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20260815 【TED】 Yinka Ilori - 喜びはどこから来るんやろ?🎨世代を超える「受け継がれる幸せ」の描き方✨

割引あり

​厳しい残暑が続きますなぁ。夕暮れ時、遠くから聞こえるヒグラシの声に、ふと昔の夏休みを思い出すこと、おまへんか?縁側でスイカをかじりながら、おばあちゃんの団扇の風に吹かれていた、あの生ぬるい空気の匂い……。

今日はな、そんな「記憶の中にある喜び」がテーマどす。ナイジェリア系イギリス人のアーティスト、インカ・イロリさんが、私たちが感じる「喜び」のルーツについて、えらい面白いお話をしてはります。自己実現や成功ばかりが持て囃される今の世の中で、ちょっと立ち止まって考えてみとうなる、そんなお話どすえ。(記:つむぎ)

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講演概要

みなさん、「喜び」っちゅうもんは、どこからやって来るんやと思います?

TEDのホストであるエリース・ヒューさんが、冒頭でこないな問いかけをしてはります。「子供の頃に感じた、本当の喜びを思い出してみておくれやす。大きな出来事やのうて、台所で流れていた音楽とか、大好きな人たちでぎゅうぎゅう詰めの部屋の記憶とか……」と。彼女自身は、夏の夜に近所の子供たちと暗くなるまで遊んだ記憶が、それやそうです。

​そこからが、このお話の肝どす。「その喜びは、あなたが自分で作ったもんどすか?それとも、あなたを育てた人たちから手渡され、受け継がれたもんどすか?」

​ここで登場するのが、ロンドン生まれのアーティストでありデザイナーの、インカ・イロリさんどす。彼は、鮮やかな色彩で街や家具を彩ることで知られてはるんやけど、彼の作品の根底には「喜びは受け継がれるもの(Transgenerational Joy)」っちゅう、太くしっかりした柱がおす。最近の若い人たちは、なんでもかんでも「自己実現」やら「コスパ」やら言うて、幸せかて自分一人の力で勝ち取るもんやと思い込んでる節がおすなぁ。まるでAmazonで注文した荷物が届くみたいに、ポンと自分の手柄として喜びが手に入ると思てはる。せやけど、イロリさんは「喜びは、どこからともなく現れるもんやないし、自分ひとりで達成するもんでもない」と、きっぱり言い切らはるんよ。喜びは、家族や地域社会、あるいは過去の自分自身によって、私たちの心の中に「植え付けられた」もんや、と。

​彼が育ったのは、1980年代のロンドン。ナイジェリアから移住してきたご両親のもと、公営住宅(カウンシル・エステート)の小さなフラットで育ちました。彼の言葉を借りるなら、お母様は「喜びの建築家」どした。スイス製のフォイル・レースっちゅう華やかな生地を売りながら、人と人、人と物を繋ぎ合わせる達人やったそうです。お父様はといえば、職場のみんなの叔父であり、父であり、兄であり、時にはセラピストのような存在どした。

​彼の家では、ようホームパーティーが開かれていたそうです。ジョロフライス(西アフリカのスパイシーな炊き込みご飯)の匂いが小さな部屋に立ち込め、生演奏の音楽が響き、いろんな言語が飛び交い、さまざまな人生の旅路がひとつの部屋に織り込まれていく……。ナイジェリアからイギリスへ、ご両親は信仰や共同体の儀式、そして「楽しみ」っちゅう種を全部持ってきはったんやね。イロリさんは、「子供の頃は気づかなかったけれど、毎日『喜びの洗礼』を受けていたんです」と振り返ったはります。

​これを聞いて、うちもふと、祖父のことを思い出しましたわ。うちの祖父は無形文化財に指定された民芸品の職人でしてな。昔の職人の工房っちゅうのは、それはもう賑やかなもんどした。木を削るカンナの小気味ええ音、い草や漆の匂い、そして近所のおっちゃんやおばちゃんが勝手に入ってきては、お茶をすすりながら交わす世間話。冬になれば火鉢の周りに集まって、炭の爆ぜる音を聞きながら、他愛のない話で笑い合う。あの空間の湿度や、人の息遣いの温もりが、今の私の中に「喜びの種」としてしっかり根付いてるんやなぁと、イロリさんの話を聞いて腑に落ちましたんや。日本の長屋文化にも通じるような、あの濃厚な共同体の匂いが、ロンドンの公営住宅にも確かにあったんやね。

​イロリさんは、そうした日々の儀式や集まりの中で、お母様が物を集めるように、自分は「シンボル」を集めるようになったと言わはります。太陽、石、手、星、トーキングドラム(西アフリカの打楽器)……。最初はなぜ自分がそれらに惹かれるのか分からなかったけれど、やがて気づくんどす。それらのシンボルは、若い頃に楽しんだもの、喜びをもたらしてくれたものの「記憶」そのものやったんやと。

​「視覚的なストーリーテリングは、私たちがすでに持っている物語を解き放つ方法なんです。私は物語を発明しません。物語を発見するんです。」

​彼のこの言葉、ほんまにしびれますなぁ。新しいものをゼロから生み出すんやのうて、すでにあるものを掘り起こし、自分のレンズを通して再構築する。彼が色彩豊かなアートを生み出すのは、自分の中に植えられた喜びの記憶を収穫し、それを次の世代へと手渡すためなんどす。

​興味深いことに、彼が「何があなたに喜びをもたらしますか?」といろんな人に尋ねる実験をした時のこと。驚いたことに、「個人の達成」について語る人は一人もおらへんかったそうです。昇進したとか、高い車を買ったとか、そんなんやのうて、いつだって「人」や「場所」、そして「共有した経験」についての話ばかりどした。

​私たち人間は、結局のところ、誰かと分かち合った温度や匂い、声の響きの中にしか、本当の喜びを見出せへん生き物なんかもしれまへん。今から少し先の未来、たとえば今生まれた赤ん坊が白髪の老人になる頃の世の中を想像してみておくれやす。デジタル化が極まって、メタバースやらなんやらで、人と直接触れ合わんでも生きていける時代になっとるかもしれまへん。せやけど、その時彼らの心に「喜びの種」として残っているのは、きっと完璧なプログラムやのうて、誰かと一緒にご飯を食べて笑い合った、少し不器用で温かい記憶のはずどす。イロリさんのアートは、そんな「受け継がれる喜び」のバトンを、色彩という目に見える形にして、私たちに手渡してくれてはるんやと思います。

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