「3時10分までなら頑張れるんだね」
妻が風邪をひいた。
長男を学校へ送り、次男を保育園へ送り、家に戻る。妻と長女はまだ眠っていた。
起きたら、子供プラザへ行くことにした。
お弁当の離乳食と、おにぎり。
荷物を抱えて向かう。
子供プラザの中では、時間を気にしなくていい。
長女がハイハイをする。
捕まり立ちをする。
おもちゃで遊ぶ。
それを見ているだけで癒される時間だった。
同じ月齢くらいの子が来ると、「何ヶ月ですか」と自然に声が出る。
よく話すお母さんもいれば、一言二言でまた離れていくお母さんもいる。
子どもについて歩くうちに、近づいたり離れたりを繰り返す。
10時から1時まで、3時間。
ご飯を食べ、うんちをして、オムツを替え、水分を取り、遊んで、帰る。
家に着くと、長女は眠る時間だった。
妻に託し、次男の迎えと長男の迎えに向かう。
次男はまだトイトレ中だ。
毎日のようにおもらしをする。
洗濯は妻の担当だ。
うんちがパンツについても、予洗いして置いておけば、妻が洗ってくれる。
私の担当は食器洗いと掃除。
最近は床掃除に念を入れるようになった。
長女が立ち歩き、ハイハイをし、床のものを何でも口に運ぶからだ。
食べこぼしがあれば、それも。
目を離した隙のあの速さは何なのだろう。
落ちているものの中から、一番口にしてはいけないものを選んでいるのではないかと思うほどだ。
その嗅覚に負けないよう、私も床に目を光らせる。
気がかりは長男だった。
今日は放課後デイに行くのが嫌だと言った。
下校は2時45分。
それなのに、「3時10分に迎えに来て」と本人が言った。
私はそれを聞いて、どうやって行かせようかと考えた。
妻は違った。
予定をキャンセルして、本人にこう言った。
「3時10分までなら頑張れるんだね」
本人の了解を得ると、「じゃあ3時10分には迎えに行くね」と続けた。
私が行かせる方法を考えていた間に、妻は本人の「ここまでなら行ける」という覚悟に寄り添っていた。
最初は行きたくないと言っていたのに、「3時10分なら行く」に変わった。
その変化を見逃さなかった。
その日も、妻の体調はまだ戻らなかった。
子供プラザへは、今日もお弁当を持っていく。
学校にも、放課後デイにも、行きしぶりは続いている。
しぶる子どもとどう話しながら送り出すか。
私が復帰するまで、あと1ヶ月。
この段階になって新しい課題が出てきたことに、正直、心もとなさを感じている。
復帰する頃には、行きしぶりが少しでも和らいでいてほしい。
そう思う一方で、そうならないのが現実だということも知っている。
そして今日も、床に落ちているものに目を光らせながら、長女のお弁当を準備する。

