眠れない俺を助けてください(シロクマ文芸部)
熱帯夜のせいで、なかなか眠れない。
古いクーラーは頼りないし、アイスを食べても涼しいのは一瞬だけ。
暇つぶしにスマホで怖い話を読んでみたが、どれも似たような話ばかりだった。
思わず独り言が漏れる。
「本物の幽霊が出てきてくれたら、少しは涼しくなれるのにな」
その瞬間だった。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
時計を見ると午前0時。
こんな時間に訪ねてくる予定の人なんて、
もちろんいない。
ドン。
今度は玄関を叩く音。
ドンドンドンドン!
連続して響く、激しい音に顔が引きつる。
おいおい…まさか本当に出たとか言わないよな。
恐る恐る玄関へ向かう。
ガチャガチャ。
今度は鍵を回そうとする音。
息を殺し、覗き穴に目を近づける。
もし、誰も立っていなかったら──。
生唾を飲み込み、そっと覗く。
そこには、彼女の琴海が立っていた。
なんだ。琴海かよ。
全身の力が一気に抜けた。
安心して鍵を開けようとした、その時。
ピロン。
スマホが鳴る。
続けて、
ピロン。
ピロン。
立て続けに届く通知。
画面を見ると、送り主は琴海だった。
『ねえ、浮気したよね?』
『証拠あるよ』
『早く開けなよ。そこにいるでしょ?』
『無視するの?』
外には琴海。
スマホからも琴海。
鳴り続ける通知音。
確かに少し涼しくなった。
でも、今夜は眠れそうにない。
……誰か助けて。
「熱帯夜」からはじめるnote企画に
参加させていただきました☕️
(企画ページはこちら)
いいなと思ったら応援しよう!
「いいな」と思ってもらえたら。
あなたの応援が次の物語につながります。