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皆それぞれの地獄を生きる:CSN&Y「Teach Your Children」

昨晩はCSN&Yの「Deja Vu」のレコードを聴いていた。この作品も状態のいいアナログが安く買えれば欲しいなと前から思っていたのが、先日の東京行きでとても綺麗なUS盤(1977年再発)を安価で入手できた。

革張り風のテクスチャに金文字の美麗なジャケット

昨晩もほくほくしながら「Carry On」を聴いたのは覚えているけど、2曲目の「Teach Your Children」がかかる頃には意識がなかった。こんな生活を続けているとレコードの各面の1曲目しか聴けない人生になってしまうが、今朝目覚めたら頭の中で2曲目の「Teach Your Children」が鳴っていたので、睡眠に入る直前の意識にはこの曲がしっかり働きかけていたようだ。もちろん大好きな曲である。旧ブログで訳詞記事を書いたこともあった。

上の記事にも書いたように、反戦歌のようなイメージがある曲だけど歌詞をよく読むと世代間ギャップについて歌っていて、戦争への言及は特にないのである。作者のグラハム・ナッシュがこの曲のインスピレーションとして挙げたのは、以下の写真だった。

By Photographer: Diane Arbus, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=11865113

子供がおもちゃの手榴弾を握りしめて、顔と身体をこわばらせて立っている姿。これがナッシュの優しい心に触れて、子供の世代に向けて何か書こうという気になったという。歌詞の内容を要約するとこんな風である。親の世代は困難な人生を生きてきたし、子供の世代もこれから困難な人生を生きる。世代によって価値観はまったく違い、理解しようとしても互いに深く傷つくことになる。そこはため息をついて諦めるしかない。ただ、世代間で断絶していても私たちはお互いを愛し合っているので、そのことは知っておこう。

自分の息子も来月で17歳になり、上記のことはわかりすぎるぐらいわかる。息子も音楽は好きだけど自分とは全然方向性が違って、スマホから流したり大声で歌ったりするのが聞こえてくると、うるさいうるさいうるさい!といつも思っている。もちろん息子だってCSN&Yに興味などまったく示さない。別にそんなことはどうでもいいのだ。どっちみち自分だって1972年生まれで、この作品が出たのは生まれる前である。それぞれ、自分たちが選んだ好きな音楽を聴いているだけだ。

どこまでも優しい曲調の「Teach Your Children」だけど、サビには「hell」という言葉が出てくる。親子の世代を問わず、人生は困難なものなのだ、という意味なのだろうけど、文字通りそれぞれ「地獄」を生きている、と言った方がわかりやすいのかもしれない。「They seek the truth before they can die」と、「死ぬ」の前に「can」が入っているのも気になるところで、意外と厭世的な雰囲気がある。そう、どの世代も、やっと死ねるようになるまでは、この世という地獄を生き延びなければならないのである。だから、お互い反目し合うよりも、愛し合っていこうじゃないか、という歌なんだな。

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