、実際に自分の荷物が出てこないとかなり焦る。しかも、こういうときに限って、スーツケースには家族へのお土産や賞味期限の短い食品、学会でもらった資料などが入っている。
空港で行った手続き
手荷物が出てこないことが分かったため、手荷物受取所を出る前に係員へ申告した。
係員に手荷物預かり証を見せて確認してもらったところ、荷物を預けた記録は残っているものの、その時点ではスーツケースがどこにあるのか分からないとのことだった。
そこで、係員と一緒に「Property Irregularity Report」を作成した。これは、預けた荷物の遅延や紛失が発生した際に作成する報告書である。
手続き後にはReference numberが発行され、インターネット上で荷物の状況を追跡できるようになった。
今回は羽田空港での手続きだったため日本語で対応できたが、海外の空港で同じことが起きていたら、もう少し大変だったと思う。
荷物が出てこなかった場合は、少なくとも次の対応が必要になる。
手荷物受取所から出る前に係員へ申告する
手荷物預かり証を提示する
Property Irregularity Reportを作成してもらう
Reference numberを受け取る
荷物の追跡方法と今後の連絡方法を確認する
航空券や手荷物預かり証は、荷物を受け取るまで捨てない方がよい。
クレジットカード保険で勘違いしたこと
手続きを終え、スーツケースを持たない非常に身軽な状態で帰宅した。
当時は服の多くをスーツケースに入れており、翌日に着る服がほとんどなかった。クレジットカードの付帯保険には手荷物遅延の補償があると記憶していたため、服や必要なものを買いに出かけた。
しかし、これが間違いだった。
私が利用していたカードでは、補償の対象となる期間や条件が定められており、帰宅後に購入したものは対象にならなかった。
補償条件はクレジットカードや海外旅行保険によって異なる。手荷物遅延が発生したら、衣類や日用品を購入する前に、航空会社と保険会社の両方へ確認した方がよい。
また、補償を請求する可能性がある場合は、購入したものの領収書もすべて保管しておく必要がある。
スーツケースが戻ってきたのは数日後
3日後、オスロ空港で手荷物が見つかったという連絡が来た。
スーツケースは翌日の便で羽田空港へ運ばれ、その翌日に自宅へ届けられた。結局、完全な紛失ではなく、数日間のディレイドバゲージだったことになる。
スーツケースが3日間どこにいたのかは分からない。
大きな損害はなかったものの、お土産や学会資料がなくなるかもしれないという不安は大きかった。また、補償されると思って不必要なものを購入してしまった。
荷物が戻ってきたときは、安心すると同時に、次回からは少し準備を変えようと思った。
次の海外出張から変えたこと
この経験以降、海外出張では次のことを意識している。
1.紛失防止トラッカーを入れる
スーツケースの中に、AnkerのEufy Security SmartTrack Linkを入れるようになった。
AppleのAirTagも有名だが、私が購入した製品は、iPhoneの「探す」アプリに対応している。スーツケースのおおよその位置を確認できるだけでなく、空港の手荷物回転台で荷物が近づいてくる様子も分かる。
もちろん、トラッカーを入れても荷物の遅延自体を防げるわけではない。それでも、荷物がどの空港にあるのか全く分からない状態よりは安心できる。
年に数回しか使用しない場合は、出発前に電池残量を確認しておく必要がある。
2.最低限必要なものは機内へ持ち込む
帰宅時だったため大きな問題にはならなかったが、往路で同じことが起きれば、学会発表にも影響する可能性がある。
次回からは、次のものを機内持ち込みの荷物へ入れるようにしている。
パソコンと発表データ
発表に必要な書類
常用している薬
貴重品
充電器
最低限の洗面用品
1日分の着替え
特に発表データはパソコンだけに保存せず、USBメモリやクラウドにもバックアップしておくと安心である。
3.スーツケースの写真を撮る
出発前に、スーツケース全体の写真をスマートフォンで撮っておく。
紛失や遅延の手続きでは、スーツケースの色、形、大きさ、メーカーなどを説明する必要がある。似たような黒いスーツケースも多いため、写真があれば係員へ正確に伝えやすい。
スーツケースの外観だけでなく、航空会社のタグを付けた状態も撮影しておくとよい。
4.手荷物預かり証を保管する
チェックイン時に渡される手荷物預かり証は、小さくてなくしやすい。
しかし、荷物の遅延や紛失が起きたときには重要な情報になる。荷物を受け取るまでは、パスポートケースなど決まった場所に保管するようにしている。
荷物が届かないときの確認事項
海外旅行や海外出張で預けた荷物が出てこなかった場合は、次の点を確認したい。
手荷物受取所を出る前に係員へ申告したか
手荷物預かり証を持っているか
Property Irregularity Reportを作成したか
Reference numberを受け取ったか
航空会社への連絡方法を確認したか
クレジットカードや旅行保険の補償条件を確認したか
購入した必需品の領収書を保管したか
スーツケースの配送先を正しく伝えたか
まとめ
私のスーツケースは数日後に無事戻ってきたが、荷物の所在が分からない間はかなり不安だった。
今回の経験から学んだのは、トラブルが起きてから慌てて調べるのではなく、出発前に最低限の対策をしておくことの大切さである。
特に重要だと思ったのは、次の4点である。
手荷物預かり証を荷物の受け取りまで保管する
最低限必要なものは機内へ持ち込む
スーツケースの写真を撮っておく
紛失防止トラッカーを入れておく
紛失防止トラッカーがあっても、荷物の遅延を防ぐことはできない。しかし、「どこにあるのか全く分からない」という不安は減らすことができる。
海外学会や研究出張では、研究発表以外のトラブルにも自分で対応しなければならない。少し準備しておくだけでも、問題が起きたときに落ち着いて行動しやすくなると思う。
