7話 一人分しかない洗濯物
今日も暑くて、茹だりそうなぐらいや。 普段は物置にしていた未映子の部屋を掃除したら、どっと汗が吹き出してきた。
悠貴にも手伝ってもらって、荷物を片付けた。やっとスッキリと片付いた部屋で、私は窓の外を見た。
このギラギラした日差しの中を買い物に出かけるのはうんざりだなぁ、と思った。
洗濯機が、ピーピーと終了のサインを送ってきた。
サンルームに出て物干し台の前に立つと、さらに暑くてまた汗をかく。
洗濯物は今は2人分。
物干し竿のハンガーとピンチに次々干していく。
これを干し終えたら、帰って来る孫たちのために買い物に行かなくちゃ。
額に流れる汗を手の甲で拭いながらそんなことを考えていた。
干し終えて、汗だくの部屋着を着替えると、スーパーに出かけた。
明日、午前中に未映子家族と、はるみさんたちが来ることになっている。
今日はとりあえずお菓子や飲み物などを買っておこうと思った。
買ってきた食品をパントリーに片付けながら、あまりの量に自分でも苦笑いしてしまう。
一人暮らしでは買い物はすごく少なかったからだ。
ちょっと買いすぎたかな?と反省するが、まぁ滅多にないことだからいいや、と思うことにした。
帰ってきて、シャワーを浴びて、エアコンががんがん効いているソファーに寝転んだ。
悠貴がいなかったらタンクトップでのびのびするところだが、息子とはいえタポタポしている二の腕は見せたくない。
「お母ちゃん、ちょっと出かけてくる」
悠貴が降りてきて言った。
「はーい」
ソファーに座り直して返事をしたが、悠貴が玄関から出るドアの音で、また転がった。
さあ、明日は何を食べようかな?と、考えていたら、うとうとしてしまった。
「お母ちゃん、ただいま」
悠貴が帰ってきた。
だらしなく寝そべっているところを見られて、ちょっとハズカシイ。
「久々に高校の時の同級生に会ってきてん。会社経営しているやつがいて、働かないか?って言ってくれてん」
ちょっと嬉しそうに話しだした。
「あいつ、俺がエンジニアだったこと覚えててくれて、誘ってくれてん。前に機械に詳しい営業が必要やから、って営業にまわされたん嫌やったからな。本当は物を作ったり設計したりする方が性に合ってるんや。そやから、エンジニアとして働けるんやったらうれしいな、と」
「へぇー、よかったやん」
私は言った。
「それでいつから働けるん?」
息子は呆れたように言った。
「まだ、有給休暇中やから、それ終わって正式に退職してからやね」
「あー、そやったね」
私が言うと、悠貴はさらに付け加えた。
「お母ちゃんは、いつも話をええ加減に聞いてるからなぁ」
「はいはいはい、どうせ、そうですよ」
私が言うと、悠貴はニヤリと笑いながら、
「ほら、そうやってすぐ開き直る」
と言った。
私もちょっとつられて笑ってしまった。
「今日の晩ごはんは何?」
「ごめんごめん、まだ何もしてへんねん」
「そやったら、手伝うわ。ご飯でも炊こうか?」
悠貴は自然に台所に向かった。
夫はご飯なんか炊いてくれたことなかったな、ふと、そんなことを思い出した。
今の子は自然にできるんやな、とちょっと頼もしく思った。
