潮風の戯れ言
山根あきらさんの企画に応募させて頂きます。
いつもありがとうございます😊
港の遠方右側には、工場地帯が広がる
夜になれば、工場夜景とやらが美しく煌めくのかもしれない
潮の匂いと共に運ばれる風は、若干の湿り気を帯びているものの、程よい緩やかさで通り過ぎる
暑くもなく寒くもない
ぼんやり海を眺めるには、極上の日だ
大きく深呼吸して横を見やると、早川と目があった
気持ち良さげな表情の中に、一瞬"あぁ"な残念な目の色が混じる
「…今さ、あたし見て"オマエかよ"って思ったでしょ」
「…オマエもな…」
早川からランチの誘いのLineが入ったのは、予定のない休日、心ゆくまでベッドでごろごろしたものの、日差しの良さに罪悪感を感じ始めた頃だった
好都合、好都合!
こんな日は、とりあえず外に出たい
ふたつ返事で誘いに乗る
早川宅近くの馴染みのラーメン屋で、あっさりめしょうゆ味ラーメン、餃子とミニチャーハン付きの"ランチセット"を楽しんだ
「良い天気だよね
早川、この後もヒマなんでしょ?
ドライブ、付き合う気ある?」
「ん〜、付き合ってやるよ」
「な〜んか恩着せがましい 笑」
「俺とドライブしたいんだろ?」
「一人じゃちょっとさみしい気分かな〜
ま、そういうことにしとくよ」
というわけで、港に来た
そぞろ歩くカップルも目立つ
あたし達も、はたから見ればカップルなんだろう
「オマエさ、結婚しないの?」
「!!!
いきなり来るねぇ 笑
しないんじゃなくて、できないの!
結婚は一人じゃできないじゃん
そっちこそ、どーなのさ?」
「俺??
んー、遺伝子は残したい気はするかなぁ〜」
「恋愛すっ飛ばして、そこ?」
「イケメンで優秀な俺の遺伝子は、受け継がれるべきモノだと思うだろ?」
「自分で言う 笑」
「30になってもさ、お互い一人だったら、
結婚でもするか?」
「まだ2年あるけど…
ときめく気がしないよ、早川には…」
「地味〜に傷付くんですけど?」
「じゃ、アナタ、あたしに愛を語れるの?」
「ないな」
「ほら、お互いさまじゃん
戯れたこと言ってんじゃないわよ」
あたし達は、大学のゼミで知り合ったんだ
お互いの持論があって、議論するのは楽しかった
二人でいることも多かったから、回りからは付き合ってると思われていたフシもあるけど、恋愛関係として付き合ったことはない
男女の恋愛として、発展する可能性があるなら、とっくにそうなってたはずだ
あたしには彼氏、早川には彼女のいた時期もある
実際、早川は自分で言うだけあって、それなりにモテた
あ、そうか…
「早川さ、結婚考えてる人がいるんじゃないの?」
「え?」
あたしが例えば男だったなら、早川が結婚しようがしまいが、友情は続いただろう
あたしは女というだけで、彼女さんの嫉妬の対象になるかもしれないな
「ずっるー!
"現状、お互いフリー"前提じゃなきゃ、
おかしくない?」
「なるほど~そう来るかー」
少し風が強くなって来た
そろそろ帰り時だ
潮風の魔法にかかった戯れ言は、このまま流れてゆくのがふさわしい
※戯れ言な創作です。
