広告不要論|『Ad SHOOt』インディーゲームレビュー②
いやー暑い日が続きますね。あついあついと言うけれど

ここに描かれている"暑さ"を超えるものは、ついぞお目に掛かりません。ガッサーン・ガナファーニー氏の短編『太陽の男たち』です。著者はパレスチナの解放運動に参加し、72年に爆殺されました。ガザの状況に心を痛めている方には特にお薦めです。
さて、前置きが長くなりました。今回取り上げるインディー作品はボクステ様からリリースされた『AdSHOOt』。イケメンキャラが続々と登場する縦スクロールの弾幕シューティングゲームです。

ゲームのジャンルは色々ありますが、シューティングゲームは高い難易度とハードコアな世界観(「ツインビー」など例外あり)で、主に男性ユーザーをターゲットにしてきました。女性ユーザーを掘り起こそうとする本作の独自性は特筆に値します。難易度は抑えられており、弾幕シューティングが苦手な私でも1コインで3面まで到達できました。

もう一つのテーマが"広告"・・と言っても、ゲーム中にやたらと広告が表示されるわけじゃありません。主人公はそんな目障りな広告が大嫌い。各社のイケメン広告担当者たちにクレームを入れる(=闘う)という筋立てです。何故に広告?とも思うのですが、その辺の説明が特にないところがカルトな雰囲気でたまらないですね。
本作の主人公と同じく、私も広告には否定的です。なるべく接しないよう、避けるように日頃から意識をしています。"プロモーション"も狭義の"マーケティング"も、世の中から大幅に減らした方がよいと思っています。そこで、この一冊。

早世の天才と謳われる社会学者、デイビッド・グレーバー氏の代表作『ブルシット・ジョブ』です。なかなか分厚いし(本文426ページ)敷居が高いと思われがちですが、予備知識なくても大体読めます。実際にブルシットな(=クソどうでもいい)仕事をしている人たちの体験談がベースなので「うんうんあるよね」と共感するだけで十分に面白いです。
企業はライバルから客を奪う為に広告を出します。相手も負けじと広告を出すし、新規参入の企業も垂れ流す。それでも利益を増やす為の正攻法なので、企業は(特に決算期間近で余った)予算をつぎ込み、レッドオーシャンで客の奪い合いに熱中します。客は見たくないものを大量に浴びせられた末、本当は必要のないものを買わされる。
マーケティングの仕事をベンチャー企業で二年、それから独立して数年のコンサル業を通して、私は広告の仕組みを理解しました。実は広告に限りません、都心のオフィスビルでは大勢の「取り巻き」「脅し屋」や「書類穴埋め人」が朝から晩までPCに向かっています。
「ホワイトカラーの人たちって、実際のところ何してんの?あんなにたくさん必要なの?」と日頃から疑問に感じている方は、ぜひ一読を。この本が、あなたの直観に言葉を与えてくれるかもしれません。人口減少が深刻な今日この頃、不要な仕事を減らしてエッセンシャルな仕事に移動して貰えれば、労働力不足も少しはマシになるんじゃないでしょうか。
(ブルシットな仕事が忙しくて)時間のない方は、第二章「どんな種類のブルシット・ジョブがあるのか?」を読むだけでも、得られるものがあると思います。これなら50ページで済みます。
さて、もう一つのテーマに戻ります。女性とシューティングゲーム、というキーワードで思い浮かんだのが「レイフォース」「レイストーム」を始めとするタイトーのレイシリーズ。舞台はシューティングゲームのド定番、近未来の宇宙空間なのですがK.TAMAYO氏という女性のサウンドコンポーザーの方が音楽を担当しています。

「レイフォース」はテクノポップの旨味が濃縮。TAMAYO氏も参加されていたZUNTATAライブの熱狂が蘇ります。プレイステ―ションとセガサターンはほぼ同時に世に出た90年代の半ば、私は「レイフォース*」が移植されると聞いて迷わずサターンを選びました。一人暮らしを始めたばかりのアパートでは外部出力からKENWOODのコンポにつなぎ、爆音でプレーしてたなあ。
*諸権利の関係上、セガサターンでの発売時は「レイヤーセクション」というタイトルでした。
「レイストーム」はオリジナルもいいけど、アレンジ版も傑作。クラブ系の音作りですが、良質なテクノミュージックとして楽しめます。この記事を書くために引っ張り出して以来、この二枚を交互に聴き続ける毎日です。
つい調子に乗って、サントラまで紹介してしまいました。一体何のレビュー記事か分からなくなってきましたが・・まあいいや。気楽に続けてゆきましょう。では、また。
