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「現地、思いっきり雨ですよ」雨女の台北一人旅

「大丈夫ですか、明日からの旅行。思いっきり、現地雨ですよ。」
隣の席の同僚に憐みの眼で見られている。
そう私は、雨女。旅先の雨には慣れている……。

2023年6月、コロナも落ち着きを見せ、
海外渡航者も徐々に増え始めていた。
私もそろそろ旅に出たくてうずうずしていた。
選んだ国は台湾・台北。
都会的でありながらノスタルジックな雰囲気も併せ持つ、とても居心地の良い大好きな街だ。

3日間の久しぶりの一人旅には、
この街ほどぴったりの場所はない。
ただ、時期が悪かった。
日本も含めアジアは絶賛、梅雨。
天気予報は台風の卵だなんだと賑やかだったが、「少々の雨天は想定の範囲内」と自分に言い聞かせ、はやる気持ちを胸に羽田から松山空港へ飛び立った。

無事着陸。入国手続きを済ませ、いざロビーへ。
――湿気がすごい。これはやはり降っている。

MRT(地下鉄)で街中に向かおうと、
まずは空港のコンビニで台湾版Suica「悠遊カード」を購入した。いろんなキャラクターデザインがあるなか、私が選んだのはキティちゃん。
よし、これを使って地下鉄で市内に向かおう

……とした瞬間、
周りの旅行者の様子がおかしい。
かすかに響く、地響きのような音。
急いで出口へ、トランクを転がして向かうと、
そこに待っていたのは、
雷と豪雨の激しいオーケストラだった。
思わず声が出る。
「わお……」

地下鉄移動は即座に諦め、
お仕事をオンタイムで頑張っている同僚たちにLINEで一言、

”サンダーストーーームッ!⚡”

とだけ送り付け、潔くタクシーに飛び乗った
(このLINEが部署内で大ウケしたことは言うまでもない)。

無事にホテルにチェックインし、
荷物を置いてすぐに向かったのは、
目の前にある足マッサージ店。
ほんの数メートルの移動なのに、
雨が激しすぎてジーンズの裾はずぶ濡れ。
こんな天気なので客は私ひとり。
足を洗い、マッサージを始めたお姉さんと流暢な日本語でお喋りをしていた。するとお姉さんがしみじみと言う。

「お客さん、かわいそうね。ここにいる間、ずっーーと雨」

台湾の雨はスコールのように短時間で降ることが多く、夜には上がって涼しい夜市を楽しめる、とマッサージをしながらお姉さんが教えてくれた。でも今回の雨は相変わらず激しいまま。
どうやら私は、台湾にすんごく熱烈に歓迎されているらしい✨✨

少し雨が落ち着いた風景

ひとりには少し広く感じるベッドの上でガイドブックを広げ、スマホ片手に明日のプランを立てる。明日もほぼ一日中、雨。

でも、不思議と嫌な気分ではなかった。
この時はまだ知らなかった。
雨に予定を委ね、
一人だからこそ気の向くまま歩いた先に、
私だけの台湾が待っていることを。

🐌雨の日は、予定より自分の機嫌を優先する

そういえば、私には旅先で大事にしていることがある。それは「お天気に合わせて、心地よい場所を選ぶ」ということ。

翌日もやっぱり雨。だから私は、迷わずデパート巡りをすることにした。
向かったのは台北の中心街、中山駅の周辺。
ここには「ここは東京?名古屋?」と思ってしまうほど既視感のある「新光三越」の建物が2〜3棟並んでいる。中に入ると、大好きな無印良品や、高級食パンで有名な「嵜本」の看板。

湿った空気を全身にまといながら入店した瞬間、
一気に冷気に包まれる
・・・・なんと素晴らしい爽快感🍃

異国のデパートの中で、日本でお馴染みのお店に現地の人たちが行列を作っているのを、冷たいアイスミルクティーを片手にぼーっと眺める。
雨の日に無理して観光地をスタンプラリーするように巡るより、
こうして自分の機嫌を守る場所で過ごす方が、旅はずっと楽しくなる。

一人旅の醍醐味は、誰にも合わせず、
自分の直感だけで動ける「自由」だ。


学生時代から世界史の資料集を見てひとめぼれした石でできた豚の角煮と、翡翠でできた白菜。
どうしても訪れたかった「国立故宮博物院」へ行った。

その日は見事な晴天。方向音痴な私が編み出した「団体旅行グループのあとにさりげなく紛れ込む処世術」でなんとか辿り着いた博物館は、空調管理が完璧で最高だった。

人をかき分けて見に行った、
豚の角煮そっくりな石「肉形石」。
「うむ……小さい。かわいい。」
写真では大きく見えたけれど、
実物は手のひらサイズ。
でも、石なのに肉汁が染み出そうな艶と質感、
隣にある翡翠白菜のみずみずしいディテール。

誰に急かされることもなく、
その超絶技巧を気の済むまでじーっと見つめ、
その後は館内のカフェで台湾カステラとミルクティーを味わう。
糖分、最高✨✨
自分のペースだけで満たされる時間が、
たまらなく愛おしかった。

🥖朝ごはんだけは、少しの勇気を出してみた

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