夏が往く―荒ぶる雨の晴れ間には
今年の夏はエルニーニョの影響か、幾分過ごしやすかったように思います。
記録的な冷夏となり平成米騒動を引き起こした年も、エルニーニョとピナツボ火山の影響でした。
この年の7月、私は初めて東北は仙台方面を訪ねたのですが、松島で凍えた記憶が鮮明に残っています。
その冷害を引き起こすヤマセ(北海道や東北地方などの太平洋側を中心に吹く、冷たく湿った北東の風)が、某SNS界隈では天然のクーラー呼ばわりされていたのにちょっと笑いました。
ですが、やはりエルニーニョは台風の発生率も高く、近年では恐ろしい豪雨も引き起こします。
千葉に続いて被災された富山、石川ほか、現在も大雨に見舞われている皆様には心よりお見舞い申し上げます。
朝顔の 雫まとひし 雨上がり 誰の涙を 引き受けたるか

こういう風情のある雨ならいいんですけどね…
滝つぼにいるような雨はいけません。
大雨が降るたびに、なんかスサノオまた泣いてるん?と思って空を見上げてしまいます。
盛りを過ぎた夏の雨上がりの朝、雲間から光が差しそうなのにまだ完全に雲は割れず、今日は晴れるのかな、曇り空はもう飽きたな。
そんな朝を詠んでみました。
空色に 映える黄色は 陽に向ひ 閉じ込む夏に 今を限りと

今年は富士山の麓のひまわり畑に行けなかったのが心残りとなっていますが、確か秋には別の畑で咲いていたような…リベンジしたいです。
ひまわりは小学校の時の理科で育てて、観察日記をつけていたのを覚えています。
あの頃は「大きい花だな」くらいの感想しかなく、ひまわりの種をボリボリ食べていた昭和の小学生でした。
若い頃には「でかい顔して咲いてるな」という身も蓋もない感想を持ちつつ、最近ではひまわりの持つ力強さに勇気をもらっています。
そして、なんだか最近「健気」だなと思うようになったのですが、ひまわりには、実はこんなギリシャ神話のお話があります。
水の精霊クリュティエは太陽神アポロンに恋をしていましたが、アポロンには別に恋人がいて叶いませんでした。
悲しんだクリュティエは9日間何も食べず、水と涙だけで同じ場所に立ち続け、空を駆けるアポロンの姿を追いかけます。
やがて足が地面に根を張り一輪の花へと姿を変えたのが、ひまわりとなり、今でも太陽を追いかけて咲いているのです。
おばちゃん、こんな話聞いたら泣いてしまう。
頑張れ、ひまわり。
夏は朝 白き光は 高砂の 百合が揺れにし 風が通りて

まだ特定外来種とはなっていないようですが、生態系への悪影響が懸念されている植物だとか。
確かに繁殖力は凄く強いようで、数年前に2輪ほど咲いたかと思っていたら今年はもう数か所に咲きました。
増やさないためには花がら摘みをした方がいいようですが今年はそんな気力もなく…。
来年もあちこちに力強く咲いてくれるなら、まぁ、いいか。
夏アジに 舌鼓打ち 母が言う サザエもあるよ 贅沢過ぎんか

実家に帰ると、母が作ってくれました。
アジは夏が旬なので、本当に美味しいです。
サザエも用意されててびっくりしました。
「トコブシはなかったよ」
いやいや、トコブシまでは求めていないよ。めっちゃ高いもん。
サザエだけで充分です。
昔、父がサザエやトコブシをたくさん採ってきたね、今考えると贅沢だったよね、と思い出話に花が咲き、母のビールも、私のハイボールもグイグイ進む夏の夜でございます。
夕焼けが 沈む空には 風ひとつ 頬を撫でいき 夏は終わりと

夕方、コンビニへ行きました。
残暑はまだ厳しいのに、ふっと顔に触れる風が乾いているのを感じ少し寂しくなりました。
まだ往かないでほしい…私の愛する夏に、「まだここにいて」と言いたくなる、そんな8月の宵口です。
川辺にて 織りなす色の 水鏡 ともしび揺るる 夏を留めん

私は、灯篭流しをじっと眺めているのが好きです。
水面に揺れる灯りが幻想的で、この世とあの世の境目とは? などファインダー越しに考えてしまいます。
多くの人の願いや祈り、亡くした人への鎮魂の思いを込めたそれは、例えば黄色ならそれぞれの黄色に、その人ごとに色は揺らいで流れていくのかなと思うのです。
雨憎し 透明傘に 映りぬる 潤む花火に 夏の夜(よ)は往く

先日、一週間ぶりにまた実家を訪ねました。
物忘れの激しくなった母の様子やあれこれ…残されたものは悲しむ暇もないですね。
でもそれもいいのかもしれません。
ちょうど花火が上がるというので、今年は一回も見ていないことを思い出し娘と出掛けてみました。
ところが、始まったと思ったら俄かに激しく降りだしました。
風も強かったので傘がほとんど役に立ちません。
それでも雨の中浮かぶ花火は、この夏の様々な出来事や思いと重なり、夏が泣きながら自分から立ち去っていくように感じました。
こんな花火があってもいいかな…
衣服が絞れるほど盛大に濡れましたけどね…。
という訳で、今年の夏を短歌を交えて振り返ってみました。
そろそろバラ剪定もしなくちゃいけないのに天気はずっと雨模様。
健康診断予約するの忘れて怒られたし、うーん、毎日がしんどーい。
秋には、秋にはどっか行きたい。
チケット取れたからライブは絶対行くけど、でもちょっと長期で旅行したいな。
本当は奈良の七夕祭りに行く予定がダメになったので、ああ、歴旅したい。
大阪でたこ焼き食べたい、中之島界隈をぶらぶらしたい~と毎日欲望が尽きない日々なのでした。
★こちらに短歌をまとめています。よかったらどうぞ!
