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Vol.216 日本を捨てなくても、海外で自由に生きることはできる 〜海外移住でもFIREでもない、第三の生き方

最近  “Cross Border Life Design” というコンセプトを思いついて考えています。日本語にすれば、「国境を越えた人生設計」といったところでしょうか。
ただし、これは日本を捨てて海外へ逃げることでも、すべての仕事を辞めてFIREを目指すことでもありません。仕事、会社、住環境、人間関係、資産、時間配分を、一つの国や場所に固定せず、自分に合った形に組み替えていく.. 私がいつも考えている内容を言語化した、しなやかな生き方です。そして、それを一時的な憧れで終わらせず、国境を越えて人や仕事、商品、事業機会とつながりながら、経済的にも持続可能な形へ変えていくことでもあります。

今回は、なぜ私がこの考え方に至ったのか、これまでの経験を振り返りながら書いてみたいと思います。

私は海外移住を目標にしていたわけではない
自己紹介ページにも書いていますが、私は大学を卒業した後、一度は大きな会社に就職しました。しかし、そもそも会社員として生きていくことにあまり関心を持てず、早々に退職して独立、最初は会社員時代の縁でリテール向けに仕事していましたが、段々ビジネス上流にあたる海外とのつながりが出来てきたのを機に、30歳を前にシンガポールに会社を作りました。最初はシンガポールに住むつもりで物件も内見しましたが、親戚のいる縁で初めて訪れたタイの方が居心地が良く、結局バンコクに引っ越しました。つまり流れでこちらへやってきたのであって、最初から「海外移住」を人生の目標にしていたわけでは全くありません。

現在は、生活の拠点をバンコクに置きながら、シンガポールの会社を通じて仕事すると共に、日本にも事業があるので年に何回かは帰国する生活を続けています。

とはいえ、最初からこうした形を描いていたわけではありません。その時々で目の前に現れた選択肢を見ながら”ピンときた”ものを選び、少しずつ組み立ててきました。今も完成形ではなく、現在進行形です。振り返れば、私は一つの仕事をそのまま海外へ持ち出したというより、幾つかの地域にまたがって、人との関係や事業の機会を少しずつ探りながら組み合わせてきました。


15年以上続けて気づいたこと
バンコクを生活の拠点にして、すでに15年以上が経ちました。その間に気づいたのは、自由とは何もしなくてよい状態ではない、ということ。私にとっての自由とは、一つの国、一つの会社、一つの収入源だけに、人生のすべてを固定しなくてよい状態です。海外で暮らすからといって、日本との関係を切る必要もありません。日本は生まれ育った母国で、長年のベースがあります。一方でバンコクには日々の生活があり、シンガポールをはじめとする海外には仕事の機会と共に仲間も点在しています。どれか一つを選び、それ以外を捨てるのではなく、それぞれとの関わり方を自分に合うように配分する。それも一つの自由の形ではないかと思います。

また、15年以上の海外生活を通じて、「豊かさ」に対する感覚も変わりました。確かに私は高級ホテルで過ごす時間や、ビジネスクラスでの移動が好きです。しかし、それだけが豊かさだとは考えていません。毎日一万歩ほど歩くこと。週末に静かな寺院を訪れること。公園を散策したり、落ち着いた場所で考え事をすること。一緒に深く語り合える友人たちが国籍問わずいてくれること。

そうした時間にも、ホテルや快適なフライトとは別の静かな豊かさを感じます。もっと言えば、私が高級ホテルやビジネスクラスを好む理由も、豪華だからと言うよりも、そこで約束されるエクスクルーシブな空間でありイマーシブな体験なんですよね。若い頃は、スポーツカーに乗ったりもして今よりもだいぶギラギラしていました。散々遊んだし、物を持つ刺激や分かりやすい成功に対する欲求も強かったと思います。しかし仕事にもプライベートにも人生の最終日までアクティブで、実際数日後にはゴルフも予定していた父の突然の死を経験し、自分自身も40代に入った頃から「豊かに生きるとは、結局どういうことなのかなぁ?」と改めて深く考察するようになりました。

もちろん、物欲がなくなったわけではありません。今でも居心地のよいホテルでの滞在や、性能の高い車、快適な住環境には惹かれます。ただ以前と異なるのは、それらを手に入れること自体よりも、そこでどのような時間を過ごし、どのような体験を得られるのかを重視するようになったことです。便利さや快適さを否定するのではなく、それらを穏やかな時の流れや心の余白に使う。それが、今の私にとっての豊かさに近いのだと思います。


