「目の疲れ・食いしばり」が腰痛に? 目・顔・姿勢の意外な関係
はじめに
毎日のデスクワークで、目がもう限界……。
腰痛が、なかなかよくならない……。
一見、関係なさそうな「目の疲れ」と「腰痛」。
でも、人間の神経のしくみから見ると、じつは深くつながっている、と考えられています。
僕は理学療法士として、目・アゴ・姿勢のつながりを大切にしてきました。
今日は「画面を見る生活と、全身の力み」の話を、やさしくお伝えします。
1. 目は、姿勢を支える"最優先センサー"
人間は、外からの情報の多くを、目(視覚)から得ていると言われています。
だから脳は、「目線が水平に保たれているか」を、いつも気にしています。
目が疲れて視線が下がったりかたよったりすると、それを補おうとして、首・背中・腰の筋肉を動員して頭を支えようとする、と考えられています。
とくに、スマホやPCをじーっと凝視して目を動かさないでいると、
首の後ろの奥にある 「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」 という小さな筋肉が、こわばりやすくなります。
この筋肉は、背中から腰へと続く筋膜のラインでつながっているため、
目の疲れが、めぐりめぐって腰の負担に関わることがある、というわけです。
(もちろん、腰痛の原因は人によってさまざまで、目だけで決まるわけではありません)
2. 「視線」「かみ合わせ」「骨盤」はつながっている
さらに、画面に集中すると、無意識にアゴを突き出して、歯を食いしばるクセが出やすくなります。
目・アゴ・首の3つが緊張で固まると、頭が前に突き出しやすくなります(頭部前方位)。
すると、重い頭が前に出た分、倒れないように骨盤を前へ突き出して(反り腰になって)バランスを取ろうとするため、
結果として腰に負担がかかり続けることがある、と考えられています。
目の疲れ → アゴの食いしばり → 頭が前に → 反り腰 → 腰の負担。
体は、こんなふうに連鎖してつながっているんですね。
3. デスクでできる「目玉グルグル+パミング」
仕事の合間にできる、目と姿勢のリセット法です。
イスに深く座り、背もたれに背中を預けて、息を深く吐きます。
顔はまっすぐ前を向けたまま固定し、目玉だけを「上・右・下・左」と大きく円を描くように、ゆっくり5回まわします(反対まわりも同じように)。
最後に目を閉じ、両手をこすって温めた手のひらで、目をやさしく覆います(パミング)。そのまま深呼吸を3回。
目のまわりの緊張がゆるむと、首や腰の力みもスッと抜けて、背すじが自然に伸びやすくなります。
(感じ方には個人差があります。気持ちよい範囲で行ってくださいね)
やさしい注意:目のケアのポイント
パミングのとき、目を強く押さないでください。手のひらでそっと覆うだけでOKです
目玉をまわしていて、めまい・気分の悪さ・目の痛みを感じたら、すぐにやめましょう
目の病気で治療中の方、目の手術を受けたことがある方は、始める前に眼科医にご相談ください
ここは大切なお願い:こんなときは医療機関へ
次のようなときは、セルフケアより先に、受診してください。
急な視力の低下、視野が欠ける、光がチカチカ見える、視界に黒いものが増えた(眼科へすぐ)
目の強い痛み・充血が続く、ものが二重に見える
強い腰痛、脚のしびれ・力の入りにくさ、排尿・排便のトラブルをともなう(整形外科へ)
頭痛が強い・長引く、しびれをともなう(脳神経内科・内科へ)
こうした場合は、この記事の内容にかかわらず、医療機関にご相談ください。
持病がある方・治療中の方、妊娠中の方は、新しいケアの前に医師にご相談くださいね。
おわりに
腰痛が長引くとき、原因は腰"だけ"にあるとは限りません。
一日じゅうがんばっている目や、食いしばったアゴが、じつは腰にも影響していることがあります。
まずは1時間に一度、画面から目を離して、遠くを見る。
そして、目玉をぐるっとまわして、手のひらでそっと目を休める。
目がゆるむと、体もふっとゆるみます。
今日の作業の合間に、ひと休みを取り入れてみませんか。
※この記事は、体の仕組みやセルフケアについての一般的な情報をお伝えするものです。効果の感じ方には個人差があり、医療行為や診断・治療、特定の不調の改善を保証するものではありません。急な視力の変化や強い腰痛など気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関(眼科・整形外科など)にご相談ください。
