AI時代、最後まで価値が残る美容師は「技術が上手い人」ではない。
美容師という仕事を30年以上続けてきました。
その中で、ずっと信じてきたものがあります。
それは、
技術が上手ければ、お客様から選ばれる。
ということです。
もちろん、技術は大切です。
カットも、カラーも、パーマも、学び続けなければいけない。
美容師である以上、技術を磨くことはプロとしての責任だと思っています。
でも、AIが急速に進化している今、改めて考えるようになりました。
これから先、
「技術が上手い」ということだけで、美容師は選ばれ続けるのだろうか。
技術や知識の「差」は、さらに小さくなる
以前は、知識を持っていることそのものに価値がありました。
上手な先輩の技術を見て学ぶ。
講習会に参加する。
専門書を読む。
長い時間をかけて、知識や技術を身につける。
でも今は違います。
分からないことがあれば、検索できる。
動画を見れば、技術を学べる。
AIに質問すれば、瞬時に大量の情報が返ってくる。
これからAIは、もっと美容業界にも入ってくるでしょう。
似合う髪型の提案。
カラーシミュレーション。
顧客データの分析。
次回来店時期の予測。
商品提案。
もしかすると、今まで美容師が「経験」で行っていたことの一部は、AIがかなり高い精度でできるようになるかもしれません。
では、そんな時代に美容師の価値はなくなるのでしょうか。
私は、逆だと思っています。
「何をするか」より、「誰にしてもらうか」
お客様は、本当に髪を切りに美容室へ来ているだけなのでしょうか。
私は長く現場に立つ中で、そうではないと思うようになりました。
「今日は疲れていて」
「最近、仕事が大変で」
「子どもが卒業するんです」
「来月、結婚式があって」
「少し気分を変えたくて」
美容室では、髪の話だけではなく、お客様の人生の話をたくさん聞きます。
その人の仕事。
家族。
悩み。
喜び。
人生の節目。
美容師は、そのすぐそばにいる仕事です。
だからお客様は、単に
「髪を切ってほしい」
だけではなく、
「私のことを分かってくれる人にお願いしたい」
と思っているのではないでしょうか。
AIは「答え」を出せる。でも、お客様を理解するのは人間だ。
AIに、
「40代女性に似合う髪型を教えて」
と聞けば、たくさんの答えを出してくれます。
でも目の前のお客様が、
本当は何に悩んでいるのか。
なぜ髪型を変えたいのか。
何を不安に感じているのか。
今日どんな気持ちで美容室に来たのか。
そこまで理解するためには、
問いが必要です。
「今日は、どうなりたいですか?」
だけではなく、
「最近、髪で困っていることはありますか?」
「普段はどんなふうにお手入れしていますか?」
「周りの人からどう見られたいですか?」
「今回、雰囲気を変えたいと思った理由はありますか?」
問いが変われば、見えるものが変わります。
そして、見えるものが変われば、
提案も変わります。
美容師の価値は「施術」から「理解」へ
これからの美容師に必要なのは、
技術力に加えて、
お客様を深く理解する力
だと思っています。
技術だけなら、いずれ差は縮まるかもしれない。
知識だけなら、AIが補ってくれる。
でも、
目の前のお客様を見て、
声のトーンを感じ、
表情を読み、
言葉になっていない気持ちをくみ取り、
「この方にとって、本当に必要なものは何だろう」
と考えること。
これは美容師に残る、とても大切な価値です。
むしろAI時代だからこそ、
この力の重要性は高まると思っています。
30年以上続けて分かったこと
若い頃の私は、
「早く上手くなりたい」
「早く合格したい」
そんなことばかり考えていました。
でも、ある時から考え方が変わりました。
どうしたら一番早く合格できるか。
ではなく、
どうしたら、一番お客様に喜んでもらえるか。
そこを考えるようになりました。
すると、不思議なことに、
技術の見え方も、
接客の見え方も、
仕事の意味も変わりました。
美容師は、
髪を切る仕事。
だけではありません。
私は今、
その人の人生を少し美しくする仕事
だと思っています。
AI時代に残るのは、「人にしかできない仕事」
AIはこれから、もっと賢くなるでしょう。
技術も進歩します。
できることも増えていきます。
だからこそ、美容師は問い続けなければいけない。
自分にしかできない価値は何か。
目の前のお客様に、今日は何ができるか。
この方は、何を求めているのか。
技術は大切です。
でも、
技術の先にお客様がいる。
そこを忘れてはいけない。
最後まで選ばれる美容師は、
技術が上手い人だけではなく、
「この人にお願いしたい」と思ってもらえる人。
そんな美容師なのだと思います。
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あなたにとって、
「またこの人にお願いしたい」と思う美容師は、どんな人ですか?
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