海外移住したい人が動けない理由
「いつか海外で暮らしてみたい」
よく相談を受けます。ただ、そう思いながらも、なかなか最初の一歩を踏み出せない人は少なくありません。物事がうまく進んでいる時、人は自然とフットワークが軽くなります。反対に迷いや不安が大きくなるほど、動く前に正解を探そうとします。しかし実際には、正解が見つかってから動くのではなく、小さく動くことで初めて自分に合った答えが見えてくることの方が多いものです。
”自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ” とはリクルート創業者江副浩正氏の言葉。 ”人が変わる方法は「時間配分を変える」「住む場所を変える」「付き合う人を変える」の3つしかない。決意を新たにしても意味はなく、物理的な環境や付き合う構造を変えることでしか人は根本から変わらない” とは大前研一氏の教え。

移住したいと言いながら、いつまでも移住できない… その理由の一つは、移住するための理由を探すと同時に、移住できない理由も探してしまうからではないでしょうか。これは意志の強さや弱さだけの話ではなく「移住するか、しないか」という、大きすぎる二択から考え始めてしまうことに問題があります。

多くの人は、最初から次のような大きな問いを立てます。

* 会社を辞めるべきか
* どの国に移住すべきか
* 海外法人を作るべきか
* いくら資産が必要か

もちろん、いずれも大切な問いです。しかし、最初に考えるべきなのは「どうやって移住するか」ではないと思います。自分はどこで誰と何をしながら、どの程度の自由を持って生きたいのか。まず必要なのは人生の指針を設計することです。


海外移住だけではない Cross Border Life Design
海外との関わり方は、完全な移住だけではありません。例えば、次のような形も考えられます。

* 年に何回か、海外で長めに滞在する
* 仕事の一部だけを海外化する
* 海外の収入源や人間関係を作る
* 日本と海外の二拠点で生活する
* 会社をある国に持ちながら、生活拠点は別の場所に置く
* 価値あるプロダクトやサービスと、それを求めるマーケットとをクロスボーダーに繋ぐ
* 自分ですべての実務を担わず、現地の仲間と役割を分担する
* 単発の仕事ではなく、国境を越えた継続収益の仕組みを少しずつ持つ

大切なのは、「0か100か」で考えないことです。日本に住むのか、海外へ移住するのか? 会社員を続けるのか、独立するのか? 日本で仕事をするのか、海外で仕事をするのか?… これらの問いの立て方のように、どちらか一方だけを選ぶ必要はありません。それぞれの要素を、自分の状況や価値観に合わせて配分すれば良いのです。
また海外で自由に暮らすには、場所に縛られない仕事を持つ視点も大事だし、更に言えば、自分が常に動き続けなくても、人や商品、技術、販路がつながり、価値が循環していく仕組みを少しずつ作っていく考え方も意識しておきたいポイントです。

Cross Border Life Designとは、単に住む場所を選ぶことではありません。どこに住み、誰と関わり、どの市場で価値を生み、どのような形で収益を受け取るのか。その全体の配分を、自分に合うように最適化していくことです。それは、海外移住でもFIREでもない、第三の生き方になり得るのではないかと思っています。


これから発信していきたいこと
この note では Cross Border Life Design の視点から、例えば次のようなテーマを取り上げていきます。

* 40代から海外との接点を作る
* バンコクを旅行先ではなく、生活拠点として見る
* 二拠点・多拠点生活の理想と現実
* 海外でエキスパットとの関係を築く
* 外国人と海外に会社をつくり、クロスボーダーに働く
* AIを活用して場所に縛られない仕事をする
* 小さな事業ポートフォリオを構築する
* 自由や豊かさについて、東洋哲学の視点から捉える

私は海外移住の専門家でも、人生の完成形に到達した僧侶でもありません。ただ、30歳でバンコクへ移り、日本やタイ、シンガポールなどを往来しながら、15年以上にわたって自分なりの生活と仕事の型を作ってきました。成功したこともあれば、うまくいかなかったこともあります。むしろ後者の方が圧倒的に多い。だからこそ、きれいな理想論だけではなく、実際に経験したことから見えてきた現実や考え方を、これからも少しずつ書いていくつもりです。

海外で暮らしたい。あるいは、日本と海外を行き来する生活に興味はあるものの、何から始めればよいか分からない。そんな方がいれば、今どのようなことに迷っているのか、コメントやDMで教えていただけると嬉しいです。今後の記事では、いただいた悩みにも、私自身の実体験を交えながら答えていきたいと思います。また、コンテンツやコミュニティを持っていたり、国境を越えた事業づくりに関心のある方とも、ここから少しずつ輪が広がっていけば素敵だな、と思っています。

*******Disclaimer*******
本ページに記載されている内容は、情報提供のみを目的としており、その正確性や信頼性を何ら保証するものではありません。従いまして、本ページの情報のみを根拠とする確定的判断はなさらず、最終的には必ずご自身でお調べになってご判断下さい。

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