営業は「自分」を説明するほど、売れなくなる。
―初対面30秒で必要なのは「すごい人」ではなく、「私に関係ある人」になること―
はじがき
「弊社は創業30年でして……」
「私はこの業界で20年、○○資格を持っていまして……」
営業でよく聞く自己紹介だ。
もちろん、経歴も資格も大切だ。
でも初対面の相手が最初に知りたいのは、本当にそこだろうか。
私はこう思う。
営業の最初の30秒は、「私は何者か」を説明する時間ではない。
「あなたに、なぜ私が関係するのか」を伝える時間だ。
STEP1|人は、想像以上に早く相手を判断する
心理学研究では、人は非常に短い時間でも他人について第一印象を形成することが分かっている。
つまり営業は、名刺交換が終わってから始まるのではない。
会った瞬間から始まっている。
だから冒頭3分を会社沿革や経歴説明だけで使うのは、少々もったいない。
STEP2|相手の頭の中には「で、私に何の関係が?」がある
例えば、
「中小企業の採用支援をしています」
これだけでは仕事内容の説明だ。
そこで、
「求人を出しても応募が来ない会社を、求職者から“ここで働きたい”と思われる見せ方に変えています」
と言ったらどうだろう。
一気に対象者と問題と変化が見える。
商品説明から顧客価値へ変わった瞬間だ。
STEP3|「肩書き」ではなく「変化」を売る
行政書士です。
コンサルタントです。
農業アドバイザーです。
肩書きは職業を説明してくれる。
しかし、価値までは説明してくれない。
そこで自己紹介を、
「誰の」
「どんな困り事を」
「どう変える人なのか」
の3点で作り直してみる。
営業とは、自分の名詞を説明する仕事ではない。
相手の未来を動詞で見せる仕事なのだ。
STEP4|実績・資格は「後出し」で強くなる
ここが面白い。
最初から資格を10個並べても、相手には響かないことがある。
ところが、
「それ、まさにうちの問題です」
となった後なら、
「実は20年間、この分野を担当してきました」
という経歴が一気に意味を持つ。
経歴を捨てる必要はない。
経歴を話す「順番」を変えるのだ。
課題→価値→実績。
この順番なら、経歴は自慢ではなく「任せられる根拠」になる。
STEP5|営業の目的は「売る」より「続きを聞きたい」をつくること
初対面30秒で契約を取る必要なんてない。
むしろ目標はもっと小さくていい。
「それ、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?」
この一言を引き出せればいい。
30秒で商品を売ろうとすると説明過多になる。
30秒で「自分との関連性」を伝えれば、相手から質問が始まる。
ここから営業は、
説明する時間から、対話する時間へ変わる。
おわりに
会社の歴史も、資格も、肩書きも大切だ。
ただ、それは主役ではない。
主役は目の前の相手だ。
「私はこんなにすごい」ではなく、
「あなたのその問題、こう変えられるかもしれません」
そこから始める。
全体総括
売れる営業は、30秒で全部説明する人ではない。
30秒で「これは自分の話だ」と思わせられる人だ。
肩書きを語る前に、相手の困り事を語る。
商品を説明する前に、変化を見せる。
経歴を並べる前に、続きを聞きたくさせる。
営業力とは、話す能力だけではない。
「相手の頭の中から話を始める能力」なのかもしれない。
ーーノリック#調
